みなさんは「非認知能力」という言葉を聞いたことがありますか?
最近、教育や子育ての現場でよく耳にするようになりましたが、具体的にどんな力を指すのか、まだあまり知られていないかもしれません。
今回は、「非認知能力」とは何か、なぜ今注目されているのか、そして日常生活の中でどう育んでいけるのかを分かりやすくご紹介します。
そもそも「非認知能力」って何?
「非認知能力」とは、テストの点数や資格のように数値で簡単に測ることができない、目に見えにくいけれど人生を豊かにする力のことをいいます。
例えば、以下のような力が代表的です。
- 自己肯定感
- 協調性
- やり抜く力(グリット)
- 自制心
- 好奇心
- コミュニケーション力
自己肯定感
「自分は大切な存在だ」「自分にはできることがある」と、自分を前向きに受け止める気持ちです。
自己肯定感が高いと、失敗しても立ち直りやすく、新しいことに挑戦する勇気が持てます。
協調性
相手の立場を考えて行動したり、周りの人と協力しながら物事を進めたりする力です。
学校や職場、地域など、社会で人と関わる上で欠かせません。
やり抜く力(グリット)
途中であきらめず、粘り強く物事を続ける力です。
失敗してもくじけず、目標を達成するまで努力を続ける姿勢が、長い目で見て大きな成果につながります。
自制心
自分の感情や衝動をコントロールして、目先の欲望に流されない力です。
例えば、やりたいことを我慢して勉強に集中したり、人にきつい言葉をぶつけないように気持ちを落ち着けたりすることも自制心の一つです。
好奇心
「これを知りたい!」「やってみたい!」と、物事に関心を持つ気持ちです。
好奇心があると、新しい学びや経験に積極的に取り組めるので、学びの幅が広がります。
コミュニケーション力
相手の話をきちんと聞いたり、自分の考えをわかりやすく伝えたりする力です。
人間関係を築く土台となる力で、社会に出てからも大きな武器になります。
一方で、「認知能力」とは、国語や算数のテストの点数、IQテストのように、客観的に数値で表すことができる能力のことです。
知識を覚えたり、計算したり、論理的に考えたりする力がこれにあたります。
このように、「認知能力」と「非認知能力」はどちらも大切ですが、近年は非認知能力が人生の満足度や成功に大きく影響すると注目されています。
なぜ今、非認知能力が大切なの?
これまでの社会では、テストの点数や資格など、分かりやすく数値化できる能力が重視されてきました。
しかし、変化の激しい現代では、学力だけでなく、困難に立ち向かう力や他者と協力する力がますます重要視されています。
実際、アメリカの経済学者ジェームズ・ヘックマン氏の研究では、非認知能力の高さが将来の幸福度や年収にも影響することが示されています。
非認知能力はどうやって育てる?
非認知能力は、特別な授業や教材だけでなく、家庭や学校、地域など日常生活の中で少しずつ育まれていきます。
子どもが安心して自分らしさを発揮できる環境づくりが何より大切です。
ポイント1:失敗しても挑戦できる環境をつくる
ポイント2:子どもの気持ちに寄り添う
ポイント3:小さな成功体験を積み重ねる
ポイント1:失敗しても挑戦できる環境をつくる
子どもが新しいことに挑戦するとき、失敗することは当たり前です。
「失敗=ダメなこと」と思ってしまうと、チャレンジする気持ちがなくなってしまいます。
例えば、
- 失敗しても頭ごなしに叱らない
- 「失敗しても大丈夫だよ」と声をかける
- どうすれば次はうまくいくか一緒に考える
といった関わり方で、「失敗してもいいんだ」と思える安心感を与えてあげましょう。
これが、やり抜く力(グリット)やチャレンジ精神を育てます。
ポイント2:子どもの気持ちに寄り添う
「こんなことで泣かないで」「そんなの気にしないで」とつい言ってしまいがちですが、子どもにとっては大切な気持ちです。
- 「そうなんだ、悔しかったんだね」
- 「悲しい気持ちになるよね」
- 「うまくいって嬉しかったんだね!」
と、気持ちに共感してあげることで、子どもは「自分の気持ちは大事にされている」と感じます。
これが自己肯定感を高め、安心して人と関われる土台になります。
ポイント3:小さな成功体験を積み重ねる
大きな目標をいきなり達成するのは大人でも大変です。
まずは子どもが「できた!」と感じられる小さな成功をたくさん経験できるようにサポートしてあげましょう。
例えば、
- お手伝いを任せて「ありがとう!助かったよ!」と伝える
- 一人でできたことをしっかり褒める
- 目標を小さく設定して達成感を味わう
こうした積み重ねが「自分はできる」という自信となり、非認知能力の基盤になります。
まとめ
非認知能力は、特別なトレーニングだけで育つものではなく、日々の親子の関わりや先生、地域の人とのつながりの中で自然と育まれていきます。
「失敗しても挑戦できる」「自分の気持ちをわかってもらえる」「小さな成功を褒めてもらえる」
そんな日常の積み重ねが、子どもにとって一生の宝物になるはずです。