私たちの体に欠かせないミネラルの一つ「マグネシウム(magnesium)」。
カルシウムや鉄分ほど目立つ存在ではないかもしれませんが、実は骨の健康を守り、神経や筋肉を正常に保ち、エネルギー代謝を助けるなど、体のさまざまな働きを陰で支えています。
忙しい現代の食生活では不足しがちと言われるマグネシウムですが、どんな役割を果たしているのか、どんな食品から摂れるのか、そして不足するとどうなるのか——。
この記事では、マグネシウムの基本と、私たちが健康に過ごすために大切なポイントをわかりやすく解説します。
そもそもマグネシウムとは?
マグネシウムは、カルシウムやナトリウム、カリウムなどと同じ「必須ミネラル」の一種です。
体内に存在する量は、成人でおよそ20〜30g程度といわれていますが、そのほとんどが骨や歯に含まれていて、残りは筋肉や血液などに存在しています。
マグネシウムの主な働き
マグネシウムは、約300種類以上の酵素の働きを助ける役割を担っています。
代表的な働きとしては、
- 骨や歯の形成を助ける
- 神経の興奮を抑えてリラックスを促す
- 筋肉の収縮を調整する
- エネルギー代謝をサポートする
- 血圧や血糖値の調整を助ける
などがあり、健康維持に欠かせません。
① 骨や歯の形成を助ける
マグネシウムの約60%は骨に存在していて、カルシウムと一緒に骨や歯を丈夫にする役割を果たしています。
特に骨の「石灰化」を調整し、カルシウムが骨に沈着するのを助けたり、逆に余分なカルシウム沈着を防いで骨の質を保つ働きがあります。
ポイント
カルシウムだけをたくさん摂っても、マグネシウムが不足すると骨が脆くなることがあります。
このため、カルシウムとマグネシウムはセットで大切なんです。
② 神経の興奮を抑えてリラックスを促す
マグネシウムは「天然の精神安定剤」と呼ばれることもあります。
これは、神経の伝達を正常に保つ働きがあり、興奮を抑えてリラックスさせる作用があるからです。
例
- ストレスが多いとマグネシウムが尿中に排出されやすくなるので、不足するとイライラや不眠、神経過敏になりやすいです。
- PMS(月経前症候群)の症状緩和にマグネシウムが有効という研究もあります。
筋肉の収縮を調整する
筋肉の収縮と弛緩にはカルシウムとマグネシウムが深く関わっています。
カルシウムが筋肉を収縮させ、マグネシウムが弛緩(ゆるめる)させる役割を担います。
例
- マグネシウムが不足すると筋肉がうまくゆるめられず、足がつったり(こむら返り)、ピクピクと痙攣したりすることがあります。
④ エネルギー代謝をサポートする
私たちが食べ物からエネルギーを作り出すとき、体内の酵素反応が必要です。
マグネシウムはその酵素の働きを活性化させ、エネルギーを効率よく作り出すサポートをしています。
例
- 代謝がスムーズにいかないと疲れやすくなるので、マグネシウムが不足すると「なんだかだるい…」と感じる人もいます。
⑤ 血圧や血糖値の調整を助ける
マグネシウムには血管を広げて血圧を下げる作用や、インスリンの働きを助けて血糖値を正常に保つ作用があります。
例
- マグネシウム摂取量が多い人は、高血圧や2型糖尿病のリスクが低いとする報告もあり、生活習慣病対策としても注目されています。
マグネシウム不足になるとどうなる?
マグネシウムが不足すると、次のような不調が現れることがあります。
- こむら返り(足がつる)
- イライラ感や不眠
- 頭痛や偏頭痛
- 骨粗しょう症のリスク増加
- 高血圧や生活習慣病のリスク増加
現代の食生活では加工食品の摂取が多くなり、マグネシウムが不足しがちだといわれています。
マグネシウムを多く含む食品
マグネシウムは、さまざまな食品に含まれています。
特に多いのは、
- ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
- 大豆製品(豆腐、納豆)
- 海藻類(わかめ、ひじき)
- 玄米や雑穀
- 魚介類(アジ、サバ など)
こうした食品をバランスよく食事に取り入れることで、自然にマグネシウムを補うことができます。
まとめ|マグネシウムを味方に健康を守ろう
マグネシウムは、骨や歯の形成を助けるだけでなく、神経を落ち着かせ、筋肉を正常に動かし、エネルギー代謝をスムーズにし、血圧や血糖値の調整にも関わる、まさに「縁の下の力持ち」のような存在です。
現代人の食生活では不足しやすいと言われていますが、ナッツ類や大豆製品、海藻類、玄米など、身近な食品から無理なく摂ることができます。
「最近イライラしやすい」「足がつりやすい」「疲れが取れない」と感じる人は、ぜひ一度、自分の食事にマグネシウムが足りているか見直してみてください。
小さな心がけで、体と心の調子を整える助けになりますよ。