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ビフィズス菌とは?乳酸菌との違い・働き・増やし方5選を解説

「ビフィズス菌と乳酸菌って、何が違うの?」

「ヨーグルトを食べれば、ビフィズス菌は増えるの?」

そんな疑問を感じたことはありませんか。

ビフィズス菌は、人の腸内、とくに大腸に生息する細菌の一群です。乳酸菌と並んで「善玉菌」と呼ばれることがありますが、実は分類も性質も異なります。

また、ビフィズス菌が含まれる食品やサプリメントについては、便通などとの関係が研究されています。ただし、すべてのビフィズス菌が、すべての人に同じ効果をもたらすわけではありません。

この記事では、ビフィズス菌の基本的な働き、乳酸菌との違い、期待されるメリットと注意点、食生活に取り入れる5つの方法を紹介します。毎日の食事を見直したい人が、製品の宣伝に振り回されずに判断するための基礎知識をまとめました。

ビフィズス菌とは?主に大腸に生息する細菌

ビフィズス菌とは、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に分類される細菌の総称です。一つの菌だけを指す名前ではありません。

人や動物の腸管に生息し、とくに人の大腸にいる代表的な腸内細菌の一群として知られています。乳児の腸内では、母乳に含まれる特定の糖を利用できるビフィズス菌が多く見られることもあります。一方、腸内細菌の構成は、年齢や食事、薬の使用、個人差などによって変わります。

ビフィズス菌には、例えば次のような種類があります。

  • ***Bifidobacterium longum*(ビフィドバクテリウム・ロンガム)**:人の腸内で見つかる代表的な菌種の一つ
  • ***Bifidobacterium breve*(ビフィドバクテリウム・ブレーベ)**:乳児を含む人の腸内から見つかる菌種
  • ***Bifidobacterium adolescentis*(ビフィドバクテリウム・アドレセンティス)**:成人の腸内でも見られる菌種
  • Bifidobacterium animalis* subsp. *lactis:発酵乳やプロバイオティクス製品などにも使用される亜種

さらに同じ菌種の中にも「菌株」という違いがあります。健康への働きを比較するときは、菌種名だけでなく菌株まで確認することが重要です。[1][2]

なぜ「ビフィズス」という名前なの?

「ビフィズ」は、枝分かれした形に由来する言葉です。ビフィズス菌には、顕微鏡で見るとY字やV字のように枝分かれした形を示すものがあります。

1899年、フランスの研究者アンリ・ティシエが乳児の便から特徴的な細菌を見つけたことが、研究の歴史として知られています。[3]

ビフィズス菌と乳酸菌の違いとは?

ビフィズス菌も乳酸菌も、糖を利用して乳酸をつくります。しかし、両者は分類学上別の細菌です。

比較項目 ビフィズス菌 乳酸菌
分類 主にビフィドバクテリウム属 ラクトバチルス類やラクトコッカス類など、複数の細菌の総称
主な生息場所 人・動物の腸管、とくに大腸 腸管のほか、乳製品・漬物などの発酵食品や自然界
つくる主な有機酸 乳酸と酢酸 主に乳酸(種類によりほかの物質もつくる)
酸素との関係 一般に酸素に弱い 酸素に比較的耐えられる種類が多い
食品での例 ビフィズス菌を添加した一部のヨーグルト・発酵乳 ヨーグルト、チーズ、漬物など

ビフィズス菌の特徴は、乳酸に加えて酢酸を多くつくることです。また、酸素を苦手とするため、食品への利用には菌を生かすための工夫が必要になります。[3][4]

すべてのヨーグルトにビフィズス菌が入っている?

いいえ。ヨーグルトに使われる代表的な発酵用の菌と、ビフィズス菌は別です。

ビフィズス菌が含まれるかどうかは、商品の原材料表示や菌名の表示を確認しましょう。「乳酸菌入り」と書いてあっても、ビフィズス菌が含まれるとは限りません。

ビフィズス菌に期待される4つの働き

1. 酢酸と乳酸をつくり、腸内環境に関わる

ビフィズス菌は糖を利用して、酢酸や乳酸などの有機酸をつくります。これらの物質は腸内の環境や、ほかの微生物との関係に影響します。

酢酸は短鎖脂肪酸の一種です。腸内の酸性度や微生物の増殖環境に関わることが知られています。

ただし、酢酸をつくることと、食品を食べた人に特定の健康効果が出ることは同じではありません。実際の効果は菌株や量、食事、もともとの腸内環境によって変わります。[1][4]

2. 一部の菌株で便通への影響が研究されている

便秘や排便回数について、ビフィズス菌を含むプロバイオティクスの研究が行われています。

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、成人の便秘に対するプロバイオティクス研究で一定の有用性を示す結果があった一方、研究ごとの違いがあり、どの菌が誰に適するかは十分に確定していないと説明しています。[2]

