「でも断ってもいいですよ」って、ホントに効くの?
依頼時に一言添えるだけで人が応じやすくなるとされる「BYAFテクニック」。その実力を52件・約2万人のデータで検証した最新メタ分析の結果、「中程度の効果」はあるものの、信頼性には注意が必要なことが判明しました。
特に“対面”での依頼で強い効果が見られる一方、メールや電話では再現性が低く、研究の質によっては過大評価の可能性も…。
今回は、その研究結果のポイントをわかりやすく解説します。
参考:【2023年】「でも、あなたは自由だ」テクニックの有効性:このテクニックのメタ分析と再検証
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論
「BYAFテクニック」は中程度の効果を持つが、研究の質に問題がある可能性があり、特に「対面」での効果が強く、その他の条件では再現性が低いという結果でした。
テキストや通話でも効果はあるかと思っていたんですが、対面限定での効果が強いんですね。
内容の信頼性:7/10点
- メタ分析である点は高評価
- しかし、多くの研究でバイアスや方法論の不備が指摘されており、効果の過大評価が疑われるため減点
何の研究か?
この研究は、「BYAFテクニック」が本当に人の「依頼への応答(コンプライアンス)」を高めるのかを、52件の実験(19,528人分のデータ)を使って分析したものです。「でも断ってもいいですよ」と一言添えることで、人がより頼みを聞いてくれるのかを調べました。
心理的リアクタンスなどの人間の「自由を求める心理」を利用したものと言われいます。
研究した理由は?
過去に行われたCarpenter(2013)のメタ分析には不備があり、効果の信頼性に疑問があるとされていました。そのため、より透明性のある方法で、効果の再検証と改善案の提示を目的として行われました。
メタ分析は信頼が高い研究とは言われますが、不備があればやはり信頼性は下がりますよね。こういった話がでると「ええええ…」と、ちょっと困惑しますね。
結果はどうだったか?
全体の効果量(Hedges’ g = 0.44)
- 「BYAFテクニック」を使うと、人が依頼に応じる確率が中程度に増加することが分かりました。
- この効果量(g = 0.44)は、心理学では「中程度の効果」とされており、完全ではないものの、実用的な影響があると考えられます。
対面での依頼の方が効果的
- 対面(Face-to-face)で「でも断ってもいいですよ」と言われた場合、他の形式(メール、電話、インターネット、手紙)と比べて、はっきりと効果が高いことが分かりました。
- 実際、対面の効果量は g = 0.49 に対し、それ以外の形式では g = 0.15 と大きく差がありました(p = .002 で統計的にも有意)。
インターネットでも効果がなかったんですね。そもそも「断りやすい状況」では、「もともと自由を奪われている感覚がないために、効果が出にくい」ようです。ただ、ZOOMやLIVEなどであれば、対面と似たような効果はでるかもしれません。
例えば、某都市伝説の人はテレビですが、圧力があるので「信じるかどうかはあなた次第です。」というBYAFは効果があるのかも、と思いました。
即時の依頼の方が効果的
- 頼みごとをすぐにした方が、「BYAFテクニック」は効果的でした(g = 0.47)。
- 一方、時間をおいてからの依頼では効果が低く(g = 0.25)、依頼するタイミングが成功率に関わることが示唆されました(p = .05)。
文化・性別・表現の違いは統計的に有意ではない
- 文化(個人主義 vs 集団主義)
個人主義文化の方がやや効果が高い傾向がありましたが、有意差は出ませんでした(p = .08)。 - 依頼する人やされる人の性別
性別による効果の違いは見られませんでした(例:女性の方が応じやすい、などの仮説は支持されず)。 - 言い回しの違い
(例:「ご自由にどうぞ」「無理しないでください」など)についても、明確な差は見られませんでした。
出版バイアスや研究の質の低さが指摘された
- 出版バイアス(効果がある研究だけが出版されやすい傾向)や、方法論の不備(例:ランダム割付をしていない、参加者数が少ない)などの問題が、多くの研究で見つかりました。
- 特に、分析された研究のうち「低リスク(信頼性が高い)」と評価されたものは全体のわずか7件でした。
信頼性が高い7つの研究に限ると効果はほぼ見られなかった
- この7つの高品質研究だけを使ったメタ分析では、効果量は g = 0.11と極めて小さく、統計的にも有意ではないという結果に。
- この結果は、BYAFテクニックの効果が一部のバイアスにより過大評価されている可能性を示しています。