運動直後には疲労や筋肉痛をやわらげる「冷水浸漬(CWI)」ですが、実は24時間以上たつと、その効果はかなり限定的であることが分かりました。
最新のメタ分析によると、血中の疲労マーカー(CKや乳酸)には一時的な改善効果が見られる一方で、48時間後の疲労や炎症反応、パフォーマンス回復には明確な恩恵が確認されなかったのです。
信頼性は一定水準あるものの、データのばらつきや盲検化の欠如が課題として残っており、今後の研究が待たれます。
「冷水浴は効く」というイメージを再考する機会になりそうです。
参考:【2023年】運動後の冷水浸漬が疲労回復と運動パフォーマンスに及ぼす影響 – メタ分析
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】
結論
冷水浸漬(CWI)は、運動後すぐの主観的疲労感や筋肉痛を軽減し、血中の疲労マーカー(CKや乳酸)を改善する効果があります。
ただし、24時間以上経過した後の運動能力や炎症反応への影響は限定的でした。
24時間以上経過した後の運動能力や炎症反応への影響は限定的なんですね。これは驚きです。
運動すぐの主観的疲労感や筋肉痛が軽くなっているから、炎症反応の軽減効果はある程度はありそうです。
内容の信頼性:7/10
- 使用された研究は20件と比較的多く、RCTとクロスオーバー試験も含まれるが、盲検化の不足や異質性の高いデータが多く、慎重な解釈が必要。
- 信頼性はやや高いが、さらなる質の高い研究が望まれます。
「盲検化(もうけんか)」とは、臨床試験や実験研究において、バイアス(偏り)を防ぐために、被験者や研究者に特定の情報を隠す手法です。英語では「blinding(ブラインディング)」と呼ばれます。
何の研究か?
本研究は、冷水浸漬(CWI)が高強度運動後の疲労回復や運動パフォーマンスに及ぼす影響を、過去の複数の研究を統合してメタ分析によって明らかにしたものです。
研究した理由は?
CWIはアスリートの間で広く利用されていますが、その効果の是非には議論がありました。主観的な疲労感の軽減はあるとされる一方で、逆に運動能力を下げるという報告もあり、科学的根拠を再検討する必要があったためです。
どんな結果だった?
◎ 効果が見られた項目
- 運動後すぐの筋肉痛(DOMS)と自覚的疲労感(RPE)の軽減
冷水浴により、筋肉の炎症や微細損傷が抑えられ、運動直後の痛みや疲労感が軽くなったという結果です。RPE(自覚的疲労感)が低下したことで、主観的な回復感も高まったと考えられます。 - 24時間後のクレアチンキナーゼ(CK)値の低下
CKは筋損傷の指標です。冷水浴によって血中CK濃度の上昇が抑えられたことは、筋損傷が軽減されたことを示唆しています。 - 24時間および48時間後の乳酸値の低下
乳酸は疲労の一因となる代謝産物ですが、冷水浴により代謝が促進され、乳酸の除去が速くなったと見られます。
× 効果がなかった項目
- 48時間後の筋肉痛や疲労感
冷水浴の効果は短期的(24時間以内)にとどまり、48時間後には筋肉痛や疲労感の軽減効果が消失していたとされます。 - カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)では直後にパフォーマンスが低下
CMJは筋力・パワーを測定する種目です。冷水浴の急冷によって筋温が下がり、神経筋パフォーマンスが一時的に低下した可能性があります。つまり、短期的にはパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性もあるということです。 - 炎症マーカー(CRP・IL-6)には効果なし
全身性の炎症指標であるCRPやIL-6の数値には有意な変化が見られず、冷水浴が炎症反応そのものを抑える効果はなかったとされます。
⚠ 補足:冷水浴の条件による効果差は見られなかった
- 肩まで or 臍(へそ)まで浸かるか
- 水温が10℃未満か以上か
これらの条件によって、リカバリ効果に大きな違いはなかったという点も重要です。つまり、ある程度の冷水浴であれば、深さや細かな温度差にこだわる必要はないと解釈できます。
まとめ
冷水浴は、「すぐに疲労感を軽減したいとき」には効果的ですが、「長期的な回復やパフォーマンス向上」には限定的な影響しか持たないようです。プロやアマ問わず、運動後のケア方法を選ぶ上で、冷水浴は一つの選択肢として有効ではありますが、過信は禁物です。
主観的疲労感を軽減(リフレッシュ効果)、乳酸を流す(血流改善)などを考えると、運動していない人の疲労回復としてもある程度は使えそうです。個人的には、リフレッシュ効果として使っていますね。