「ビフィズス菌を摂れば便秘が治る」とは言えません。 便秘には食事、運動、薬、病気など複数の要因が関わります。

3. 腸内の微生物同士のバランスに関わる

腸内にはビフィズス菌以外にも、多くの種類の微生物がいます。

ビフィズス菌がつくる物質や、食物繊維・オリゴ糖などの利用は、ほかの微生物との関係にも影響します。腸内環境は、特定の一種類の菌だけで決まるものではありません。

「善玉菌を増やす」という表現は分かりやすい一方で、腸内細菌は多様な集団として働くという点も押さえておきましょう。

4. 免疫や感染防御との関係が研究されている

ビフィズス菌を含むプロバイオティクスには、腸のバリア機能や免疫応答に関する研究があります。

ただし、研究で見られた効果を「ビフィズス菌全体の免疫力アップ」とまとめることはできません。菌株、研究対象者、調べた症状によって結果が異なります。また、一般的な食品やサプリメントは感染症の治療薬ではありません。[2][5]

ビフィズス菌を食生活に取り入れる3つのメリット

1. 身近な食品から選べる

ビフィズス菌を配合したヨーグルトや発酵乳など、市販の食品から取り入れられます。特別な料理を作らなくても、普段の食事に組み込みやすいことは利点です。

2. 食事全体を見直すきっかけになる

ビフィズス菌を意識すると、オリゴ糖を含む食品、野菜、果物、豆類などにも関心が向きやすくなります。

食物繊維の摂取源を増やすことは、食事の多様性を高めることにもつながります。

3. 製品によっては特定の働きを選べる

商品に菌株名や研究に基づく表示があれば、何を目的とした製品なのか比較しやすくなります。

ただし、菌数の多さだけで優劣は決まりません。どの菌株を、どの量で、どのような人が摂った研究なのかを確認することが大切です。[5]

ビフィズス菌を摂るときの4つのデメリット・注意点

1. お腹が張るなどの不快感が出ることがある

プロバイオティクス製品や、同時に増やした食物繊維・オリゴ糖によって、ガスや腹部膨満感が生じる場合があります。

体調を見ながら量を調整し、症状が続くときは使用を中止して相談しましょう。[5]

2. 菌株が違えば結果も違う

ある菌株で確認された働きが、別のビフィズス菌にも当てはまるとは限りません。

「ビフィズス菌入り」という表示だけで、便秘や感染症などへの効果を期待しすぎないことが重要です。

3. 食品によっては糖分や乳成分に注意が必要

ビフィズス菌入りのヨーグルトや飲料には、砂糖が加えられているものもあります。また、乳製品にアレルギーがある人は原材料の確認が必要です。

菌の種類だけでなく、食品全体の栄養成分も見て選びましょう。

4. 体調によってはサプリメントの使用に慎重さが必要

健康な人ではプロバイオティクスの副作用は比較的少ないとされていますが、重い病気がある人、免疫機能が低下している人、入院中の人、早産児などでは安全性に特別な注意が必要です。

プロバイオティクスに関連した重い感染症の報告もあります。こうした場合、自己判断でサプリメントを使わず、医療者に相談してください。[2][5]

ビフィズス菌を増やす・上手に取り入れる5つの方法

方法1. ビフィズス菌の「菌名」を確認して食品を選ぶ

ヨーグルトや発酵乳を選ぶときは、単に「腸活」と書かれた商品ではなく、ビフィズス菌の配合表示を見てみましょう。

同じヨーグルトでも、使われている菌は製品ごとに違います。ビフィズス菌が入っているかどうかは、表示で確認するのが確実です。

方法2. オリゴ糖を含む食品を取り入れる

一部のオリゴ糖は、腸内のビフィズス菌などに利用されます。このような、腸内微生物に選択的に利用されて健康上の利益をもたらす成分を「プレバイオティクス」と呼びます。

オリゴ糖は、玉ねぎ、ねぎ、ごぼう、バナナなどの食品にも含まれています。ただし、食品に含まれる量や成分はそれぞれ異なります。[6]

方法3. 食物繊維を多様な食品から摂る

野菜、果物、豆類、海藻、全粒穀物などを組み合わせてみましょう。

食物繊維のすべてがビフィズス菌を直接増やすわけではありません。それでも、さまざまな食物繊維を摂ることは、多様な腸内細菌の働きを支える食生活につながります。

急に摂取量を増やすとお腹が張ることがあるので、無理のない範囲で増やしてください。

方法4. 無理なく続けられる量と食品を選ぶ

「菌数が多いほど効果が高い」「大量に摂るほどよい」とは限りません。

製品に摂取の目安がある場合は、その表示に従いましょう。ビフィズス菌を摂っても、すべての人の腸内に同じように長期間定着するとは限りません。[5]

方法5. 食品だけでなく、生活習慣全体を見直す

腸の調子には、食事だけでなく、睡眠、運動、ストレス、薬の使用なども関係します。

ビフィズス菌入り食品を試す場合も、それだけに頼らず、普段の食事や生活習慣を振り返ってみましょう。便通や体調の変化を簡単に記録しておくと、自分に合っているかを考える材料になります。

