5日で実感!暑さ耐性をつける暑熱順化トレーニングの9つのメリット

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「暑くて。だるい。動きたくない、外に出たくない…」

子どもの頃から熱いのが苦手で、夏やお風呂や温かい飲み物で、体が温まるのに強いストレスを感じていました。
3年前までは、暑くても、汗をあまりかかず、顔が真っ赤になり、ふらふらすることが多かったです。
夏の日中に30分以上も歩けば、頭が痛くて、ぐったりとしていました。

僕が夏の暑さに弱かった原因は「暑さの耐性がなかったこと」です。

野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
YouTube登録1.2万人以上
著書
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暑さの耐性がないとどうなる?

暑さの耐性がないと、暑いときに次のような症状があらわれます。

  • 汗をかきにくい
  • 熱がさめにくい
  • 暑さで心拍数があがりやすい
  • 暑いと疲れやすい

現在は、マラソンを完走するぐらいには、体力がついているにもかかわらず、暑さには弱いままです。
これでは、夏をしっかり楽しめないし、ランニング記録も伸びないので、暑さ耐性を付けようと思ったのが3週間ぐらい前でした。

「でも、暑さって体質の問題で、どうにもならないよな…」

と思っていたところで、知ったのが暑熱順化トレーニング(HAT)です。

暑さ耐性をつける「暑熱順化トレーニング」とは?

暑熱順化トレーニングとは、暑さへの耐性を高めるためのトレーニングのことです。
HAT(Heat Acclimation Training)とも呼びます。

暑い環境で過ごす時間を長くしていくことで、暑さの耐性をつけていきます。
不安克服法のエクスポージャーと同じく、慣らしていくことで克服する方法です。
早ければ5日で効果が出ることなので、暑い季節を乗り切るには、うってつけの方法です。

次の順番で詳しくお伝えしていきます。

・暑熱順化トレーニング 9つのメリット
・暑熱順化トレーニングを達成する心理テクニック「2つのR]
・HAT:具体的な解決法
・暑さ耐性がつくまでの期間は?

暑熱順化トレーニング 9つのメリット

カルフォルニア州立大学プライアー博士の2018年の研究によると、暑熱順化には次のメリットがあります。1

①体温調節の改善
②心血管系が安定する
③全身に熱さ耐性がつく
④運動能力があがる

暑熱順化トレーニングによって、体の血行が良くなり、脳や体に栄養と酸素がいきわたります。
そのため、次のメリットもあります。

⑤体が回復する
⑥脳がすっきりしてストレス解消
⑦集中力アップ
⑧不安に悩まされにくくなる

さらに、深部体温が38度を超えることで、HSP(ヒートショックプロテイン)によるメリットがあります。

⑨細胞と免疫系を修復・改善

HSPは、ストレス条件で反応するタンパク質です。2
ScienceDirectのHSPのデータによると、このHSPの効果は深部体温が38~39度あたりからでてきます。3
ちなみにHSPは、熱刺激だけではなく、冷刺激や紫外線などの他のストレスによっても生まれます。

暑熱順化トレーニングのメリットを見ると、暑さ耐性だけでなく、心身の健康に良いトレーニングですよね。
暑さ耐性に興味がない方も、健康のためにとりいれてみてはいかがでしょうか?

ただ、暑熱順化トレーニングは、暑さに慣れていく方法になるので、ある程度のストレスがあります。
なので、暑熱順化トレーニングを行うときは、ストレスを軽くする心理テクニックを使うのをおすすめします。

暑熱順化トレーニングを達成する心理テクニック「2つのR]

暑熱順化トレーニングは暑さに慣れていくので、「しんどそう」と思いますよね。
僕も暑さには弱いので、「しんどそう」と少しためらいました。
ただ、暑いのが苦手であれば、そう思うのは自然なことです。

でも、自然な考えですが、本当に暑いとはしんどいことなのでしょうか?

