メラトニンといえば「睡眠ホルモン」として知られていますが、実はそれだけではありません。最近の研究では、メラトニンに「抗炎症作用」があることが明らかになってきました。
本記事では、31件・1,517人を対象とした臨床試験を分析したシステマティックレビューの結果をご紹介します。
参考:【カリフォルニア大学2022年メタ分析】メラトニンの抗炎症作用:臨床試験の系統的レビューとメタアナリシス
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論】
メラトニンは、IL-1、IL-6、IL-8といった主要な炎症マーカーを有意に減少させる効果を持ち、安全性も高いことから、炎症性疾患の予防・補助治療に有望な成分です。
内容の信頼性:10点満点中
9点
・31件の臨床試験・1,517人を対象とした大規模なメタアナリシス
・PRISMAガイドラインに基づいた厳格な手法
・出版バイアスや外れ値の分析も実施済み
※一部研究の質にばらつきあり
何の研究か?
ヒトにおいて、外から摂取するメラトニン(外因性メラトニン)が炎症を抑える効果を持つかどうかを調べた、臨床試験の系統的レビューとメタアナリシスです。
メラトニンサプリは睡眠には良いと言いますが、体の炎症反応にも効果があるのでは、という話ですね。炎症に効果があれば、アンチエイジングなどの脳や体の全体的な効果が期待できる可能性があります。
研究した理由は?
メラトニンの抗炎症作用は動物実験では知られていましたが、ヒトでのデータは限られていました。
また、従来の抗炎症薬には副作用のリスクがあるため、安全性が高く、かつ効果のある代替手段が求められていたのです。
結果はどうだったか?
効果があった炎症マーカー
- IL-1(インターロイキン-1)
- 標準化平均差(SMD):−1.11
- 有意確率(p値):0.006
→ IL-1は炎症初期に強く関与するサイトカインで、関節リウマチや自己免疫疾患にも関連。メラトニンの投与によってこの値が有意に低下したという結果は、慢性炎症の制御に有用であることを示しています。 - IL-6(インターロイキン-6)
- SMD:−1.91
- p値:0.001
→ IL-6は「慢性炎症マーカー」とも呼ばれる物質で、生活習慣病や老化と深く関わります。この大きな効果サイズは、臨床的にも非常に注目に値する結果です。 - IL-8(インターロイキン-8)
- SMD:−13.46
- p値:<0.001
→ IL-8の効果量は非常に大きく、顕著な炎症抑制作用が確認されました。IL-8は白血球の動員に関与しており、急性・慢性両方の炎症に影響を与えます。なお、IL-8の結果には新生児を対象とした研究が多く含まれており、年齢層に依存する可能性があることに注意が必要です。
効果がなかった炎症マーカー
- TNF(腫瘍壊死因子)
- SMD:−0.45
- p値:0.19
→ TNFは強力な炎症誘導因子ですが、メラトニンの影響は統計的には有意でなかったとされます。つまり、TNFを抑える効果は明確には確認できませんでした。 - CRP(C反応性タンパク質)
- SMD:−0.18
- p値:0.62
→ CRPは病院の検査でもよく使われる炎症の総合指標です。今回の解析では、CRPには目立った影響がなかったと結論づけられました。
年齢による効果の違い
- 若い年齢層ほど、メラトニンの抗炎症効果が強く出る傾向がありました。
これは、免疫系がより敏感で反応しやすいことや、加齢によるメラトニンの自然減少が影響している可能性があります。
高齢者への利点
メラトニンは副作用が極めて少ないことに加え、他の薬との相互作用も少なく、睡眠の質を改善する効果もあるため、高齢者にとっては非常に取り入れやすい抗炎症サプリメントと考えられます。
メラトニンの副作用が極めて少ない理由は、
高齢者の場合は、メラトニンがもともと自然減少していて、メラトニン摂取に対する反応も鈍くなっています。そのため、メラトニンの過剰反応が起きにくいためです。