目標を立てても、途中で挫折してしまったり、思ったように進まなかったりすることはありませんか?そんなときに役立つのが、WOOP(ウープ) という心理学に基づいたシンプルな目標達成メソッドです。
WOOPを活用すれば、ポジティブな未来を思い描くだけでなく、現実的な障害に対応しながら着実に前に進むことができます。
この記事では、WOOPの概要ややり方、効果について詳しく解説します。
WOOPとは?
WOOPは、ドイツの心理学者 ガブリエル・エッティンゲン(Gabriele Oettingen) が開発した目標達成のためのフレームワークです。
WOOPは、次の4つのステップで構成されています。
- W(Wish) :達成したい目標を決める
- O(Outcome) :目標が叶ったときの理想の結果を思い描く
- O(Obstacle) :目標達成を邪魔する障害を特定する
- P(Plan) :障害が起きたときの対処方法を決める(if-thenプラン)
この流れに沿って考えることで、夢を現実にするための具体的な行動が明確になり、実行しやすくなる のがWOOPの大きな特徴です。これはメンタルコントラストの心理を使ったメンタル戦略です。
メンタルコントラストとは?
「ポジティブな未来のイメージ」と「現実に存在する障害」を対比し、目標達成率を高める心理的アプローチのこと。ドイツの心理学者 ガブリエル・エッティンゲン(Gabriele Oettingen) の研究によると、夢を見るだけでは行動につながらないことが分かっています。
ある研究では、ダイエットを目指す人が「痩せた自分」をポジティブに想像すると、実際の体重減少が少なかった という結果が出ました。これは、理想の未来を思い描くだけで満足し、行動が伴わなくなる ためだと考えられました。
https://hitsuji-nemuru.com/mental-contrasting/
なぜWOOPは効果的なのか?
多くの人は、「目標を達成した自分」をポジティブに想像するとやる気が出ると考えがちです。
しかし、ドイツの心理学者 ガブリエル・エッティンゲン(Gabriele Oettingen) の研究によると、ポジティブ思考だけでは行動につながらない ことが分かっています。
エッティンゲンの研究では、次のような2つの結果が示しました。
- ポジティブに未来を思い描いた人
→ 実際の行動量が減り、達成率が低かった - WOOPを使って障害を特定し、対策を立てた人
→ 目標達成率が大幅に向上した
これは、目標と現実のギャップを認識することで、やるべき行動が明確になり、実際に動きやすくなる ためです。逆にポジティブに未来を思い描いた人は「やればできる」という満足感を得るため、行動がおろそかになりやすいです。
WOOPによって起きる3つの変化
WOOPを続けると、次のような3つの変化が期待できます。
①目標に向かって行動しやすくなる
②失敗してもメンタルが崩れずに立て直す力がつく
③計画の実行力が向上し、自己管理が上手くなる
特に、「障害を想定し、事前に対策を考えておく」ことで、途中で挫折するリスクを減らせるのがWOOPの最大の強みです。
マサチューセッツ総合病院2017年研究
1ヶ月間の集中治療室ローテーション中の研修医34名が対象。多忙な研修医がWOOPによって、従来の目標設定に比べて「自主的に勉強する時間が増えるか」を調査しました。
WOOPを使ったグループは、勉強時間が平均で1週間4.3時間増加。さらに学習習慣や時間管理にする満足度もアップ。実験による効果量は0.66で中~大程度の効果でした。
WOOPのやり方4ステップ
WOOPは4ステップのシンプル方法をとります。ですが、非常に効果的な方法です。
1. Wish(願望を明確にする)
最初に、あなたが達成したい目標を1つ選びます。
「〇〇をやり遂げたい!」とワクワクするものがベストです。
例:「毎日30分勉強する」「運動を習慣にする」「早起きをする」
2. Outcome(最高の結果を想像する)
目標が達成されたとき、どんな良いことがあるかを具体的に思い描きます。
ポジティブな未来のイメージはモチベーションを高めます。
「成功したらどう感じる?」を考え、できれば「五感でイメージができるぐらいにポジティブなイメージをする」と、モチベーションが高まりやすくなります。
例:「試験に合格して自信がつく」「健康的で気分が良くなる」
ただし、ここで終わると、実際に行動ができない可能性があがるので注意。
3. Obstacle(障害を特定する)
目標達成を妨害する現実的な障害を考えます。
「何が原因で目標が挫折するか?」を明確にするということです。
例:「疲れて勉強をサボる」「運動が面倒に感じる」「朝二度寝する」
4. Plan(対策を立てる)
障害が発生したときの行動プランを決めます。
「もし〇〇が起きたら、△△をする」(if-thenプラン)を作ります。
〇〇に入るのが「目標達成を妨害する現実的な障害」です。
例:「もし勉強が面倒になったら、5分だけとりあえず始める」
例:「もし朝起きられなかったら、アラームを2回セットする」
イフゼンプランニングとは?
2019年のウィーン大学のメタ分析では、4つの効果がありました。
①最大20%少ない努力で同じ成果を出せる
②意識的に頑張るよりも約30%行動を早く開始できる
③運動や勉強など多分野で成功率がアップする
④自己制御能力があがる|ADHDの子どもの反応抑制成功率8%向上
イフゼンプランニングとは?20%少ない努力で同じ成果を出す方法。― 行動を自動化し、目標を達成する ―
WOOPの注意点
適切な目標設定をするものではないので、注意です。
あくまでWOOPは、目標達成を高める方法だからです。
目標設定は価値観を意識して、設定しくことが大事。
まとめ:WOOPで目標達成をもっと簡単に!
WOOPは、シンプルだけど強力な目標達成のツールです。
💡 WOOPの4ステップ
1️⃣ Wish :目標を決める
2️⃣ Outcome :成功したときの最高の結果を思い描く
3️⃣ Obstacle :目標達成の障害を特定する
4️⃣ Plan :障害が起きたときの対処法を決める
「なかなか行動できない」「目標を立てても続かない」と感じる人は、ぜひWOOPを試してみてください!毎日5分でできるので、習慣にするのもおすすめです。