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日本の「社会的時差ぼけ」が慢性化している人は40.1%【2019年】

私たちの毎日の生活は、「社会の時間」と「体内の時間」のバランスの上に成り立っています。しかし現代では、多くの人が平日は早起きして働き、休日になると遅くまで寝る――そんな「平日と休日の生活リズムのズレ」が当たり前になっています。

このような状態は、医学的には「社会的時差ぼけ(Social Jetlag, SJL)」と呼ばれ、単なる生活の乱れではなく、健康リスクを高める要因として国際的に注目されています。

特に日本では、若者を中心に睡眠負債を抱える人が多く、SJLの影響が強く現れている可能性が指摘されてきましたが、これまで全国規模でその実態を調査した研究はほとんどありませんでした。

本稿では、2019年に実施された日本初の大規模調査「社会的時差ぼけに関する全国横断的インターネット調査」の結果をもとに、SJLの定義から始まり、年代別・性別の傾向、健康への影響、そして今後の対策までを詳しく解説します。

参考:【2019年】日本における社会的時差ぼけに関する調査:全国横断的インターネット調査

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1. 社会的時差ぼけ(Social Jetlag:SJL)とは?

社会的時差ぼけ(SJL)とは、仕事日(平日)と自由日(休日)の睡眠時間帯のズレのことを指します。
例えるなら、「毎週末に時差のある国へ旅行しているようなもの」です。

これは、個人の生物学的な睡眠リズム(クロノタイプ)と、社会からの時間的な要求(仕事や通学など)との間にギャップがあるときに起こります。

2. 研究の背景と意義

  • 睡眠負債を抱える日本人が多く、特に若者を中心に「平日は睡眠不足、休日は寝だめ」という生活パターンが一般的。
  • SJLは、うつ病・肥満・心血管疾患・糖尿病・生活習慣病などと関連があることが国際的な研究で報告されています。
  • これまで日本における大規模・全国規模のSJL調査はなかったため、今回の研究は重要な基礎データを提供しています。

3. 研究の方法

  • 調査対象:日本全国からランダムに選ばれた10,000人のうち、条件を満たした3,708人(男性60.1%、平均年齢45.1歳)
  • 使用ツール:日本語版「ミュンヘン・クロノタイプ質問票(MCTQ)」
  • SJLの測定方法
    • MSF(休日の睡眠の中間点)」−「MSW(仕事日の睡眠の中間点)」= SJL
    • 絶対値:SJLabs、相対値:SJLrel
  • 解析手法:二要因分散分析(ANOVA)、Bonferroni-Dunn事後分析

4. 主な結果

平均値と全体傾向

  • 本研究では、社会的時差ぼけ(SJL)の絶対値(SJLabs)の全体平均
    0.91時間(=約54.6分)でした。 これは、日本人は平均して毎週1時間近い睡眠のズレを平日と休日で経験していることを意味します。
  • また、クロノタイプ(体内時計の傾向)を示す指標であるMSFsc(睡眠負債補正後の休日の睡眠中間点)の平均値は
    👉 3.7時(=午前3時42分)でした。 日本人の平均的なクロノタイプは、ドイツやスイスといった中欧諸国より約37分遅い傾向にあることがわかりました。

SJLが大きい人の割合

  • SJLが1時間以上ある(= SJLabs ≥ 1時間)人の割合は
    全体の40.1%
  • SJLが2時間以上ある人の割合は
    11.6%

これは、日本人の約4割が慢性的なSJLの影響下にあるという重要な指標です。
特に長期的な健康リスクに繋がる恐れがあることから、公衆衛生上の懸念とされています。

年齢別の特徴

SJLは若年層ほど大きく、高齢になるにつれて小さくなるという傾向が明らかになりました。

年代SJLabs ≥ 1時間の割合
20代61.0%
30代53.2%
40代43.0%
50代31.2%
60代14.5%

特に20代の6割以上が1時間を超えるSJLを経験しており、平日と休日の睡眠リズムの差が非常に大きいことがわかります。
これにより、睡眠負債の蓄積や日中のパフォーマンス低下のリスクが懸念されます。

性別の影響

  • 男女間の比較では、女性の方がSJLが大きい傾向が見られました。
  • 特に30代と40代で、その差が顕著に現れています。
年代男性(平均SJLabs)女性(平均SJLabs)
30代1.06時間1.22時間
40代0.89時間1.04時間

この差異は、子育て・家事・仕事の両立など、ライフステージによる生活の不均衡が影響している可能性もあります。

5. 公衆衛生上の懸念と示唆

関連するリスク

  • 睡眠のズレ(SJL)は以下のリスク要因に:
    • 睡眠障害
    • 肥満
    • 抑うつ症状
    • 心疾患・糖尿病
    • 認知機能の低下
    • 仕事のパフォーマンス低下

行動習慣との関係

  • 就寝前のスマートフォンやパソコンの使用、長時間の通勤喫煙やカフェイン摂取もSJLを悪化させる要因として報告。

6. 結論と今後の課題

  • 日本では、特に若年層・女性を中心に、社会的時差ぼけが広く見られる。
  • SJLの影響を軽減するためには、次のような施策が有効と考えられる:
    • フレックスタイム制度の導入・普及
    • 睡眠教育(小中高校や企業での啓発)
    • 健康的な生活習慣の推進(規則正しい就寝時間、就寝前のスクリーン制限など)

まとめ

この研究は、日本における睡眠と社会リズムのミスマッチ(SJL)の実態を明らかにし、今後の健康政策・労働制度の見直しへの貴重な資料となります。

社会的時差ぼけに心当たりがある方は、自分の「クロノタイプ(朝型/夜型)」を意識して、できる範囲で生活リズムを整える工夫が重要です。

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