加点方式とは、ミスや不足に目を向ける減点方式とは異なり、達成したことや努力したことを積極的に評価する考え方です。学校のテストや仕事の評価で「失敗した部分」ではなく「できた部分」に焦点を当てる方法とも言えます。
特に自己成長やメンタルヘルスにおいて、加点方式は非常に効果的です。小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感が高まり、前向きな姿勢が生まれます。
野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・YouTube「メンタルコーチしもん」登録数1.3万
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
加点方式と減点方式の違い
加点方式と減点方式は、物事の見方や評価の仕方が大きく異なります。以下の表で違いを比較してみましょう。
項目 | 加点方式 | 減点方式 |
---|---|---|
視点 | できたこと、成長したことに注目 | できなかったこと、ミスに注目 |
心理的影響 | 自己肯定感が高まる | 自己批判が強まる |
モチベーション | 継続しやすくなる | 落ち込みやすくなる |
結果への影響 | 小さな成功が積み重なる | ミスを避ける意識が強くなる |
成長の感じ方 | 成長の実感を持ちやすい | 完璧を求めすぎてストレスを感じやすい |
加点方式は、ポジティブな感情を引き出し、成長を促進する効果が期待できます。一方で、減点方式はストレスを伴いやすく、完璧主義に陥りやすい傾向があります。
ゴールからではなく、スタートからの進捗を考える視点
加点方式をさらに効果的にするのが、「スタート地点からの進捗を振り返る」という視点です。多くの人はゴールを基準にして進捗を測り、「まだこれだけしか進んでいない」と感じがちです。しかし、スタート地点に立ち戻ってみると、「これだけ進めた」と自分を肯定することができます。
例:
- マラソンの練習で「10km走れなかった」ではなく、「1ヶ月前は1kmしか走れなかったが、今は5km走れるようになった」と考える。
- 新しいスキルを学ぶ際、「まだ完璧ではない」と嘆くのではなく、「最初は全く知らなかったけど、基本的な操作はできるようになった」と振り返る。
この視点の違いが、モチベーション維持や自己肯定感を高めるカギとなります。
なぜスタートからの進捗を見ることが重要なのか?
1. 自己批判を減らせる
ゴールだけを見ると、自分の未熟な部分が目立ちやすくなります。一方で、スタート地点から振り返ると、自分の成長が視覚化され、自己批判を抑えることができます。
2. 小さな成功を積み重ねられる
加点方式は小さな成功体験を重視します。スタート地点からの進捗を見れば、日々の努力が「進歩」として認識されやすくなります。
3. モチベーションが持続する
「自分は成長している」という実感は、さらなる努力のエネルギーになります。成長が見えれば、行動を継続しやすくなります。
実践方法: スタートからの進捗を見つめるための3つのステップ
1. 小さな変化を記録する
日記やメモを使い、1週間ごとに自分の成長を振り返る時間を作りましょう。「できたこと」「前より楽にできるようになったこと」を記録します。これにより、自分が着実に前進していることを視覚的に確認できます。
2. 過去の自分を比較対象にする
他人と比較するのではなく、「昨日の自分」「1週間前の自分」を振り返ります。過去の自分と比べて少しでも成長していれば、それを素直に喜びましょう。
3. できたことリストを作る
日常生活で達成できたことを「できたことリスト」としてまとめます。どんなに小さなことでも良いので、「これができた」と加点していきます。
例:
- 30分間集中して読書できた
- 1日10分ウォーキングを継続した
- 難しい会議で発言できた
これらの積み重ねが、大きな自信とモチベーションになります。
スタート地点を振り返ることで得られるメリット
1. 精神的な安定感が増す
過去の自分と比較することで、「自分は頑張っている」という安心感が生まれます。これが精神的な安定に繋がります。
2. 自分に優しくなれる
過去の努力を認めることで、自分に対してより寛容になります。ミスや失敗を責めるのではなく、「次に活かせばいい」と前向きに捉える習慣がつきます。
3. 長期的な成長が見える
短期的な成果に一喜一憂するのではなく、長期的な成長が見えるようになります。大きな目標に挑む際にも「コツコツ進めれば必ず成果が出る」と信じることができます。
加点方式を活かした日常の工夫
- 仕事: プロジェクトで完璧を目指すのではなく、「前回より良くなった部分」を意識する。
- 運動: 体力がついたことを感じたら、スタート時点の記録と比べてみる。
- 学習: 学び始めたスキルの進捗を細かく記録し、小さな進歩に目を向ける。
加点方式を取り入れることで、日々の成長を楽しめるようになります。ぜひ、スタート地点からの進捗を大切にしながら、自分自身を肯定していきましょう。