赤ワインは体に良いイメージがありますが、実際に心臓の働きにはどのような影響があるのでしょうか?
カナダの研究チームが、赤ワインとエタノール(純アルコール)が心拍変動に与える影響を調べました。
参考:【2010年研究】赤ワインとアルコールの心拍変動に対する用量関連影響
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論
赤ワインもエタノールも、1杯では心拍数や心拍変動に大きな影響はありませんが、2杯飲むと心拍数が上がり、自律神経のバランスが交感神経優位に傾くことがわかりました。
つまり「飲み過ぎには注意が必要」という結果です。
少しはお酒はOK、飲みすぎるとNG、という常識通りの結果ですね。でも、こうして研究として判断するのと、体験・常識で判断するのでは精度は変わってきます。
ちなみに1杯の量は、北米では 赤ワインなら約150ml(12〜14%程度のアルコール) を指すとのことです。
内容の信頼性
8 / 10
対象者が12名と少ないものの、無作為化単盲検法など研究デザインは信頼性が高いです。
アルコールに強いか弱いかでは変わってくるんでしょうか?
アルコールが強い人は単に平静さを保てるだけで、自律神経レベルでは同じように崩れるのか?気になるところ。
何の研究か?
健康な成人12名(24~47歳、男性6名)を対象に、赤ワイン(RW)、純エタノール(EtOH)、水をそれぞれ1杯または2杯飲んだときの心拍数(HR)と心拍変動(HRV)の変化を調べた実験です。
研究した理由は?
赤ワインに含まれるポリフェノール(特にレスベラトロール)には心血管に良い働きがあるとされていますが、実際にエタノールと比べて自律神経にどのような影響を与えるかは明らかではありませんでした。そのため、「赤ワイン特有の成分が心臓の調節に影響するかどうか」を検証することが目的でした。
「赤ワインはアルコールだけど、体に良いからOK」に対するアンチテーゼみたいな研究ですね。でも、この結果、自律神経に悪影響があろうとも、ポリフェノールの健康効果があるので、飲みすぎなければいいような気もします。私自身がお酒を飲まないので、深くは調べないかもしれないですが。
結果はどうだったか?
1杯だけ飲んだ場合の詳細
- 赤ワインまたはエタノールを 標準的な1杯(血中アルコール濃度 約36±2 mg/dl) 飲んだ場合、
心拍数(HR)や心拍変動(HRV)に統計的に有意な変化は見られませんでした。 - これは、体の自律神経(交感神経と副交感神経)が軽度のアルコール量では十分にバランスを保てることを示しています。
- つまり、少量の赤ワインで「リラックスする」というのは、迷走神経(副交感神経)に悪影響を及ぼさない範囲の飲み方であれば問題ないという裏付けです。
お酒1杯なら飲んでも良いというのは、お酒好きの人には救いのある話ですね。
2杯飲んだ場合の詳細
心拍数(HR)が5.4〜5.7回/分増加
- 例えば安静時心拍が60回/分の人なら、
2杯で65〜66回/分になる計算です。 - 増加量としては小さいように見えますが、
「安静時に心拍数が5回以上増える」というのは、自律神経が交感神経優位になっている証拠です。
安静時に休むことがやや難しくなるのは困りますね。
ただ、がっつり運動した日も安静心拍数は5回ぐらいなら上がる印象です。
総心拍変動(HRV)が28〜33%低下(P < 0.05)
- HRVは心臓がどれだけリズムにゆらぎを持たせて状況に合わせて対応できているかを示す指標です。
- 減少するということは、心臓の柔軟な調整力が低下している状態です。
- 長期的には、HRVが低いと心血管リスクが高まる可能性があります。
高周波(HF)パワーが32〜42%減少(迷走神経の低下)
- HF成分は「迷走神経(副交感神経)の働きの強さ」を示します。
- 減少するということは、
リラックスの神経である副交感神経の働きが弱まり、
ストレス状態に近い自律神経バランスになっていることを意味します。
お酒の心地よさはリラックスではなく、快感であって、神経レベルの休息には向かないようですね。ドーパミンなどの脳の報酬系の快感ですね。
低周波対高周波比(LF/HF比)が98〜119%増加(交感神経優位)
- LF/HF比は、交感神経と副交感神経のバランスを見る指標です。
- この比率が高いほど、交感神経(活動・緊張)が優位になります。
- つまり 2杯目で身体は「戦闘モード」に切り替わっていると言えます。
自律神経系が鈍るので、「血圧や血流を維持しなきゃ」と体が焦って戦闘モードになります。体の機能が鈍るので、戦闘モード(警戒モード)になるんでしょうかね。
レスベラトロールはどうだった?
- 赤ワイン特有のポリフェノールであるレスベラトロールは、
2杯飲むと血漿中で 4倍に増加(P < 0.001) しました。 - ただし、 心拍変動(HRV)への影響はエタノール単体とほとんど差がなかった という結果です。
- つまり、赤ワインのポリフェノールが即座に自律神経を守る働きがあるかというと、少なくとも短期的には明確なプラス効果は見られなかった ということになります。
そもそもポリフェノールが、即座に自律神経を守る働きをするとは思えないので、これをもってして赤ワインもダメとはなりにくい印象です。