慢性的な頭痛に悩む多くの人々にとって、薬に頼らない治療法は重要な選択肢の一つです。本研究は、瞑想を中心としたマインドフルネスに基づくストレス軽減法(MBSR)が、慢性頭痛の痛みと生活の質にどのような効果を与えるのかを検証したものです。
参考:慢性頭痛患者におけるマインドフルネスに基づくストレス軽減が知覚される痛みの強さと生活の質に及ぼす効果|イラン医科大学2015年研究
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論
MBSRは慢性頭痛患者の「知覚される痛みの強さ」を大幅に軽減し、「生活の質」の多くの側面を改善する効果があることが明らかになりました。薬物療法との併用も効果的で、今後の頭痛治療における重要な非薬物的アプローチとなり得ます。
痛みの強さを大幅に軽減は嬉しい効果ですよね。
心身が壊れるレベルの痛み(ストレス)が続くのはNGですが、ある程度の痛みは乗り越えたほうが健康にも良いですし。
痛みレベルが高いと、回復行動(軽い運動、温泉に行く、気晴らしに出かけるなど)がそもそもとれなくなって、痛みや疲労が長続きする原因にもなります。
内容の信頼性:9/10点
- サンプル数は少ない(37名)が、対照群との比較がなされ、統計的な分析も十分に実施されている。
- 結果の一貫性と他の研究との整合性も高い。
- 欠点としては長期的効果の検証が不十分。
補足資料ぐらいで。
何の研究か?
この研究は、慢性片頭痛や緊張型頭痛に苦しむ人々に対して、8週間のMBSRプログラムが痛みの程度や生活の質(QOL)にどのような効果をもたらすかを検証するものでした。対象はイランの医療機関で診断された患者で、MBSR群と薬物療法のみの対照群に分けて比較が行われました。
8週間のMBSRプログラムと言いますが、瞑想は継続していった方が良いんだろうなと思います。ちなみに私は最近(2025年8月)サボり気味だったので。前よりも痛みや不快感に弱くなっている気がしているんですよね。
研究した理由は?
頭痛に対する薬物治療には副作用や限界があり、多くの患者が満足できない現状があります。
マインドフルネスは慢性痛への新たなアプローチとして注目されており、非薬物的な治療としての有効性を科学的に検証するために本研究が行われました。
鎮痛剤などの効果は高いですが、副作用と耐性がついちゃうことが問題ですよね。
ちなみに私は7年前まで偏頭痛にとても苦しめられていましたが、現在は偏頭痛は年に1~2回しかないです。運動、食事改善、マインドフルネス瞑想のおかげと思っていますね。
結果はどうだったか?
■ 痛みの強さに対する効果
- MBSR群の痛みスコア(平均):53.89点
- 対照群の痛みスコア(平均):71.94点
- この差は統計的に非常に有意であり(F=30.68, p=0.001)、痛みの強度が約18点も減少しました。
- 共分散分析では部分η² = 0.47と大きな効果量が示され、MBSRが痛みの軽減にかなり有効であることが分かります。
痛みスコアは0〜100点のスケールで評価されます。18点の差というのは、単純計算で約25%の痛み軽減に相当するので、かなりのものですね。
■ 生活の質(QOL)に対する効果
SF-36の8つの下位項目のうち、以下の7項目で有意な改善が確認されました。
指標 | 内容 | 改善の有無 | 統計値(F, p, 効果量) |
---|---|---|---|
RP | 身体的健康による役割制限 | 有意に改善 | F=5.67, p=0.025, η²=0.18 |
BP | 身体的痛み | 有意に改善 | F=12.62, p=0.002, η²=0.34 |
GH | 全般的健康 | 有意に改善 | F=9.44, p=0.005, η²=0.28 |
PCS | 身体的健康の合計スコア | 有意に改善 | F=9.80, p=0.004, η²=0.28 |
VT | 活力(エネルギー) | 有意に改善 | F=12.60, p=0.002, η²=0.34 |
AH | 感情的健康(抑うつ、不安) | 非常に有意に改善 | F=39.85, p=0.001, η²=0.61 |
MCS | 精神的健康の合計スコア | 有意に改善 | F=12.49, p=0.002, η²=0.33 |
特に注目すべきは、**感情的健康(AH)**での効果が極めて高く、効果量(η²)=0.61は非常に強い影響を示しています。
マインドフルネス瞑想で、人生のネガティブな感情や感覚対策にはかなり有効ですよね。
■ 有意差がなかった項目
以下の3つのサブスケールでは、有意な差は確認されませんでしたが、MBSR群の平均スコアは対照群よりも高く、「改善傾向」は見られました。
指標 | 内容 |
---|---|
PF | 身体機能(歩行や日常動作など) |
RE | 感情的問題による役割制限 |
SF | 社会的機能(他人との交流や活動) |
感情的問題による役割制限とは、感情によって行動ができなくなる話です。
感情的な健康が良くなっても、行動には反映に関しては有意差はなかったようです(改善傾向はあった)。
感情的なものではなく、認知的なものがより関わっているからではないでしょうか?
認知行動療法や、マインドフルネスから行動につなげるACTなどを取り入れるのが良さそうですね。