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乳酸菌とは?働き・種類・多く含む食品と上手な取り入れ方5選

「乳酸菌は体によいと聞くけれど、具体的に何をしているの?」

「ヨーグルトを毎日食べれば、腸内環境は必ずよくなるの?」

そんな疑問を持ったことはありませんか。

乳酸菌は、ヨーグルトや漬物などの食品づくりに利用される身近な細菌です。一部の菌株では健康への働きが研究されていますが、すべての乳酸菌に同じ効果があるわけではありません。

この記事では、乳酸菌の意味や種類、期待される働き、食品から取り入れる方法、注意点を紹介します。日々の食生活に無理なく取り入れたい人に向けて、研究でわかっていることと、まだ確実ではないことを分けて解説します。

乳酸菌とは?糖から乳酸をつくる細菌の総称

乳酸菌とは、糖を利用して乳酸を多くつくる細菌の総称です。特定の一種類の菌の名前ではありません。

乳酸菌は、人や動物の体内だけでなく、乳製品、野菜など、さまざまな場所に存在します。食品づくりでは、乳酸発酵によって酸味や風味を生み出し、食品の性質を変える働きを担っています。

乳酸菌には、ラクトバチルス属やラクチカゼイバチルス属、ラクトコッカス属など、複数の分類群があります。2020年には従来のラクトバチルス属が再分類されたため、食品や研究資料で新旧の学名が異なる場合もあります。

ここで区別したいのが、乳酸菌そのものの性質と、その菌を食べた人に起こる健康効果です。乳酸をつくる性質があるからといって、健康効果まで一律に保証されるわけではありません。

乳酸菌とビフィズス菌の違い

どちらも腸内環境の話題でよく登場しますが、分類学上は異なる細菌です。

比較項目 乳酸菌 ビフィズス菌
主な特徴 糖から乳酸を多くつくる 乳酸に加えて酢酸も多くつくる
主な生息場所 腸内、乳製品、植物性発酵食品など 主に人や動物の腸内
酸素との関係 種類によって比較的酸素に耐えられる 一般に酸素を苦手とする
食品での利用例 ヨーグルト、チーズ、漬物など 一部のヨーグルト・発酵乳など

ビフィズス菌も乳酸をつくるため、日常会話ではまとめて「善玉菌」と呼ばれることがあります。ただし、働きや生育条件には違いがあります。

プロバイオティクスとの違い

プロバイオティクスとは、適切な量を摂取すると宿主に健康上の利益をもたらす、生きた微生物のことです。

つまり、乳酸菌なら何でもプロバイオティクスになるわけではありません。特定の菌株について、摂取量や健康への働きを示す根拠が必要です。

また、発酵食品もすべてがプロバイオティクス食品ではありません。製造後に加熱される食品には、生きた菌が残っていない場合もあります。

乳酸菌に期待される4つの働き

1. 発酵食品の味や保存性に関わる

乳酸菌の代表的な働きは、糖を分解して乳酸をつくることです。

乳酸発酵によって食品の酸味や香り、食感が変化します。ヨーグルトや一部の漬物などに独特の風味があるのは、この働きによるものです。

これは、乳酸菌の種類にかかわらず理解しやすい、食品加工上の役割です。

2. 一部の菌株が便通などに関係する可能性がある

一部の乳酸菌やビフィズス菌について、排便回数や便の性状などを調べた研究があります。

ただし、結果は菌株、摂取量、研究対象者、評価した症状によって異なります。「乳酸菌を含む食品なら必ず便秘が改善する」とは言えません。

便秘が長く続く場合や、血便、強い腹痛などを伴う場合は、食品だけで対処しようとせず医療機関に相談してください。

3. 抗菌薬に伴う下痢への有用性が研究されている

抗菌薬は病原菌だけでなく、腸内の微生物にも影響を与えることがあります。

特定のプロバイオティクスでは、抗菌薬の使用に伴う下痢を減らす可能性が示されています。ただし、研究結果は製剤によって異なり、すべての人に推奨できるわけではありません。

抗菌薬を服用している場合、自己判断で処方薬を中止したり、サプリメントで治療を置き換えたりしないでください。

4. 一部のヨーグルト用菌が乳糖の消化を助ける

乳糖を分解しにくい人では、生きたヨーグルト用の菌が乳糖の消化に役立つことがあります。

ただし、ヨーグルトなら誰でも症状が出ないわけではありません。乳糖不耐症の程度や、食べる量、製品によっても違います。牛乳アレルギーがある人に、乳製品を勧めるものではありません。

