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ゴーレム効果とは?期待が低いと成果も低くなる心理効果を解説

今回は、心理学の中でも教育や職場環境などで注目される「ゴーレム効果(Golem Effect)」について詳しく解説します。

「人は他人からの期待に応えるように行動する」と言われますが、逆に[期待されないと、その通りの低い成果しか出せなくなる」という現象があるのをご存知ですか?
それこそが、今回ご紹介する「ゴーレム効果」です。


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しもん
メンタルと睡眠の専門家 / 作家 / 講師
上級睡眠健康指導士
29年間の睡眠障害を克服
5年以上の双極性障害とうつを克服
YouTube登録者数1.6万達成
IQ上位0.1%『GIFTED EYES』メンバー
著書
眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」

ゴーレム効果とは?

ゴーレム効果とは、周囲からの期待が低いと、実際に本人の成果や能力も低下してしまうという心理的現象です。

これは、「ピグマリオン効果(ポジティブな期待が成果を高める)」の逆の現象といえます。
つまり、ネガティブな期待がネガティブな結果を引き起こすのです。
現在はピグマリオン効果は信頼性が低いと言われています。


名前の由来:「ゴーレム」とは?

「ゴーレム」とは、ユダヤ教の伝承に登場する泥人形で、人間に従って動く存在ですが、魂や自我を持たないとされています。
この言葉が転じて、「人のように扱われない」「期待されない存在」という意味合いで使われるようになりました。


実際に起こる場面とは?

ゴーレム効果は、以下のような場面でしばしば見られます。

1. 教育現場

教師が「この生徒は成績が悪いから、どうせ伸びない」と思いながら接すると、生徒もそのように感じ取り、自信を失って本当に学力が伸びにくくなることがあります。

2. 職場・ビジネス

上司がある社員に対して期待を持っていないと、重要な仕事を任せない、指導しないなどの行動が増え、その社員もやる気を失ってパフォーマンスが下がります。

3. スポーツや部活動

指導者が特定の選手を過小評価していると、チーム内での扱いも冷遇され、その選手のモチベーションとパフォーマンスはどんどん下がっていきます。


ゴーレム効果が与える影響

  • 自尊心の低下
  • モチベーションの低下
  • 成果・パフォーマンスの低下
  • 人間関係の悪化

こうした影響が積み重なると、その人の将来にも大きな悪影響を及ぼしかねません。特に子どもの成長や新入社員の教育においては、注意が必要です。


ゴーレム効果を防ぐには?

1. 無意識の偏見に気づく

まずは「自分は誰かを過小評価していないか?」を振り返ってみましょう。無意識のうちに期待値を下げている可能性があります。

2. フィードバックは建設的に

どんな相手でも、前向きなフィードバックを心がけることで、モチベーションと成長意欲を高めることができます。

3. 機会を平等に与える

「この人には無理だろう」と決めつけず、誰に対しても挑戦する機会を与える姿勢が大切です。

語源と名付けの背景

「ゴーレム効果」という名称は、ユダヤ教の伝説に登場する“ゴーレム”という粘土人形から来ています。このゴーレムは、人間に従うものの自律性はなく、最終的には制御不能になった存在です。

この効果が名付けられたのは1982年。教育心理学者のババド、インバー、ローゼンタールによるもので、ピグマリオン効果の対極にある「期待の悪影響」を表現するためでした。


ゴーレム効果のプロセスと研究知見

ゴーレム効果の仕組みは、**ピグマリオン効果(肯定的な期待が成果を引き上げる現象)**と対をなします。期待が低くなると、以下のような心理的・行動的プロセスが働きます。

  1. 教師や上司の期待が低くなる
  2. 指導や支援の質が下がる(賞賛の減少、注目されないなど)
  3. 本人のモチベーションや自信が低下
  4. 実際のパフォーマンスも低下

これは主に教育現場で数多く検証されており、期待の高低が教師の態度や評価に大きく影響し、それが生徒に伝播するという構図が見られます。


絶対的・相対的ゴーレム効果という分類

デイビッドソンとイーデンは、ゴーレム効果には以下の2種類があるとしています:

  • 絶対的ゴーレム効果:パフォーマンスが実際にグループ基準に届いていない場合。
  • 相対的ゴーレム効果:全員が基準を満たしていても、グループ内で比較されることにより「劣っている」と見なされ、パフォーマンスが下がる現象。

後者は特に注意すべきで、スキルのある人材でも不当に評価される危険性があります。


方法論的な課題と倫理的な懸念

ゴーレム効果の研究は倫理的な問題(意図的に誰かに低い期待を持たせる操作など)により、実験的な研究が困難とされています。そのため、ピグマリオン効果に比べて研究数が限られており、多くの知見が相関的な観察研究に基づいています。

ただし、近年では間接的な方法(信念の操作、治療群・対照群の設定など)で測定を行う研究も増えつつあり、学術的なアプローチが模索されています。


「逆ゴーレム効果」や多文化的観点からの視点

現代の組織では、年下の上司・年上の部下という構図も増えており、これに関する「逆ピグマリオン効果」や「逆ゴーレム効果」と呼ばれる仮説も注目されています。
ここでは、部下の期待が上司の行動やリーダーシップに影響を与えるという新たな視点が提案されています。

さらに、文化的背景によってゴーレム効果やピグマリオン効果の表れ方が異なる可能性も指摘され、国際的な組織や援助活動の中でも研究が進められています。


社会的マイノリティとゴーレム効果

ゴーレム効果は、障がい者、ホームレス、移民など社会的に弱い立場に置かれやすい人々に対しても重大な影響を及ぼします。社会全体の「低い期待」が、彼らの可能性を押し下げてしまうのです。

そのため、期待の持ち方や支援のあり方を見直すことは、個人の成長だけでなく、社会全体の健全な発展にも繋がります。


おわりに:期待の力は諸刃の剣

ゴーレム効果は、単に「否定的な期待が悪い結果を招く」というだけではありません。無意識の期待が人の可能性を左右するという、私たちすべてに関係する深いテーマです。

教育、職場、家庭、そして社会的な文脈の中で、「どう期待するか」「誰を信じるか」が、目の前の人の未来を形作る大きな鍵になります。

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