TMS(経頭蓋磁気刺激)は、うつ病治療の新たな選択肢として注目されていますが、2023年までに発表された研究の多くは品質が低く、効果にばらつきがあるため、信頼できる結論を出すのが難しい状況にありました。2023年に発表された大規模なメタアナリシスでは、過去の研究を精査し直す必要性が強調されており、これまでのデータを鵜呑みにすることは危険です。
一方で、「複数の薬物治療で改善が見られなかった患者」への補助療法としてTMSを活用した場合、一定の効果が期待できるとする研究結果もあります。ただし、依然として基礎研究の信頼性には課題が残っており、臨床現場での適切な判断と医師・病院の質が重要です。
筆者自身の見解としては、副作用が軽度であれば、TMS治療は「あり」と考えています。ただし、費用面や医師の質、効果の個人差を踏まえると、誰にでも勧められるものではありません。
そもそも2023年までの「うつ病とTMS」の研究品質が悪く判断が難しい
うつ病に関するTMSの研究は、2023年までの研究は品質が悪く、判断が難しい
・2023年までの研究では、効果にばらつきがあり、研究品質が悪かった。
・そのため、あらためての効果の分析をしなおす必要がある。
※2023年「大うつ病性障害の治療における経頭蓋磁気刺激の有効性と安全性:ランダム化比較試験の公開されたメタアナリシスの包括的なレビューと再分析」より
薬物治療など別の治療と併用すると効果は期待できる
2回以上の薬物治療で改善していない人は「薬物治療と併用すると効果が高い」
効果のばらつきを考慮して、「特定の患者のみ絞った研究」のため、やや信頼度があがる。
ただ、ベースとなっている研究がそもそも品質が悪い問題はクリアができていない。
※2023年「2回の抗うつ薬治療失敗後の大うつ病性障害(MDD)に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)補助療法の有効性:ランダム化偽対照試験のメタアナリシス」より
TMS治療に対する僕の感想
軽い副作用だけであれば、従来よりリスクが高くても「有り」。医師や病院の品質によるのが不安。
理由は、うつ病への効果にばらつきがあれど、「神経可塑性に効果」があるので「薬物療法や心理療法と一緒に行う」のは理論的には、期待できるから。ただ、TMSだけだと、微妙という印象。
「高額な場合がある」のと、「効果がない・逆効果の可能性がある」のはデメリット。
ただ、基本的に副作用リスクも軽いものが多い(病院や医師が適切に処置をすれば)。
総費用は10~20万と高額だが、「1~2か月の治療期間はとても魅力的」。
例えば、うつ病で仕事ができない場合、その分の収入がなくなるので「相対的に見れば、10~20万はそれほど高くはない」。
という理由で、「有り」かなと感じるところです。
ただ、実際に僕がうつ病だったら受けるかどうかというと、「受けない」です。
矛盾して聞こえるんですが、
【有りの場合の条件】
・適切にTMSが受けられる(病院や医師が信頼できる)。
・10~20万の出費をして効果がなくても、その後の生活に問題がない
・副作用リスクを受け止める
・脳の改善のため、うつ病改善の「きっかけ」と受け止める
※現在の僕がうつ病になった場合は効果は高いが、以前の僕の場合は効果がほぼ期待できないため。
理由は、以前の僕は脳だけの問題ではなく、考え方や行動習慣や人間関係などに大きな問題を抱えていたため
【受けない理由】
・事前に、信頼できる病院や医師かを判断するのが難しい。
★今後のTMS治療に対する感想
・適切な研究が進めば、非常に効果が高いと感じる。
・神経可塑性の効果は、うつ病とか関係なしに健康な人にも魅力的に見える
・病院や医師の信頼性に関係なく、「AIの進化」で適切な処置が受けられる可能性が高い。
頭がよくなりたい、仕事ができるようになりたい、という目的の人がひそかにTMS治療を受けたりするんじゃないかな?