不眠症に対する逆説的意図:系統的レビューとメタ分析
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jsr.13464
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結論
逆説的意図(PI)は、不眠症の症状改善に効果があると認められました。
特に、睡眠開始困難や維持困難の軽減、睡眠後の休息感向上において有意な効果が見られました。
ただし、他の積極的治療法(例えば認知行動療法)と比べた場合、効果の大きさには差があるため、さらなる研究が求められます。
逆説的意図睡眠法は、睡眠への執着を手放すものです。
逆説的意図睡眠法は効果の大きさに差はあれど、「入眠」「睡眠維持(中途覚醒などの改善)」「睡眠後の休息感」と幅広いです。
逆にいうと、「眠ろうと思いすぎる」はデメリットが大きさ、ですね。睡眠執着は精神生理性不眠症やオルソムニアにつながりやすい。
内容の信頼性:8/10
この研究は系統的レビューおよびメタ分析という高いエビデンスレベルを持つ研究手法を採用しており、10件のランダム化比較試験(RCT)を含んでいます。しかし、被験者数が少ない点や治療効果の持続性が十分検討されていない点が評価の減点要因となりました。
睡眠プレッシャーや睡眠不安がなければないほど、効果はないのでは?と思います。
何の研究か?
この研究は、不眠症に対する逆説的意図(PI)の有効性を評価するために、既存の研究を系統的にレビューし、メタ分析を行ったものです。
PIは、睡眠しようと努力する代わりに「起き続けよう」とすることで、睡眠開始困難に対処する手法です。
逆説的意図睡眠法は、人の心理の裏をついた裏技的な睡眠法ですよね。
研究した理由は?
逆説的意図は1990年代から不眠症治療として評価されてきましたが、これまで近代的なメタ分析による検証は行われていませんでした。そのため、本研究では最新の手法を用いて、PIが実際にどれだけ効果があるのかを検証することが目的です。
結果はどうだったか?
研究結果として、以下の点が明らかになりました:
- 効果の比較:
- 消極的治療群(待機リストや無治療群)と比較すると、大きな改善効果が確認されました。
- 積極的治療群(リラクゼーションや刺激制御法)と比較すると、効果は中程度でした。
- 具体的な効果:
- 睡眠開始潜時(SOL)の改善: 待機群と比較して大幅に短縮。
- 目覚め回数(NAW)の減少: PIが有効。
- 睡眠関連パフォーマンス不安の低減: PIが特に効果的。
- 休息感の向上: 積極的治療群と比較しても中程度の改善が見られた。
- メカニズムの考察:
- PIが効果を発揮する理由として、「睡眠に対する過度な意図や努力が逆効果を生む」点が挙げられました。PIはこの無駄な努力を減少させ、リラックス状態を促進します。
今後の課題
PIの有効性は確認されたものの、以下の点が課題として残っています:
- 長期的効果の検証不足: 現状、治療終了後の持続性についてのデータが不足しています。
- 治療手法の標準化: PIの具体的な導入方法が一定しておらず、手法間のばらつきが課題です。
- 異なる不眠症タイプへの適用: 他の不眠症タイプ(併存症を含む)への適用効果が不明です。
逆説的意図がどこまでできるかは、本人次第だし、どこまでできているかは計測ができないですよね。なので、実際の効果は研究が進んでも限定的だと思います。マインドフルネスなどをあわせるとよさそう(マインドレスネスでも可)
総括
逆説的意図(PI)は、不眠症に対する有効な治療法であることが示されましたが、他の認知行動療法(CBT-I)と比較すると効果には限界があるため、PI単独ではなく、他の治療法と組み合わせるなど工夫が必要です。今後、さらなる研究が望まれます。