新しくジムに入会した人が、運動を習慣化するにはどのくらいの期間が必要なのでしょうか?
この研究は、運動習慣がどのように形成されるかを探り、私たちの行動における「意識的」と「無意識的」な要因の関係を明らかにしました。
参考:2015年ジム新規会員における運動習慣形成:縦断的研究
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論
運動習慣を身につけるには、6週間にわたって週4回の運動が必要であることがわかりました。
また、運動を楽しく、シンプルにし、一貫性を保つことが習慣形成に重要です。
「週4回も運動しなくちゃいけないの?」と思うかもしれないんですが、それは運動のハードルが高い可能性があります。
ウォーキングを5~10分ぐらいでもOKです。習慣ができてくると、体力だけではなく、気持ちも負荷も下がるので、そのあとから強度や時間を伸ばしていけばOKです。
内容の信頼性:10点満点で 8点
本研究は111人の新規ジム会員を対象に、12週間にわたり追跡調査を行っています。
科学的根拠や統計分析(LMMモデル)に基づいており、信頼性は高いですが、対象者の規模や文化的背景の違いが影響する可能性があるため、完全とは言えません。
何の研究か?
この研究は、運動習慣がどのように形成されるのかを調査しています。
特に「Dual Process理論(意図と習慣の二重プロセス)」に注目し、運動習慣の形成にはどの要因が関与するのかを解明しました。
Dual Process(デュアルプロセス)理論は、人間の行動や意思決定が「2つのシステム」によってコントロールされているとする考え方です。特に、習慣や運動行動の研究で注目されています。
ざっくり言うと、「考えて行う行動」と「考えずに行う行動」です。実際には白黒で分けられません。
例えば、スマホを見ない方が良いと思っていても、スマホを見てしまうのは「考えずに行う行動」のパワーが強いからです。そのため、「考えずに行う行動=習慣」を調べものですね。
二重過程理論:システム1とシステム2の詳細と日常生活への応用
研究した理由は?
これまでの運動行動研究は、主に「理性的な意思決定」に焦点を当ててきました。
しかし最近の研究では、「無意識的な習慣」も行動に強い影響を与えることが分かってきました。
そこで、この研究では、どのような条件下で運動が習慣化されるのかを具体的に検証しました。
理性的な意思決定は、継続では難しいことが多いです。毎回、「行動するぞ!」という意思決定が必要なため、意思決定疲労がたまりやすくなります。しかも、モチベーションに依存しやすいです。
結果はどうだったか?
週4回・6週間の運動が習慣形成の最低条件
研究では、新しくジムに入会した111人を12週間追跡しました。その結果、1週間に4回以上の運動を6週間続けることが、運動を「習慣」に変えるための最小限の条件であると判明しました。つまり、「たまに」運動するだけでは習慣にはなりにくく、一定の頻度と期間が必要です。
習慣形成に有効な4つの要素
運動を習慣化するためには、以下の4つの要素が有効であることがわかりました。これは、統計的な分析(LMM: 線形混合モデル)で示された結果です。
- 一貫性(β=0.21)
→ 毎週同じ曜日・時間に運動するなど、ルーティン化することが重要。 - 行動のシンプルさ(β=0.19)
→ 複雑なトレーニングではなく、わかりやすい・簡単な運動(例: ウォーキングや軽い筋トレ)から始めると習慣化しやすい。 - 運動環境(β=0.17)
→ 通いやすいジムや自宅の運動スペース、快適な雰囲気が、継続を後押しします。 - ポジティブな感情(β=0.13)
→ 「楽しかった」「気持ちよかった」という感情が次の運動意欲につながります。
ポジティブ感情に関しては、運動後に記録をとる・自分で工夫してエクササイズを決める、がおすすめです。
これはオペラント条件付け行動(ポジティブリインフォースメント)、プログレスの原則、イケア効果などでポジティブ感情が高まるためです。しかも、外発的動機につながりにくいため、ぶれずにモチベーションを維持しやすくもなります。
習慣と意図は並行して行動に影響を与える(Dual Process理論)
これまでの運動研究は「意思(意図)」に基づくものが主流でしたが、最近の理論では、意図とは別に「無意識的な習慣」も行動を左右するとされています。
この研究では、習慣と意図の両方が並行して行動に影響を与えることが示されました。つまり「やる気(意図)」だけでは不十分で、習慣として体が自然に動く状態を作ることが重要です。
トレーナーが取るべきアプローチ
これらの結果から、初心者に対しては以下を意識することが推奨されています。
- 楽しめる運動を取り入れる(例: ダンス、友人と一緒に運動)
- 難しすぎない運動内容(例: 簡単なメニュー)
- 毎週同じスケジュールで運動する(例: 月水金の決まった時間)
- ポジティブなフィードバック(例: 「よくできたね!」と声をかける)
これにより、運動が「習慣」として定着しやすくなります。
「ポジティブなフィードバック」と「(一般的な)褒める」の違いには要注意