段階的運動療法(GET)は、慢性疲労症候群(ME/CFS)の改善方法の一つとして知られています。
しかし、「段階的運動療法とはどのような方法なのか」「なぜ効果が期待されているのか」を詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、段階的運動療法の基本的な考え方や期待される効果、具体的な実践方法について、分かりやすく解説します。
段階的運動療法とは?
段階的運動療法(GET:Graded Exercise Therapy)とは、体調に合わせて少しずつ運動量を増やしていく疲労回復方法です。
慢性疲労症候群(ME/CFS)などで用いられることがあり、「無理をして運動する」のではなく、現在できる範囲から計画的に運動量を増やしていくことを目的としています。
段階的運動療法の3つの効果
① 体力の低下を防ぎ、回復させるため
長期間あまり体を動かさない状態が続くと、
- 筋力が落ちる
- 心肺機能が低下する
- 少し動いただけでも疲れやすくなる
という「廃用(使わないことによる機能低下)」が起こります。
段階的に運動を増やすことで、こうした体力の低下を改善し、日常生活を送りやすくなる可能性があります。
② 「動くことへの不安」を減らすため
「動くと悪化するかもしれない」という不安が強いと、必要以上に活動を避けてしまうことがあります。
無理のない範囲で少しずつ体を動かし、「これくらいなら大丈夫」という成功体験を積むことで、活動への自信を取り戻せる可能性があります。
③ 身体が運動に適応するため
人間の体は、適度な刺激を受けることで少しずつ適応します。
例えば、
- 筋肉が強くなる
- 心肺機能が向上する
- 疲れにくい体になる
といった変化が起こります。
そのため、一気に運動するのではなく、少しずつ負荷を上げることで、体が無理なく適応しやすくなると考えられています。
段階的運動療法の具体的な3つの方法
段階的運動療法(GET)は、「少し頑張る」のではなく、「無理なく続けられる量から始めて、体調を見ながら少しずつ増やしていくこと」が基本です。
① 現在できる運動量を把握する
まずは、「症状が悪化せずに続けられる運動量」を確認します。
例えば、
- 5分歩ける
- ゆっくり自転車を10分こげる
- 軽いストレッチなら15分できる
など、自分にとって無理のない範囲を基準にします。
② 続けられる量から始める
最初から頑張る必要はありません。
例えば、5分歩けるなら、毎日5分程度から始めます。
大切なのは、「今日は調子が良いから20分歩こう」と日によって大きく変えるのではなく、一定の運動量を継続することです。
③ 疲労を確認しながら少しずつ増やす
同じ運動量を続けても疲労が悪化しない場合は、運動量を少しだけ増やします。
例えば、
- 5分 → 6分
- 6分 → 7分
- 7分 → 8分
というように、少しずつ時間や負荷を上げていきます。
一度に大幅に増やすのではなく、体が適応できるペースで進めることが重要です。
④ 症状が悪化したら運動量を調整する
運動後に強い疲労感や体調の悪化がみられた場合は、そのまま続けず、運動量を減らしたり、一時的に増量を中止したりします。
無理をして続けることが目的ではなく、体調に合わせて調整しながら継続することが重要です。