心理テクニック2つのRを使えば、「しんどそう」と思っていたものが、「やってみたい」に変わってきます。

R①「リフレーミング」

リフレーミングとは、捉え方を変えることで新しい意味や価値を見出すテクニックです。
アメリカ家庭医学会 の認知リフレーミングに関する記事によると リフレーミングは前向きにより良い行動をとる方法であることが分かります。4

「リフレーミングにより、私たちは自分の経験をよりポジティブで生産的な方法で解釈できるようになります。」
「否定的な考えは否定的な行動につながり、肯定的で生産的な考えは肯定的で生産的な行動につながります。」
「このリフレーミングにより、感謝と楽観主義が引き出され、最終的にはより良い結果につながります。」

アメリカ家庭医学会 :「認知リフレーミングを使用して行動の変化を促す」

暑熱順化トレーニングもリフレーミングをうまく使うことで、「あれ?逆にやってみたくなる?」となってきます。

リフレーミング:「熱さになれる訓練」ではなく「無料でできる回復手段」

暑熱順化トレーニングは言ってみれば、サウナのようなものです。半身浴とっていてもいいです。
水分補給をしながら、暑熱順化トレーニングを行えば、血行がよくなり、体も心も回復します。
肌も綺麗になります。
暑さ耐性もつくことで、熱中症対策にもなるという、メリットだらけの方法です。

しかも、無料でできます。
マッサージやサウナのようにお金も移動時間もかかりません。
終わった後、シャワーで体を流すと、爽快感もすごいです。
つまり、無料で回復するだけでなく、ストレス解消法にもなります。

このようにリフレーミングすることで、暑熱順化トレーニングに対する抵抗感が軽くなり、前向きにとりくみやすくなります。

R②「リアプレイザル」

リアプレイザルは分かりやすく言うと、感情や感覚に対するリフレーミングです。
コロンビア大学のジェイソン教授の2013年の分析で、「リアプレイザルは主観的なストレスを経験にする効果がある」と報告しています。
つまり、ストレスや不安が減り、取り組みやすくなります。

暑熱順化トレーニングの「暑い=しんどい」という感情の評価も、リアプレイザルをとりいれることで、ストレスを軽くすることができます。

例えば、冬に入るコタツを想像してください。
汗をかくぐらいには熱いですが、気持ち良いと思ったことはありませんか?

「暑い!しんどい!」ではなく、
「じわーっときて、体がほぐれるー」と感じたことは多くの人があると思います。
コタツは「暑いのに、くつろげるもの」です。
つまり、「暑いからしんどい」は「じわーっと暑くてリラックス」という感情評価に捉えなおすことができるんです。

このようにリアプレイザルを使うと、「暑熱順化トレーニングは気持ちいいなー」と思いながらすることもできます。

他にも次のような方法でリアプレイザルをするのもおすすめです。

  • サウナやお風呂が好きな人は、サウナやお風呂、砂風呂の感覚をイメージする。
  • ゴロゴロが好きな人は、こたつに入って温まっている感覚をイメージする。
  • お酒が好きな人は、お酒が入って体が熱くなっている感覚をイメージする。
  • ホットヨガをしている感覚をイメージをする。など

他にも、あなたが「体が熱くなっているけどリラックスしている場面を思い出し、そのときの感覚をイメージするのが大切」です。

長期のメリットを意識すると、よりモチベがあがります。
「これで暑さに強くなれるし、ランニングも早くなるし、回復力もつく」と思うと、暑熱順化トレーニングは「しんどいトレーニング」ではなく「心と体がリフレッシュして、体力がつく方法」と思えて、とりくみやすくなります。

暑熱順化トレーニングの具体的な方法

①暑さには少しずつ慣れていく

最初は10~15分からでOKです。
じわーと温かいを心地いいと思いながら、おこなっていきましょう。
慣れてきたら、30~60分と時間を延ばしていくと、暑さ耐性が高まっていきます。

頻度としては、週5日以上を行うことが大切です。
最初は翌日の疲れがどんな感じがチェックしながらやっていきましょう。
自分にあった時間で行っていれば、むしろ疲労回復して元気になっていることが多いと思います。

②水分補給をしながら行う

必ず水分補給をしながら行いましょう。
あまり喉がかわかないと思っていても、こまめに水分補給をするのが大切です。
なので、水分補給がしやすい宅内でのお風呂や室内で暑熱順化トレーニングを行うのが安全です。
汗がしっかりでるとミネラルが失われるので、スポーツドリンクがおすすめです。

もしも、外に出て行う場合は、ペットボトルを持ち歩きましょう。
水分補給は必須なので、コンビニなどで水分がすぐ買えることを意識して行うことが大事です。
水分不足で自律神経が崩れる。「のどが渇いた」は軽い脱水症状

