私たちは「もっと効率よく覚えたい」と思いながらも、なかなか思うように記憶できないことがあります。
実はそれには理由があり、そもそも人間の短期記憶には限界があるのです。
でも安心してください。脳の仕組みを正しく知り、ちょっとした工夫を取り入れるだけで、記憶力はぐんとアップします。
この記事では、短期記憶の容量を示す「マジカルナンバー4±1」の考え方と、
限られた記憶を最大限に活かす「チャンク化」や「忘れかけた頃に思い出す」テクニックをわかりやすく解説します。
勉強や仕事、日常生活で「忘れにくい脳」を作りたい方はぜひ最後まで読んでみてください!
記憶のマジカルナンバー4±1とは?
私たち人間の短期記憶の容量には限りがあると言われています。
かつて心理学者ジョージ・A・ミラーは「マジカルナンバー7±2」と提唱しましたが、近年では「4±1」がより現実的な数字として注目されています。
記憶のマジカルナンバー4±1:1994年のネルソン・コーワン教授(ミズーリ大学)が提唱。4±1は「3~5つのチャンク(意味のある「情報のかたまり」)を記憶する」の意味。
ミラーの「7±2(5〜9個)」は長く有名でしたが、研究の進展とともに、純粋な短期記憶はそこまで多くないという結果が出てきました。現代ではネルソン・コーワンらの研究により「マジカルナンバー4±1(3〜5個)」が適切とされています。
チャンクで覚える工夫
短期記憶の容量が限られているなら、どうしたら多くの情報を効率よく覚えられるのでしょうか?
その答えが「チャンク(chunk)=かたまり化」です。
チャンクとは?
チャンクとは、バラバラの情報を意味のある単位にまとめて、1つのまとまりとして覚える方法です。
こうすることで、脳が処理する情報の数を減らせるので、限られた短期記憶の枠を有効に使えます。
具体例で見るチャンク
例えば、「NHK2025」という文字列を覚えるとき、
「N・H・K・2・0・2・5」と一文字ずつ覚えると7個の情報になります。
でも「NHK」と「2025」で2つの意味ある塊にすると、
脳は「2チャンク」として処理でき、覚えやすくなります。
電話番号
「09012345678」は「090」「1234」「5678」と分けると3チャンク。
英単語の暗記
「information technology」は「IT」と略すだけで1チャンク。
文章の要約
長い文章も、重要なキーワードだけを抜き出してグループ化すると記憶しやすい。
チャンク化のコツ
- 意味のあるグループにする
自分にとって関連の深い情報をまとめるのがポイントです。 - 何度も繰り返す
チャンクを作っても繰り返さないと忘れてしまうので、復習が大切。 - 図やメモを活用する
視覚化すると、かたまりとして記憶しやすくなります。
チャンク化は学生の勉強、社会人の暗記、日常のちょっとした記憶まで
あらゆる場面で役立ちます。
「覚えるのが苦手…」という方ほど、ぜひ取り入れてみてください!
忘れかけた頃に思い出すと、記憶はもっと強くなる
「一度覚えたことは、少し時間を空けて忘れかけた頃に思い出すと、記憶に定着しやすい」
これは記憶の仕組みを活かした、最も効率的な学習法の一つです。
人の脳は、新しい情報を一度覚えても、何もしなければ時間とともにどんどん忘れてしまいます。
これは「エビングハウスの忘却曲線」として有名で、覚えた直後から急激に記憶が薄れていくことが分かっています。
でも、忘れかけたタイミングで「もう一度思い出そう」とすると、脳は「これは大事な情報なんだ」と判断し、神経回路をより強固に結びつけてくれます。これを「テスト効果」や「間隔反復(spaced repetition)」と呼びます。
ポイントは「取り出す練習」
ここで大切なのは、ただノートを見返すだけではなく、自分の頭の中から情報を引き出そうとすること。
つまり「思い出す練習(retrieval practice)」です。
例えば、単語帳を閉じて思い出してみる。人に説明してみる。これだけで記憶の定着度が大きく変わります。
記憶の仕組みを味方につけよう
人間の短期記憶の限界を知り、チャンク化や「忘れかけた頃に思い出す」などの方法を上手に使えば、
誰でも効率よく覚えられるようになります。
無理に詰め込むのではなく、脳の仕組みに合わせて「覚えやすい形」と「思い出すタイミング」を工夫することが大切です。
ぜひ今日から実践して、日々の勉強や仕事に役立ててみてください!