Nrf2(エヌアールエフツー)は、細胞が酸化ストレスや有害物質から自分を守るための防御反応を調節する転写因子です。正式には Nuclear factor erythroid 2–related factor 2 といい、ヒトでは NFE2L2遺伝子によって作られます。
通常、Nrf2は細胞内で Keap1 というタンパク質によって抑えられ、分解されやすい状態にあります。
活性酸素などによる酸化ストレスが強くなると、この抑制が弱まり、Nrf2が細胞核へ移動します。
そこでDNA上の ARE(Antioxidant Response Element) に結合し、防御に関わるさまざまな遺伝子の働きを高めます。
代表的には、グルタチオン関連酵素、NQO1、HO-1などの産生を促し、活性酸素の処理、解毒、細胞損傷の軽減に関与します。そのためNrf2は、いわば細胞の「抗酸化・解毒システムの司令塔」として説明されることがあります。
Nrf2は老化、炎症、神経変性疾患、糖尿病、心血管疾患などとの関係が研究されています。
一方、Nrf2が常に高ければ良いわけではなく、一部のがん細胞ではNrf2が過剰に活性化することで、がん細胞が酸化ストレスや抗がん剤に耐えやすくなることも知られています。
Nrf2を活性化する 方法は?
Nrf2を活性化する方法として、現時点で比較的根拠があるのは、運動と、スルフォラファンを含むアブラナ科野菜の摂取です。
- 運動
ウォーキング、ジョギング、筋トレなどの運動では、一時的に活性酸素が増え、それが刺激となってNrf2経路が活性化し、体内の抗酸化防御能力が高まります。
特に継続的な運動によるNrf2活性化はよく研究されています。 - ブロッコリースプラウト・ブロッコリー
含まれるグルコラファニンから作られるスルフォラファンが、Keap1に作用してNrf2経路を活性化します。食品成分の中では特に研究が多いものです。 - その他の植物成分
クルクミン(ウコン)、レスベラトロール、ポリフェノール類なども候補ですが、人で「確実にNrf2を活性化する」といえる証拠はまだ限定的です。人を対象とした研究の系統的レビューでも、植物成分については研究の質や結果にばらつきがあります。
食事で狙うならブロッコリースプラウト
特に注目されているのはブロッコリースプラウトです。
成熟したブロッコリーより、若いスプラウトにはスルフォラファンの材料となるグルコラファニンが豊富です。スルフォラファン生成にはミロシナーゼという酵素が必要なので、長時間の高温加熱より、生または軽く加熱して食べるほうが理にかなっています。
また、Nrf2は「たくさん活性化すればするほど健康になる」というものではありません。
そのため、Nrf2活性化サプリを大量摂取するより、運動+アブラナ科野菜を日常的に取り入れる方法が無難です。


