私たちは日常的に「確率」をもとに意思決定をしています。
✅ 「飛行機事故が怖いから、できるだけ飛行機には乗らない」
✅ 「宝くじを買えば、いつか当たるかもしれない!」
✅ 「このサプリを飲めば、がんのリスクが50%減る? 絶対に飲まなきゃ!」
しかし、これらの考え方の多くは、確率の誤認知(Probability Misjudgment)によるものです。人間は、確率を正しく理解できず、感情や直感に基づいて判断してしまうことがよくあります。
本記事では、「確率の誤認知」の意味、具体例、なぜ起こるのか、そしてそれに騙されないための対策について解説します。
確率の誤認知とは?
確率の誤認知とは、確率に関する情報を正しく理解できず、非合理的な判断をしてしまうことを指します。
例えば、飛行機事故の確率は1,100万分の1ですが、多くの人は飛行機を「危険」だと感じがちです。
一方で、交通事故で死亡する確率(約8,800分の1)は飛行機事故よりもはるかに高いにもかかわらず、車には普通に乗ります。
これは、私たちが確率を直感的に捉えてしまい、合理的な判断ができなくなる典型的な例です。
確率の誤認知の具体例
① 宝くじの確率を過大評価する
💰 「1等3億円!」の広告を見ると、「もしかしたら自分も当たるかも!」と感じてしまう
🎫 しかし、1等が当たる確率は1,000万分の1程度で、雷に打たれる確率(100万分の1)よりも低い。
👉 「当選した人」の情報ばかりが目立つため、実際の確率を誤認識してしまう。
② 飛行機事故を過大評価する
🛩 「飛行機は危険」と思い込む人が多いが、実際には車よりも安全。
🚗 交通事故の死亡率ははるかに高いにもかかわらず、日常的に車に乗ることには不安を感じにくい。
👉 メディアでの報道量が多いと、「実際の確率よりも危険だ」と錯覚してしまう(利用可能性ヒューリスティック)。
③ がんのリスクを誤解する
🏥 「このサプリでがんのリスク50%減!」という広告を見て、効果がすごいと勘違いする。
📊 実際には、がんの発生率が2%→1%になっただけ(絶対リスクの減少は1%)で、それほど大きな効果ではない。
👉 「相対リスク」の数字が大きく見えると、実際より効果が大きいと錯覚してしまう。
④ ギャンブルの確率を過小評価する
🎰 「スロットであと1回回せば当たりそう!」と思い込んでしまう。
🎲 「最近負け続けてるから、そろそろ勝てるはず!」と考えてしまう(ギャンブラーの誤謬)。
👉 過去の結果と未来の確率は関係ないにもかかわらず、直感的に「そろそろ勝てる」と思ってしまう。
なぜ確率の誤認知が起こるのか?(心理学的要因)
1. 利用可能性ヒューリスティック
人は、強く印象に残る情報をもとに判断しがちです。
✅ 飛行機事故の報道は衝撃的なため、実際の確率よりも危険に感じる。
✅ 宝くじの当選者がニュースで取り上げられると、「自分も当たりそう」と錯覚する。
2. ギャンブラーの誤謬(Gambler’s Fallacy)
✅ 「負けが続いているから、そろそろ勝てるはず!」と思い込む。
✅ コイン投げで「5回連続で裏が出たから、次は表が出るはず」と考えてしまう(実際は毎回50%)。
3. 基準率の無視(Base Rate Neglect)
確率の全体的なデータを無視し、目の前の情報に影響されやすくなる現象。
✅ 「がんリスク50%減!」の広告を見ても、そもそも元のリスク(例えば2%)を考慮していない。
✅ 「この占いは80%当たる!」と言われても、そもそも80%の基準があいまいな場合が多い。
確率の誤認知に騙されないための対策
1. 「絶対数」と「相対数」の違いを理解する
「リスク50%減」と言われたら、「具体的な数値でどれくらい変わるのか?」を確認する。
2. メディアの報道に流されない
飛行機事故や事件の報道を見るとき、「実際の発生確率はどれくらいか?」を冷静に考える。
3. 過去の結果にとらわれない
ギャンブルや投資では、「前回どうだったか?」ではなく、「現在の確率はどうか?」を考える。
4. 直感ではなく、データで判断する習慣をつける
「なんとなくこうだろう」ではなく、統計データを調べて判断するクセをつける。
まとめ
🔹 確率の誤認知とは、確率を正しく理解できず、非合理的な判断をしてしまうこと。
🔹 宝くじ、飛行機事故、健康リスク、ギャンブルなど、日常のあらゆる場面で発生する。
🔹 主な原因は「利用可能性ヒューリスティック」「ギャンブラーの誤謬」「基準率の無視」などの心理バイアス。
🔹 確率の誤認知に騙されないためには、データを冷静に分析し、直感ではなく論理的に考えることが重要。
あなたも、普段の生活で「確率を誤認識していないか?」を意識してみると、より賢い選択ができるようになりますよ!