乳酸菌を取り入れる3つのメリット

1. 身近な食品から取り入れやすい

ヨーグルトや発酵乳、チーズ、乳酸発酵した漬物など、食生活のなかで選べる食品があります。特別なサプリメントを使わなくても、普段の献立に加えやすい点が利点です。

2. 食品そのものの栄養も摂取できる

例えばプレーンヨーグルトなら、乳酸菌だけでなく、たんぱく質やカルシウムなども摂取できます。

乳酸菌の効果だけに注目せず、食品全体としての栄養価で考えることが大切です。

3. 食生活を見直すきっかけになる

発酵食品を取り入れるときに、野菜、豆類、果物、全粒穀物などを組み合わせれば、食物繊維の摂取も意識できます。

腸の調子は一種類の菌だけで決まるものではありません。食生活全体を整えるきっかけとして活用できます。

乳酸菌を摂る際の4つのデメリット・注意点

1. 効果には個人差がある

同じ食品を食べても、体感は人によって異なります。研究で一定の効果が報告されている菌株でも、すべての人に効果が出るとは限りません。

2. お腹が張ることがある

プロバイオティクス製品によっては、ガスや腹部の張りなどが起こることがあります。食べ始めて不快な症状が続く場合は、量や製品を見直してください。

3. 食品によって糖分・塩分が多い

加糖ヨーグルトや乳酸菌飲料には糖分が多いものがあります。また、漬物には塩分が多い製品もあります。

「乳酸菌入り」という表示だけで選ばず、栄養成分表示を確認しましょう。

4. 重い病気や免疫機能の低下がある人には注意が必要

健康な人では一般に重い副作用はまれですが、重い基礎疾患や免疫機能の低下がある人では、プロバイオティクスによる感染などのリスクが高くなる場合があります。

特に治療中の人、重症患者、早産児などへの使用は、医療者の判断が必要です。健康食品であっても、全員に無条件で安全とは限りません。

乳酸菌を上手に取り入れる5つの方法

方法1. 目的を明確にして菌株や表示を確認する

「なんとなく体によさそう」という理由だけでなく、何を期待しているのかを整理してみましょう。

便通を気にしているのか、毎日の食事を整えたいのか。それによって食品選びの基準は変わります。

健康への働きを期待する場合は、菌株名や製品の表示、どのような人を対象に研究されたかを確認することが重要です。

方法2. 食品を無理のない範囲で選ぶ

最初は、プレーンヨーグルトや自分が食べやすい発酵食品から取り入れてみましょう。

乳製品が合わない場合は無理をする必要はありません。また、食品ごとに含まれる微生物は異なり、すべての発酵食品に生きた乳酸菌が含まれているわけではないことも覚えておきましょう。

方法3. 食物繊維を含む食品も組み合わせる

乳酸菌入り食品だけを増やすより、野菜、果物、豆類、海藻、全粒穀物なども含め、食事全体のバランスを整えることが大切です。

食物繊維には、腸内微生物に利用されるものがあります。ただし、食物繊維の種類によって働きは異なり、急に大量に増やすとお腹が張る場合もあります。

方法4. 量を増やしすぎず、続けやすさを重視する

「乳酸菌が多ければ多いほどよい」とは限りません。

プロバイオティクスの働きは菌株と摂取量の組み合わせによって変わります。製品の表示に沿った量を基本とし、無理に大量摂取しないようにしましょう。

方法5. 自分の体調を観察して見直す

食べた食品と、お腹の張り、便の状態、体調などを簡単に記録してみるのも一案です。

ただし、体調の変化には睡眠、運動、薬、ストレスなども関わります。食品を食べ始めた時期と症状の変化が一致しても、それだけで因果関係は断定できません。

具体例:ヨーグルトだけに頼っていた人の食生活の見直し

※以下は考え方を示すための架空の事例です。

会社員のAさんは、「腸によいらしいから」と、毎日甘い乳酸菌飲料を飲んでいました。

ところが、思ったほど調子が変わりません。

「もっとたくさん飲めばいいのかな」と考えたとき、Aさんは商品の成分表示を見直しました。すると、乳酸菌の種類よりも、まず毎日の食事の偏りが気になったのです。

朝食は飲み物だけ、昼食は麺類、夕食は外食が中心。そこでAさんは、乳酸菌飲料の量を増やすのではなく、朝食に無糖ヨーグルトと果物を取り入れ、夕食には豆類や野菜を添えることにしました。

Aさんが得たのは「乳酸菌だけで体調が変わる」という確信ではありません。

乳酸菌をきっかけに、食生活全体を見直す視点でした。

乳酸菌の研究では、どこまでわかっている?

