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タウタンパク質とは? ― 2つの役割とアルツハイマー病との関係 ―

タウタンパク質(Tau Protein)は、主に神経細胞(ニューロン)に存在し、細胞内の微小管の安定化を助ける重要なタンパク質です。
しかし、このタウタンパク質が異常を起こすと、アルツハイマー病やその他の神経変性疾患の発症に関与すると考えられています。
本記事では、タウタンパク質の基本的な役割や、異常なタウが神経疾患を引き起こす仕組みについて解説します。

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タウタンパク質とは?

タウタンパク質(Tau Protein)は、主に神経細胞(ニューロン)に存在し、細胞内の「微小管」という構造を安定化させる役割を持つ重要なタンパク質です。

しかし、このタウタンパク質が「過剰にリン酸化」されると構造が変化し、異常な凝集(かたまり)を形成します。これが神経細胞の機能障害や死を引き起こし、アルツハイマー病などの神経変性疾患に関与すると考えられています。

タウタンパク質の主な2つの役割とは?

1. 微小管の安定化

神経細胞の内部には、「微小管(びしょうかん)」というチューブ状の構造が張り巡らされており、これは細胞の骨格(細胞骨格)の一部を形成しています。

  • 微小管は、細胞内でタンパク質や神経伝達物質などの物質を輸送する「レール」のような働きをします。
  • タウタンパク質はこの微小管に結合し、それを安定化させることで、物質輸送をスムーズに保ちます。
  • 特にニューロンのように長く伸びた細胞では、この安定化が非常に重要です。

2. 神経細胞の構造と健康の維持

ニューロンが正常に働くためには、その内部構造が適切に保たれ、柔軟に対応できることが求められます。

  • タウタンパク質は、微小管の組み立て(重合)や分解(脱重合)を調節し、細胞内の構造が必要に応じて変化できるよう支えています。
  • これにより神経細胞の健康状態や可塑性(柔軟性)を保つ働きもしているのです。

タウタンパク質とアルツハイマー病の関係とは?

アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease)は、記憶や思考力が徐々に低下する進行性の認知症です。この病気の発症と進行には、タウタンパク質の異常が深く関わっています。

  1. タウタンパク質の異常
    タウタンパク質が過剰にリン酸化 → 構造異常 → 凝集 → 神経細胞死
  2. アルツハイマー病での脳内変化
    アルツハイマー病の「神経原線維変化」はタウの異常が原因
  3. タウが重要なカギを握っている
    タウは病気の進行度と強く関係しており、治療の新たな標的になっています。

1. タウタンパク質の異常とは?

正常なタウタンパク質は、微小管に結合して安定化させるという役割を持ちますが、アルツハイマー病では以下のような異常が起こります:

過剰なリン酸化(過リン酸化)が起こる。
・正常な構造を失い、神経細胞内で異常な凝集(かたまり)を形成。
・この凝集体を「神経原線維変化(Neurofibrillary Tangles, NFTs)」と呼ぶ。

タウタンパク質は、通常は微小管に結合して神経細胞内の構造を安定させる役割を果たしていますが、アルツハイマー病では「過剰なリン酸化(過リン酸化)」が起こります。これは、本来必要な範囲を超えてリン酸基が多数付加される状態で、タンパク質の立体構造や機能が大きく変化してしまいます。

その結果、タウタンパク質は微小管との結合能力を失い、細胞内で異常なかたまり(凝集体)を形成するようになります。この凝集体は徐々に蓄積し、「神経原線維変化(Neurofibrillary Tangles, NFTs)」と呼ばれる線維状の構造を作り出します。

このような変化が神経細胞内で起こることで、細胞の働きが阻害され、最終的には神経細胞の死(脱落)につながると考えられています。


2. アルツハイマー病での脳内変化

アルツハイマー病の脳には、主に2つの異常な構造が現れます:

異常構造原因物質影響
アミロイド斑(プラーク)アミロイドβタンパク質神経細胞間に蓄積し、情報伝達を妨害
神経原線維変化(NFTs)異常なタウタンパク質神経細胞内で蓄積し、細胞死を引き起こす

これらの変化が蓄積することで、脳の萎縮(特に海馬などの記憶領域)が進行し、認知機能が低下していきます。


3. タウタンパク質が重要なカギを握っている

近年の研究では、アミロイドβよりもタウタンパク質の異常蓄積の方が、認知症の症状の重さとより強い相関があることが示されています。
そのため、タウタンパク質の異常を防ぐ・除去することを目的とした治療法やワクチンの研究も活発に行われています。

その他のタウオパチー(Tauopathy)

タウタンパク質の異常は、アルツハイマー病に限らず、他のさまざまな神経変性疾患にも深く関与しています。このようなタウの異常蓄積が主な病理変化として現れる疾患群は、まとめて「タウオパチー(Tauopathies)」と呼びます。

タウオパチーに分類される主な疾患には、以下の3つがあります。

  1. 前頭側頭型認知症(FTD:Frontotemporal Dementia)
    前頭葉や側頭葉の萎縮により、人格変化、行動異常、言語障害などが現れます。
    タウタンパク質の異常蓄積が主に大脳の前方部分にみられます。
  2. 進行性核上性麻痺(PSP:Progressive Supranuclear Palsy)
    眼球運動障害(特に下方を見る動作)姿勢保持障害や転倒が初期症状として現れます。
    タウタンパク質は脳幹や大脳基底核に異常蓄積します。
  3. 大脳皮質基底核変性症(CBD:Corticobasal Degeneration)
    片側の手足の運動障害(動かしにくさ、硬さ)や、手足が自分の意思と違う動きをする「他人の手徴候」などが特徴です。
    タウタンパク質の蓄積は、大脳皮質や基底核に見られます。

これらの疾患では、タウタンパク質の異常が現れる部位や形態が異なるため、症状の現れ方や進行パターンも多様です。そのため、タウオパチーは個別に理解し、適切な診断・治療戦略を立てる必要があるとされています。

タウタンパク質を標的とした治療の可能性

現在、タウタンパク質の異常を抑える治療法の研究が進められています。いくつかのアプローチを紹介します。

  1. タウのリン酸化を抑制する薬剤の開発
  2. タウの凝集を防ぐ抗体療法
  3. タウの異常な蓄積を排除する細胞メカニズムの活性化

これらの研究が進展すれば、アルツハイマー病やその他のタウオパチーの新しい治療法が確立される可能性があります。

まとめ

タウタンパク質は、脳の神経細胞の健康を維持する重要な役割を担っています。
しかし、異常なリン酸化や凝集が起こると、アルツハイマー病やその他の神経変性疾患を引き起こします。
現在、タウタンパク質を標的とした治療法の研究が進んでおり、将来的な治療の可能性に期待が高まっています。

脳の健康を守るためにも、最新の研究に注目し、予防や早期発見の重要性を理解することが大切です。

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