具体例:ビフィズス菌入りヨーグルトを選び直した人の話

※以下は理解を助けるための架空の事例です。

会社員のAさんは、毎朝ヨーグルトを食べていました。

「毎日食べているから、ビフィズス菌も摂れているはず」

そう思っていたのですが、ある日、商品のラベルを見て気づきました。そこには乳酸菌の名前は書いてあるものの、ビフィズス菌の記載がなかったのです。

そこでAさんは、ビフィズス菌が配合されている別の商品を探してみました。同時に、朝食がヨーグルトだけになりがちだったことを思い出し、果物やオートミールも取り入れることにしました。

数週間後、Aさんは「この菌を摂れば必ず調子がよくなる」と考えるのをやめました。

代わりに、食品の表示を確かめ、食物繊維を含む食事を組み合わせ、自分の体調を観察するようになったのです。

大切なのは、特定の菌を万能な解決策にするのではなく、自分の生活に合う食べ方を見つけることです。

ビフィズス菌の効果は科学的に証明されている?

研究は数多くありますが、結論は「菌株と目的によって異なる」です。

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、便秘に対する一部のプロバイオティクスについて有望な結果を紹介しています。一方、さまざまな健康目的で、どの菌株・摂取量が適しているかは十分に分かっていない部分が残ります。[2]

米国国立衛生研究所(NIH)のサプリメント情報でも、プロバイオティクスは属・種・菌株で識別され、臨床的な推奨は菌株ごとの根拠に基づくべきだとされています。[5]

製品を見るときは、次のような点を確認してみてください。

  • 菌の正式名称や菌株名は明記されているか
  • どのような人を対象に研究したか
  • 便通など、何を指標に効果を調べたか
  • 摂取量や試験期間は自分の使い方に近いか

「研究されている」ことと「誰にでも効く」ことは違います。

よくある質問

Q1. ビフィズス菌と乳酸菌は、どちらがよい?

一概に優劣は決められません。分類や働きが異なり、どの菌株を何の目的で摂るかによって判断が変わります。両方を含む食品もあります。

Q2. ビフィズス菌は毎日摂らないと意味がない?

一律に毎日摂取する必要があるという決まりはありません。また、摂取した菌がすべての人の腸内に定着するとも限りません。食品として取り入れるなら、無理なく続けられるかを目安にしましょう。

Q3. ビフィズス菌を増やす食べ物は何?

一部のオリゴ糖を含む食品や、ビフィズス菌を配合した発酵乳などが選択肢になります。ただし、食べれば必ずビフィズス菌が増えるとは限らず、反応には個人差があります。[6]

Q4. ビフィズス菌入りヨーグルトなら、便秘が治る?

必ず治るとは言えません。特定の菌株で便通への有用性が研究されていますが、便秘の原因はさまざまです。強い腹痛、血便、急な便通の変化、長引く便秘がある場合は、医療機関で相談してください。

Q5. 子どもや高齢者もサプリメントで摂ってよい?

年齢や体調によって判断が異なります。とくに早産児、重い病気がある人、免疫機能が低下している人については、医師の判断なしに使用しないでください。[2][5]

Q6. ビフィズス菌は生きたまま腸に届かないと意味がない?

「プロバイオティクス」は、十分な量を摂取すると健康上の利益をもたらす生きた微生物を指す言葉です。一方、加熱した菌体やその成分の研究もありますが、プロバイオティクスと同じ根拠で効果を判断することはできません。[5][7]

まとめ:ビフィズス菌は種類と食生活全体で考えよう

ビフィズス菌は、主に人や動物の腸管に生息し、乳酸と酢酸をつくる細菌の一群です。乳酸菌とは分類や性質が異なり、一部の菌株について便通などへの働きが研究されています。

日々の生活では、次の5つを意識してみましょう。

  1. ビフィズス菌が含まれる食品か表示を確認する
  2. オリゴ糖を含む食品を取り入れる
  3. 食物繊維を多様な食品から摂る
  4. 量を増やしすぎず、自分に合う食べ方を選ぶ
  5. 睡眠や運動など生活習慣も見直す

「ビフィズス菌さえ摂れば大丈夫」と考えるよりも、腸内環境を支える食生活全体に目を向けることが大切です。


参考文献・情報源

  1. 腸内細菌学会「ビフィズス菌について教えてください」
    https://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_03.shtml
  2. 米国国立補完統合衛生センター(NCCIH), Probiotics: Usefulness and Safety
    https://www.nccih.nih.gov/health/probiotics-usefulness-and-safety
  3. 一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会「乳酸菌・ビフィズス菌の基礎知識」
    https://www.nyusankin.or.jp/lactic/basics/
  4. 腸内細菌学会「ビフィズス菌と乳酸菌の違いを教えてください」
    https://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_05.shtml
  5. 米国国立衛生研究所(NIH)Office of Dietary Supplements, Probiotics — Health Professional Fact Sheet
    https://ods.od.nih.gov/factsheets/Probiotics-HealthProfessional/
  6. 腸内細菌学会「おなかのビフィズス菌を増やすにはどうしたらいいですか?」
    https://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_12.shtml
  7. ISAPP, The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics consensus statement on fermented foods(2021)
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7925329/

この記事は一般的な健康情報を提供するもので、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合や基礎疾患がある場合は、医療機関に相談してください。