③バランスのとれた食事をとる。

ビタミンやミネラルが豊富な、野菜や果物を積極的にとりましょう。
汗をかいても体の栄養が保たれるだけではなく、体中に栄養がいきわたり、回復します。

僕の場合は、暑熱順化トレーニングの前後はとりあえずビタミンとミネラルを補給します。
そうすることで、「すごい回復するリラクゼーション」というリフレーミングがしやすくなります。

④運動をとりいれる

暑熱順化トレーニングを行う上では、体力があることも重要です。
暑熱順化トレーニングしながら運動してもいいですが、別に運動して体力をつけるでもOKです。
部屋で厚着して暑熱順化トレーニングを行う場合は、片付けや掃除をしながらすると、ほどよい運動になります。
運動しないで体力をつける方法:NEATの効果と実践例

暑熱順化トレーニングの具体例

  • 夏であれば、部屋の中で厚着して、すごす。
    ストレッチやヨガをすると、まさにホットヨガになりますね。
  • お風呂好きな人は長風呂や半身浴、サウナ。
  • 厚着で外に出てウォーキングやジョギング。など

暑熱順化トレーニングで運動トレーニングをするときに、
「ドバイでトレーニングしているのと一緒だ!」
とリフレーミングすると、ぜいたくな気分が味わえます。
このように楽しめるようにリフレーミングをする癖をつけていくのがおすすめです。

HATで暑さ耐性がつくまでの期間

暑さ耐性の効果が出るまで、早ければ5です。
1週間ほどのHATトレーニングで、夏が楽になるだけではなく、体が健康的にもなります。

もちろん、期間がのびればのびるほど、暑さ耐性はついていきます。
「長くても1か月すれば、暑さに順応する」と言われています。
5日後から、暑さ耐性が強くなっていくだけなので、かならずしも1か月しなくちゃいけないってことはないです。

ちなみに僕の場合は、1週間ほどで効果が実感できました。
2週間が立つと、HAT中は暑いは暑いんですが、終わった後の疲労感がかなり軽減しています。
最近は、かなり楽にすごせています。

暑熱順化トレーニングの注意点

注意点としては、「水分補給はかならず行うこと」です。
あとは、無理はせずの自分のペースで少しずつ慣らしていきましょう。

体力に自信がない間は、外で行わず家の中で行うのがおすすめです。
家であれば水分補給で困ることがありませんし、しんどいと思ったら、すぐにやめることができます。

外で行うときは、厚着にするだけではなく、紫外線対策をするのがおすすめです。
紫外線も体制はつきますが、日差しが強ければ、皮膚ダメージや目のダメージがでてきます。
太陽の光による体内時計が整うことややビタミンDなどの効果は嬉しいものですが、30分もあびれば十分なので、ダメージケアをしましょう。
日焼け止めクリーム、帽子を深くかぶる、顔にタオルをまくなどの方法がおすすめです。
※外で競技する人は、紫外線耐性をつけたほうが、好結果はでやすくなります。

▼参考

  1. Pryor JL, Johnson EC, Roberts WO, Pryor RR. Application of evidence-based recommendations for heat acclimation: Individual and team sport perspectives. Temperature (Austin). 2018 Oct 13;6(1):37-49. doi: 10.1080/23328940.2018.1516537. PMID: 30906810; PMCID: PMC6422510. ↩︎
  2. “According to the Wikipedia article, heat shock proteins (HSPs) are produced under stress conditions and their effects become apparent at core body temperatures of 38-39 degrees Celsius.” (“Heat shock protein,” Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Heat_shock, ac ↩︎
  3. “The heat shock response (HSR) is a process by which cells produce protective proteins in response to stress conditions.” (Source: ScienceDirect, “Heat Shock Response,” https://www.sciencedirect.com/topics/biochemistry-genetics-and-molecular-biology/heat-shock-response, accessed July 23, 2024) ↩︎
  4. “Cognitive reframing allows us to interpret our experiences in more positive and productive ways.” (Source: American Academy of Family Physicians (AAFP), “Cognitive Reframing,” https://www.aafp.org/pubs/fpm/blogs/inpractice/entry/cognitive_reframing.html, accessed July 23, 2024) ↩︎

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