現代社会において、ストレスやデジタル依存、感情調節の困難さに悩む若年成人は増え続けています。そんな中、刺激の少ない環境で心身をリセットする「チャンバー制限環境刺激療法(Chamber REST)」が注目されています。
今回ご紹介する研究は、3時間のChamber RESTセッションが若年成人のマインドフルネスや生理的調節に与える影響を調べたものです。
チャンバー制限環境刺激療法が若年成人の状態マインドフルネス、生理学的調節、感情体験に及ぼす影響:安静時心拍変動による変化の検討
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論
この研究では、Chamber RESTが短期間のセッションでも、瞑想経験の有無に関わらずマインドフルな注意力を高める可能性が示唆されました。
ただし、副交感神経活動の増加(心拍変動の改善)や不安軽減効果に関しては、対照群と大きな差は認められませんでした。
一部の参加者では不安感が増したケースもあり、個人差や慣れの必要性が示唆されます。
対照群は、実験室の明るい部屋で3時間過ごし、通常の読書や作業、動画視聴、スマホ使用など、日常的な活動を行ったグループ。瞑想や目を閉じること、ヘッドホン使用は禁止されていました。
内容の信頼性
信頼性:8/10
(サンプル数や統計手法は堅実だが、FoMO尺度の内部一貫性や測定条件の限界あり)
何の研究か?
若年成人(平均年齢22歳、男女比女性66%)を対象に、3時間のChamber RESTセッションの心理的・生理的効果を調べた探索的研究。主にマインドフルネス(トロント・マインドフルネス尺度で評価)、心拍変動(HRVのRMSSD指数)、状態不安(STAI)を比較。スマホ使用やFoMO(取り残されることへの恐怖)も評価項目に含む。
チャンバー制限環境刺激療法
環境制限:視覚、聴覚、触覚といった外部刺激をできる限り遮断する環境(例えば暗室、静寂、遮音空間、浮遊タンク)を用います。
セッション時間:今回の研究では、1回のセッション(約60分程度)で実施されました。
参加者:スマートフォン依存気味の大学生を対象としています。
内容:参加者は暗く静かな部屋でスマートフォンを持たず、横になって休む(またはただ静かに座る)といった条件で、心を落ち着ける体験をします。
研究した理由は?
現代の若年成人は、ストレスやスマホ依存、感情調節困難といった課題を抱えています。
これらの問題解決に向け、感覚刺激を減らして内省やリラクゼーションを促すChamber RESTが、マインドフルネスや生理調節能力に効果をもたらす可能性を検証するために実施されました。
結果はどうだったか?
マインドフルネス(TMSの「好奇心」「脱中心化」)は有意に向上(効果サイズ中~大)
- **Toronto Mindfulness Scale(TMS)**の2つの下位尺度「好奇心(Curiosity)」と「脱中心化(Decentering)」において、REST(制限環境刺激療法)後に有意な向上が見られました。
- 効果量(Cohen’s d)は中程度から大きめとされ、RESTが**「今ここ」に意識を向け、物事を俯瞰する力を高める**可能性が示唆されます。
チャンバー制限環境刺激療法は、マインドフルネス的効果はあったようですね。
不安感(STAI)やストレス(SACL)の軽減効果は確認されたが、対照群との差は不明瞭
- REST後、**State-Trait Anxiety Inventory(STAI)**による不安感と、**Stress Arousal Checklist(SACL)**によるストレス感の減少が観察されました。
- しかし、これらの変化はREST群内での「前後比較」では有意であっても、対照群との間で統計的有意差が確認できなかった可能性があります。
- つまり、RESTの効果は一時的なものであり、対照条件(たとえば安静など)でも同様のリラクゼーション効果が得られた可能性があります。
マインドフルネス評価が上がったので、もう少し効果があると思っていました。チャンバー制限環境刺激療法の実験ですが、マインドフルネスも1回などの短期では効果は一時しのぎになるのかもしれないですね。
HRV(副交感神経活動)は増加したものの、対照群との差は有意でなかった
- 心拍変動(HRV)の指標(特にHF成分)は副交感神経活動の上昇を示すものです。
- REST後、HF成分の増加(リラックス状態)が観察されましたが、対照群との差は統計的に有意ではありませんでした。
- RESTは生理的リラックス効果を持つ可能性はあるものの、単なる静坐(安静)との差別化は明確ではなかったと解釈できます。
HRVが低いグループでは、セッション満足度が低くスマホ離脱症状が高かった
- 副交感神経活動(HF成分)が低めの参加者群では、RESTセッション後の満足度が低く、スマートフォン離脱(依存傾向)症状が高かったことが示唆されました。
- これは、日頃から交感神経優位(ストレス状態)の人はRESTによるリラックス効果を得にくい、またはスマホ依存による不快感が浮き彫りになりやすい可能性を示しています。
リラグゼーション誘発性不安と同じ症状がでたのかもしれないですね。
個人差が大きく、一部では不安の悪化も報告
- RESTの効果は参加者によってばらつきが大きく、一部の人ではREST後に逆に不安感が悪化するケースもありました。
- 静かな環境に置かれること自体が不安を引き起こす人や、過剰な内省(ネガティブ思考の増幅)を経験する人も存在したと考えられます。
マインドフルネス瞑想の副作用と同じものがでたんだと思います。内部感覚に意識が向きすぎて、ネガティブ思考の増幅につながった感じですね。マインドフルネス瞑想とは違い、「思考を眺める」なども行っていないと思うので、チャンバー制限環境刺激療法のほうが悪影響は出やすそうな感じですね
研究全体として、RESTは「心の休息」と「自己洞察」の触媒としての可能性を示唆
- RESTは、外部刺激を極限まで減らした環境で、心を休めつつ自己洞察を深める機会を提供する方法と位置付けられます。
- ただし、持続的効果や全員に有効とは限らないため、**「短期的リセット」「一時的な気づき」**のような位置付けと考えるのが現段階では妥当です。
チャンバー制限環境刺激療法はストレスや現実から切り離すには有効だとは思いますが、「スマホ」などの情報刺激が普段から強い人がいきなり行うのは効果を感じにくいのかもしれないですね。