乳酸菌の働きを考えるときは、「研究がある」と「誰にでも効果がある」を区別する必要があります。

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)と日本の厚生労働省eJIMは、特定のプロバイオティクスについて急性下痢や抗菌薬関連下痢などへの有用性を示す研究がある一方、多くの症状・疾患では十分に強い根拠が不足していると説明しています。

また、菌株が違えば働きも違うため、ある菌株で得られた結果を別の乳酸菌にそのまま当てはめることはできません。

大切なのは、商品の宣伝文句だけではなく、対象者・菌株・摂取量・研究結果を組み合わせて判断することです。

よくある質問

Q1. 乳酸菌は毎日摂ったほうがよい?

健康な人すべてに、乳酸菌製品を毎日摂るべきだという一律の推奨量はありません。普段の食生活に無理なく取り入れられるかどうかを基準にしてください。

Q2. 乳酸菌は生きて腸に届かないと意味がない?

生きた微生物による健康効果を指す「プロバイオティクス」では、生存していることが定義上重要です。一方、加熱された菌体や菌由来成分についても別の研究分野があります。両者を同じものとして効果を判断することはできません。

Q3. 乳酸菌とヨーグルトは同じ?

乳酸菌は微生物の総称で、ヨーグルトは乳などを発酵させた食品です。ヨーグルトには菌のほかに、たんぱく質やカルシウムなどの栄養成分も含まれます。

Q4. 乳酸菌の数が多い商品ほど効果が高い?

一概には言えません。菌の数だけでなく、菌株、摂取量、研究で確かめられた働きが重要です。サプリメントでは、消費期限までの菌数や保存方法も確認してください。

Q5. 乳酸菌を摂れば免疫力が必ず上がる?

そのようには言えません。免疫に関する研究はありますが、菌株によって結果が異なり、一般的な「免疫力アップ」をすべての製品に当てはめることはできません。

まとめ:乳酸菌は「種類」と「食生活全体」で考えよう

乳酸菌は糖から乳酸をつくる細菌の総称で、食品の発酵に役立つ身近な存在です。一部の菌株には健康への働きを示す研究もありますが、すべての乳酸菌が同じ効果を持つわけではありません。

まずは食品の種類や表示を確認し、野菜や豆類なども含めた食生活を整えることから始めてみましょう。

乳酸菌は、健康づくりの主役を一つに決めるためのものではなく、毎日の食事を考えるための選択肢の一つです。


参考文献・情報源

  1. 厚生労働省eJIM「プロバイオティクスについて知っておくべき5つのこと」
    https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/communication/c03/07.html
  2. 厚生労働省eJIM「経口プロバイオティクス」
    https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c02/09.html
  3. 米国国立衛生研究所(NIH)Office of Dietary Supplements, Probiotics — Consumer
    https://ods.od.nih.gov/factsheets/probiotics-consumer/
  4. 米国国立補完統合衛生センター(NCCIH), Probiotics: Usefulness and Safety
    https://www.nccih.nih.gov/health/probiotics-usefulness-and-safety
  5. 国際プロバイオティクス・プレバイオティクス学術協会(ISAPP), Consensus Statement on Fermented Foods(2021)
    https://isappscience.org/resource/expert-consensus-document-the-international-scientific-association-for-probiotics-and-prebiotics-isapp-consensus-statement-on-fermented-foods/
  6. 一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会「乳酸菌・ビフィズス菌の基礎知識」
    https://www.nyusankin.or.jp/lactic/basics/
  7. 腸内細菌学会「ビフィズス菌と乳酸菌の違いを教えてください」
    https://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_05.shtml

本記事は一般的な情報提供を目的としています。病気の診断・治療や、医師から処方された薬の代わりにはなりません。