※アフィリエイト広告を利用しています

吐く息を長くすることは「ストレス軽減」にあまり関係ない?|ヴァンダービルト大学2023年研究

「ゆっくり呼吸して、吐く息を長く」——よく聞くリラックス法ですが、本当に効果があるのでしょうか?
今回の研究では、吐く息が長い呼吸と、吸う息と同じ長さの呼吸を比較し、ストレス軽減効果を検証しました。結果は意外にも、「呼吸の長さの比率はあまり関係なかった」というものでした。

効果のカギは「呼吸をゆっくり行うこと」。比率にこだわるより、まずはペースを落とすことが大切なようです。

参考:ストレス軽減のためのゆっくり呼吸:吐く息を長くする効果|ヴァンダービルト大学2023年研究

【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】

ヴァンダービルト大学2023年の研究チームは、12週間にわたって「ゆっくりとした呼吸」を行うことが、心理的ストレスが明確に軽減されることを実証しました。ただし、「吐く息を吸う息より長くする」呼吸法が、ストレス軽減において特別に優れているわけではないという結果になりました。

メンタルコーチしもん
・コーチ/講師/作家
・29年間の不眠症を克服
・5年間の双極性障害を克服
・38歳から運動を開始|マラソン完走&800m優勝
・41歳でレッグプレス137kg達成(体重50kg)
・相談実績1,000件超 ・書籍4冊出版(読者2,000人超)
「自分を再設計し、人生を立て直した体験と知識」を伝えています。

結論

12週間にわたって「ゆっくりとした呼吸」を行うことで、心理的ストレスが明確に軽減されることを実証しました。ただし、「吐く息を吸う息より長くする」呼吸法が、ストレス軽減において特別に優れているわけではないという結果になりました。

「吐く息を長くすると、リラックスしストレス軽減効果がある」とよく聞きますし、私もよく言ったものですが(笑)、そこまで関係ないようです。実際に効果がある呼吸法の「5-5呼吸」「5-5-5-5呼吸」は吐く息も吸う息も一緒ですよね。4-7-8呼吸は吐く息が長いですが、息を止めるが良い効果になっているのかもしれませんね。
ただ、私の体験では「吐く息を長くした方が、ゆっくり呼吸をしやすい」印象です。
そのため、はじめは吐く息を長くし、心拍が落ち着いたら吸う息と吐く息は等間隔ぐらいにしていきます(というより、どっちが長いかを意識しなくする)

内容の信頼性:9 / 10点

  • 研究の規模:99名の健康な成人を対象
  • 方法:無作為化単盲検試験(RCT)
  • 期間:12週間
  • 測定:心理的(PROMIS Anxiety)、生理的(心拍変動)指標の両方を使用
  • 出典:Complement Ther Med掲載、PMID: 36871835

何の研究か?

本研究は、ヨガを基にしたゆっくりとした呼吸法を用いて、以下の2つのグループで効果の違いを比較しました。

  • グループA:吸う息と吐く息が同じ長さ(E=I)
  • グループB:吐く息を吸う息より長くする(E>I)

両グループとも、週1回のヨガ指導+自宅練習を12週間続けました。

研究した理由は?

古くから、ヨガや瞑想では「吐く息を長くすることがリラックスに良い」とされてきましたが、それが本当に科学的に有効かどうかを確かめた研究はありませんでした。

また、ストレスの軽減には自律神経の働きが関係しており、その指標として「心拍変動(HRV)」を使って効果を測ることが重要とされてきました。

心拍変動(Heart Rate Variability、HRV)は、心拍と心拍の間隔(R-R間隔)の変化を示す指標です。
心拍は一定のリズムで動いているように思えますが、実際には微妙に異なる間隔で脈を打っています。心拍変動は、その変動幅がどれくらいあるかを測定するもので、この変動が大きいほど体がストレスに強く、健康的であると考えられています。
心拍変動(HRV)とは?健康状態を読み解く指標と向上させるための具体的な方法

結果はどうだったか?

心理的ストレス(PROMIS Anxiety)は有意に減少!

この研究では、心理的ストレスを「PROMIS Anxietyスコア」で測定しました。
これは、米国国立衛生研究所(NIH)が開発した自己評価式のストレス尺度で、数値が高いほどストレスが強いことを示します。50点が平均で、±10点が標準的なばらつきとされます。

12週間のゆっくり呼吸トレーニングの結果:

  • 吸う息と吐く息が同じ(E=I)グループは、
    → 平均スコアが -4.30点 減少(標準偏差 ±4.32)
    → 信頼区間 [-5.60, -3.00] で統計的に有意な改善
  • 吐く息の方が長い(E>I)グループは、
    → 平均スコアが -5.37点 減少(標準偏差 ±6.46)
    → 信頼区間 [-7.24, -3.49] でこちらも有意な改善
  • 両者の差(E>I – E=I)はわずか1.07点であり、効果量d=0.2という「非常に小さい差」と評価。
    → p値は0.350で「有意差なし」

結論:吐く息を長くすること自体がストレス軽減に特に強い効果を与えたわけではない。呼吸をゆっくり行うこと自体に効果があったと考えられます。

有意差はなしですね。でも、有意差がない場合のように「どっちでもいい場合」は、昔から言われているほうを念のため優先してもいいと思います。
すなわち、「吐く息を長くする」ですね。デメリットはありませんし。
余談ですが、個人的感覚では、息が乱れているときは「吐く息を長くする」、息が整っているときは「吸う息・吐く息の長さ関係なく、ただゆっくり呼吸する」が効果が高いと感じていますね。

生理的ストレス(HRV:心拍変動)には有意な差なし

ストレスに関連する自律神経の変化を測定するために、心拍変動(HRV)のうち「高周波成分(HF RRI)」を主な指標として使いました。これは副交感神経の活動レベルを示すとされています。

  • E=Iグループ
    → HF RRIの変化:+5.17 ms²(±278.85)
    → ほぼ変化なし、信頼区間 [-87.80, 98.15]
  • E>Iグループ
    → HF RRIの変化:+66.70 ms²(±489.12)
    → 増加は見られたが、変動が大きく、統計的に有意ではない(p=0.563)
  • グループ間差も有意ではなく、効果量も d=0.12 と極めて小さい値

💡 補足:LF(低周波)、LF/HF比、RMSSD(ストレス耐性の指標)など他の指標も分析されましたが、いずれも有意な変化は見られませんでした

意外な結果ですね。参加者が健康な成人だったため、もともとストレスが少なかった可能性があると示唆されています。あと、この後にありますが、「練習の忠実度が高かった」ので、そもそもメンタルが安定していた人たちって可能性はありますね。

練習の忠実度(コンプライアンス)は非常に高かった

この研究は介入への参加率と練習継続率が非常に高かった点が注目されます。

  • ヨガの個別指導:平均10.7回 / 全12回中(約89%の出席率)
  • 自宅での呼吸練習:週平均4.8回(±1.2回)
  • 呼吸数:訓練を通じて徐々に減少し、多くの参加者が1分間に3回以下の深い呼吸を達成

また、呼吸の比率(E=IまたはE>I)に対する遵守状況も高く、HEXOSKIN(生体測定シャツ)によるモニタリングで確認されました。

結論:実施率が高かったことで、結果の信頼性はさらに高まっています。

もともと意欲が高く、継続力がある人が集まったのか。ヨガの個別指導をした人がとても良かったのか。ここは忠実度がばらけていたほうが信頼性が高い気がしますね。

タイトルとURLをコピーしました