新しい行動や習慣を身につけるには、「続ける」ことが重要です。しかし、行動を継続するのは簡単ではなく、途中で挫折しやすいのが現実です。そんなときに注目されるのが、**「20秒ルール」**です。20秒ルールとは、目標行動に取りかかるまでの時間を短縮することで、習慣化を助ける手法です。このアイデアは、心理学者ショーン・エイカーが著書『The Happiness Advantage』で紹介したもので、行動に対する心理的・物理的なハードルを下げることで無理なく続けやすくなる効果があります。
この記事では、20秒ルールの具体的な実践方法や効果、日常生活での活用法について詳しく解説していきます。
野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・YouTube「メンタルコーチしもん」登録数1.3万
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
20秒ルールが習慣化に役立つ理由
新しい習慣を身につける際には、行動を始めるまでの「障害」をできる限り減らすことが大切です。取り組むまでに必要なステップが少なければ少ないほど意欲が湧き、継続が容易になります。たとえたった20秒の短縮でも、次のような効果が期待できます。
1. 心理的な抵抗が減る
運動や勉強など、始める前に「面倒」と感じることが多い行動も、準備の手間が減ることで始めやすくなります。20秒ルールを使って行動開始までの時間を短縮することで、「やりたくない」という気持ちを軽減できます。
2. 行動が自動化されやすくなる
20秒ルールによって行動の起点が簡単になると、行動の繰り返しが習慣として定着しやすくなります。最初は意識して行っていた行動も、次第に自動化され、無意識に実行できるようになります。
3. やる気や意思力に頼らない
習慣化に失敗する原因の一つは、やる気や意思力に過度に頼ってしまうことです。20秒ルールを使って行動を始めやすくすることで、モチベーションに依存することなく行動を続けられます。
20秒ルールの実践方法
20秒ルールの要点は、行動に取り掛かるまでの時間を20秒以内に短縮することです。これを実現するための具体的な方法をご紹介します。
1. 必要な道具や環境を整える
行動に必要なものをあらかじめ整えておくことで、スムーズに行動を始められるようにします。
- 運動の場合:前夜のうちにスポーツウェアやスニーカーを準備し、見えるところに置いておきましょう。起きたらすぐに運動に取り掛かれるため、朝のハードルが低くなります。
- 勉強や読書の場合:勉強したい場所に参考書やノートを置くと、準備の時間が短縮され、すぐに始められます。リビングに電子書籍リーダーを置いておくと、ちょっとした時間に本を手に取ることが習慣化しやすくなります。
2. 行動の「きっかけ」を設定する
行動を20秒以内に始められるように、行動の「きっかけ」を決めておくと効果的です。きっかけは、自分の生活リズムに合わせたものが理想的です。
- 寝る前の習慣:寝る前に瞑想を習慣化したい場合は、寝室にヨガマットを置き、布団のすぐ近くで行えるようにします。布団に入る前にサッと瞑想を始められるため、続けやすくなります。
- 食後のルーティン:健康のために食後に軽い運動を習慣化したい場合、食事の後に必ず立ち上がる動作を加えるようにしましょう。最初は20秒間歩くだけでも良いので、食後に自然と行動が始められます。
3. 20秒以内に始められる小さな行動からスタートする
いきなり大きな目標に取り組むのではなく、まずは20秒でできる小さな行動からスタートすることで、習慣化しやすくなります。
- 読書:いきなり1時間の読書を目指すのは負担が大きいため、「20秒だけ読む」と決めてみましょう。少しずつでも読み進めるうちに、読書が習慣化しやすくなります。
- 筋トレ:毎日の筋トレを習慣化したい場合、まずは20秒間だけ腕立て伏せやスクワットなどの簡単なエクササイズを行います。最初は少しずつでも、習慣化しやすくなり、次第に時間を延ばしやすくなります。
20秒ルールを活用した成功事例
20秒ルールを日常生活で取り入れると、無理なく習慣化が進みます。以下は、20秒ルールを活用して新しい習慣を身につけた成功事例です。
1. 毎日の英語学習
英語の勉強を継続したい場合、リビングに英語のテキストを置き、毎朝目に入る場所に配置します。そして、朝起きたらすぐにテキストを開いて20秒だけ読むようにします。少しの努力でも、続けることで英語学習が習慣化し、少しずつ上達が感じられます。
2. ウォーキングの習慣
健康のためにウォーキングを習慣化したい場合、玄関にウォーキングシューズを置いて、帰宅後にすぐ履けるようにしておきます。帰宅後にシューズを履くだけで、自然とウォーキングに出かけやすくなり、結果として運動が習慣化されます。
3. SNSの使用時間を減らす
SNSの使用を減らしたい場合、スマートフォンを遠い場所に置き、アプリを開くまでに20秒以上かかるようにします。これにより、頻繁に手に取ることが減り、代わりに本を読んだり、家事に時間を使ったりする機会が増えます。
習慣化における20秒ルールのメリットとデメリット
20秒ルールを活用することで習慣化が容易になる一方で、いくつかのデメリットもあります。ここでは、メリットとデメリットについて見てみましょう。
メリット
- 簡単に始められる:わずか20秒という短い時間で行動に移せるため、心理的な負担が少なく、気軽にスタートできます。
- 習慣化しやすい:最初のステップが簡単であるほど、自然に習慣として定着しやすくなります。
- モチベーションが持続する:20秒だけでも実行することで達成感が得られ、次の行動への意欲も高まりやすくなります。
デメリット
- 目標が曖昧になりやすい:20秒の短縮にこだわりすぎると、結果として習慣そのものが曖昧になり、効果が薄れることがあります。
- 環境の調整が必要:20秒ルールを適用するためには、環境を整える準備が必要で、初期段階で負担を感じる場合もあります。
まとめ:20秒ルールで習慣を無理なく定着させよう
20秒ルールは、行動に取り掛かるまでのハードルを下げ、無理なく新しい習慣を身につけるための効果的な手法です。小さなステップから始めることで、行動が日常に自然と組み込まれ、習慣として定着しやすくなります。
習慣化を目指す際は、まず20秒だけを意識し、自分が身につけたい行動をリストアップし、それぞれに「20秒ルール」を試してみましょう。毎日少しずつの積み重ねが、大きな変化へとつながり、充実した生活をサポートしてくれます。