「愛されたいけど、信じられない…」
「人と親しくなりたいのに、距離を取ってしまう」
「誰かを信用するのが怖い」
こんな気持ちに悩んだことはありませんか?
「無秩序・無方向型(Disorganized/Disoriented Attachment)」 の愛着スタイルを持つ人は、「親密な関係を求めたい気持ち」と「人を怖いと感じる気持ち」 の間で揺れ動きます。幼少期のトラウマや不安定な環境が原因となることが多く、人間関係での混乱や葛藤を抱えやすいのが特徴です。
本記事では、無秩序・無方向型の愛着スタイルの特徴、形成される背景、恋愛や人間関係への影響、そして克服するための方法を詳しく解説します。
1. 無秩序・無方向型愛着とは?
無秩序・無方向型は、愛着理論の4つのスタイルの中でも最も不安定なタイプ です。
通常、幼少期に「愛情の対象である親が、同時に恐怖の対象でもある」 という経験をすると、この愛着スタイルが形成されます。
主な特徴
✅ 愛されたい気持ちと、相手を怖いと感じる気持ちが同居している
✅ 人と深く関わろうとすると、不安や恐怖を感じる
✅ 相手の態度に混乱しやすく、どう接していいか分からなくなる
✅ 突然、極端な行動(泣き出す・怒る・逃げるなど)をとることがある
✅ 「近づきたいけど、傷つくのが怖い」というジレンマを抱える
このタイプの人は、親密な関係を求めながらも、無意識に相手を遠ざけたり、矛盾した行動をとったりすることが多いです。
2. 無秩序・無方向型が形成される背景
この愛着スタイルは、幼少期の養育環境 によって形成されます。特に、「親からの愛情」と「恐怖」の両方を経験する」 ことが主な要因です。
幼少期の影響
- 親が暴力的・支配的であった(虐待・暴言など)
- 親が極端に不安定で、時には優しく、時には怖かった
- 養育者が精神的に不安定(依存症・精神疾患など)
- 家庭環境がトラウマになるような状況だった(家庭内暴力・ネグレクトなど)
子どもは本来、「親は自分を守ってくれる存在」 と感じることで安心します。しかし、親が「保護者」でありながら「恐怖の対象」 でもある場合、子どもはどうすればいいか分からなくなり、「無秩序・無方向型愛着」 が形成されます。
3. 恋愛や人間関係への影響
無秩序・無方向型の人は、「人と親しくなりたい気持ち」 と 「傷つくのが怖い気持ち」 の間で葛藤しやすく、恋愛や人間関係において混乱を引き起こすことがあります。
恋愛での傾向
- 愛情を求めるが、親密になりすぎると怖くなる
- 恋人に対して極端な態度をとる(急に冷たくなる・怒る・距離を取る)
- 相手が優しくしてくれると安心するが、突然疑いを持つことがある
- 「この人は本当に私を大切にしてくれるの?」と常に不安を抱く
- 愛されていると感じると、逆に「裏切られるのでは?」と疑ってしまう
友人・職場での傾向
- 親しくなった人を突然遠ざける
- 信用していた人に対して、急に疑いの目を向ける
- 権威的な人(上司・先生など)に対して、無意識に恐怖や反発を感じる
- 対人関係に一貫性がなく、人を困惑させてしまうことがある
4. 無秩序・無方向型を克服する方法
無秩序・無方向型の愛着スタイルは、幼少期の影響が強いため、克服には時間がかかることがあります。しかし、「自分の愛着スタイルを理解し、少しずつ行動を変えていくこと」 で、より安定した人間関係を築くことが可能です。
① 「信頼できる人」とゆっくり関係を築く
このタイプの人は、「人を信じること」に対して恐怖を感じやすい ので、まずは安心できる相手と少しずつ関係を築いていくのが大切です。
- 信頼できる友人・パートナーと時間をかけて関係を深める
- 自分の不安を少しずつ伝える練習をする
- 「この人は本当に信じてもいいのか?」と疑う前に、一呼吸おく
② 「安全な関係」があることを知る
幼少期に「愛=恐怖」と学んでしまった人は、「愛は安全なものだ」と思える経験を積むことが重要です。
- 安心できる環境で、自分を大切にする
- 自分を否定しない人と関わる
- 「愛は安全なもの」と繰り返し自分に言い聞かせる
③ 専門家のサポートを受ける
無秩序・無方向型は、トラウマが関係していることが多いため、心理カウンセリングやセラピーを受けるのも有効 です。
- トラウマ療法(EMDR、認知行動療法など)を受ける
- 自分の感情を整理し、過去の経験を乗り越える
- 愛着障害に詳しい専門家と話す
まとめ
- 無秩序・無方向型は、「愛情」と「恐怖」の間で揺れる愛着スタイル
- 幼少期に「親が愛情の対象であり、同時に恐怖の対象でもあった」経験が影響
- 恋愛では「愛されたいのに、信じられない」という葛藤を抱えがち
- 克服するには、安全な関係を築くことと、心理的なサポートが重要