「最近、日中に強い眠気を感じたり、食欲がコントロールできないと感じたことはありませんか?
その背後には、脳内で働く神経伝達物質 「オレキシン」 が関係しているかもしれません。
オレキシンは、私たちの 覚醒状態を維持し、食欲を調整する 重要な役割を担っています。
本記事では、オレキシンの働きや関連する病気、さらにはオレキシンを活性化する生活習慣について詳しく解説します。日々の健康管理に役立つ知識をぜひチェックしてください!」
1. オレキシンとは?
オレキシン(Orexin)は、覚醒や食欲を調節する神経伝達物質(ペプチド)です。
ヒポクレチン(Hypocretin)とも呼ばれ、1998年に発見されました。オレキシンを作る神経細胞は、脳の視床下部に存在し、身体のエネルギーバランスや睡眠・覚醒リズムを調整する重要な役割を果たします。
2. オレキシンの役割
(1) 覚醒の維持
オレキシンは、脳の覚醒系を活性化し、眠気を防ぎ、注意力を維持する働きを持ちます。
オレキシンが不足すると、日中の過度の眠気や突然の睡眠発作を引き起こす「ナルコレプシー」という病気になることが知られています。
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(2) 食欲の調節
オレキシンは、空腹時に分泌が増加し、食欲を刺激する作用を持ちます。
エネルギーが不足すると、オレキシンが活性化して食事を促すことで、エネルギーバランスを維持します。
そのため、オレキシンが減少すると食欲低下や体重減少につながることがあります。
(3) ストレス応答と運動機能の調整
オレキシンは、ストレスや運動と関連して、交感神経を活性化する作用もあります。
例えば、危険を察知した際にすぐに行動できるように、オレキシンが働いて覚醒レベルを高めるのです。
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3. オレキシンと関連する疾患
(1) ナルコレプシー
オレキシンが不足すると、突然眠ってしまう「ナルコレプシー」を発症します。
特に、オレキシンを作る神経細胞が減少することが主な原因と考えられています。
ナルコレプシー患者は、日中の強い眠気や、情動(驚き・笑い)による突然の筋力低下(情動脱力発作:カタプレキシー)を経験することがあります。
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(2) 睡眠障害と肥満
オレキシンは、睡眠のリズムや食欲と密接に関連しているため、オレキシンの異常は不眠症や肥満の原因となることがあります。
特に、睡眠不足によってオレキシンが過剰に分泌されると、食欲が増して過食につながる可能性があります。
(3) アルツハイマー病との関係
近年の研究では、オレキシンがアルツハイマー病の発症に関与している可能性が指摘されています。
オレキシンが過剰に分泌されると、睡眠の質が低下し、脳内にアミロイドβが蓄積しやすくなると考えられています。
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4. オレキシンを活用した治療と薬
オレキシンの働きを調節する薬は、すでにいくつか開発されています。
- スボレキサント(ベルソムラ)
→ オレキシンの作用を抑えることで、不眠症の治療に用いられます。 - ナルコレプシー治療薬
→ オレキシンを補うことで、覚醒を維持する研究が進められています。
5. オレキシンを自然に増やすには?
オレキシンの分泌を促すためには、以下の習慣が重要です。
✅ 規則正しい睡眠をとる(睡眠不足を避ける)
✅ 適度な運動をする(運動がオレキシンを活性化)
✅ バランスの良い食事をとる(特にたんぱく質をしっかり摂る)
✅ ストレスを溜めない(リラックスする時間を作る)
まとめ
オレキシンは、覚醒と食欲を調節する重要な神経伝達物質で、睡眠やエネルギーのバランスを保つ働きをしています。ナルコレプシーや睡眠障害、肥満などの病気とも深く関わっており、今後の研究や治療薬の開発が期待されています。
健康的な生活習慣を意識することで、オレキシンの働きを自然にサポートし、質の高い睡眠と活力のある日々を送りましょう!