「休日も寝てるだけで終わってしまう」
「しっかり寝たはずなのに、朝からだるい」
「気分転換したつもりが、かえって疲れた」
それは、休息の“質”が足りていないからかもしれません。
この記事では、ヨーロッパの労働心理学者たちが提唱した「エフォート・リカバリーモデル(Effort-Recovery Model)」という理論をもとに、「本当に疲れが取れる休み方」について、わかりやすく解説します。
エフォート・リカバリーモデルとは?:努力と回復のバランス理論
このモデルは、1998年にオランダの労働心理学者**Meijman(マイマン)とMulder(ミュルダー)**によって提唱されました。
理論の基本構造:
人間は、日中に「努力(エフォート)」を使って仕事や家事、対人関係にエネルギーを注ぐ。
その後、適切な「回復(リカバリー)」を取らないと、ストレスが蓄積され、疲労が慢性化する。
つまり、人間の健康維持には…
- 努力(Effort)=エネルギーの消費
- 回復(Recovery)=エネルギーの再充電
このバランスが不可欠だとする考え方です。
なぜ「努力ばかり」ではダメなのか?
現代社会では、次のような状況に心当たりがある人が多いのではないでしょうか。
- 仕事中はマルチタスク、終業後もLINEやメールに追われる
- 家に帰っても育児・家事で気が休まらない
- 休日もSNSやYouTubeで頭を使い続けている
これらはすべて、「努力だけして、回復していない状態」です。
この状態が続くと、心身ともに次のような影響が現れます:
心の変化 | 体の変化 |
---|---|
イライラする | だるさが抜けない |
集中できない | 慢性的な肩こり・頭痛 |
やる気が出ない | 寝ても眠い |
「本当の回復」とは何か? 〜“心理的切り離し”がカギ〜
エフォート・リカバリーモデルにおける「回復」とは、単に「何もしないこと」ではありません。
回復には“心理的切り離し”=detachment(ディタッチメント)が重要です。
心理的切り離しとは?
- 仕事のことを完全に忘れる
- 義務感から解放される
- 「やらなきゃ」ではなく「やりたい」ことに没頭する
たとえば:
- 散歩しながら空を見上げる
- 趣味に夢中になる
- 自然の中でゆっくり過ごす
これらの行動によって、脳が「努力モード」から「回復モード」に切り替わるのです。
エフォート・リカバリーモデルを活かす4つの具体的な習慣
① ワークオフ後のルーティンを作る
- 帰宅後すぐにメールやLINEを見ない
- 「お疲れさま」のお茶を1杯飲む時間を習慣化
② 週に1日は“完全オフ”の時間を作る
- 買い物・掃除もお休みの日をつくる
- できればスマホもお休み(デジタルデトックス)
③ 「活動的な休息」を取り入れる
- 軽い運動(ヨガ・散歩・ストレッチなど)
- 身体を動かすことで心が休まる不思議な現象が起きる
④ 睡眠だけに頼らない
- 寝るだけでは「心理的な回復」が不十分
- 昼間のリズム・感情のケアがむしろ重要
忙しい人のための「マイクロ回復」テクニック
「休む時間なんて取れない…」という人も大丈夫。
以下のような“すき間リカバリー”も、効果があります。
- エレベーターで深呼吸3回
- 昼休みに5分だけ自然音を聴く
- 目を閉じて1分間「何もしない」時間を取る
ポイントは、脳を努力状態から一時的に切り離すことです。
まとめ:疲れをためない人は「回復の質」が違う
エフォート・リカバリーモデルは、単なる理論ではなく、
「日々の疲れとどう向き合うか?」という、現代人に必要な生き方のヒントです。
「努力する → 回復する → また頑張れる」
この健全なサイクルを取り戻すことが、疲労を慢性化させず、
元気に働き、笑い、暮らしていくための秘訣です。
まずは今日、「自分の回復タイム」を5分でも意識してみましょう。
あなたの心と体が、少しずつ軽くなっていきますよ。