ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)とは?ストレスと覚醒を司る神経伝達物質の役割

※アフィリエイト広告を利用しています

プロフィール画像

執筆者:メンタルコーチしもん
・メンタルと睡眠の専門家 / 作家 / 講師
YouTube登録者数1.4万達成
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・29年間の睡眠障害を克服
・IQ上位0.1%『GIFTED EYES』メンバー
・上級睡眠健康指導士
著書
眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」

ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)は、私たちの体内で神経伝達物質およびホルモンとして機能し、ストレス反応や覚醒レベル、集中力の調整に関わる重要な物質です。
本記事では、その生理学的な役割や影響、関連する疾患や薬理学的な側面について詳しく解説します。


ノルアドレナリンとは?

ノルアドレナリン(Norepinephrine, NE)は、カテコールアミンの一種で、神経伝達物質およびホルモンとしての役割を持ちます。

  • 神経伝達物質としては、交感神経系で情報を伝達し、心拍数や血圧を調整します。
  • ホルモンとしては、副腎髄質から血中に放出され、全身の器官に影響を及ぼします。

名称の違い

  • 「ノルアドレナリン」(Noradrenaline)は、イギリスや日本などで一般的な名称。
  • 「ノルエピネフリン」(Norepinephrine)は、アメリカで主に使用される名称。

どちらも同じ物質を指します。


ノルアドレナリンの生理的役割

1. ストレスと「闘争・逃走反応」

ノルアドレナリンは、ストレスや危険を察知した際に急激に分泌され、「闘争・逃走反応(Fight or Flight)」を引き起こします。これにより、以下のような変化が体内で生じます:

  • 心拍数と血圧の上昇 → 筋肉への血流を増やし、素早く動ける状態に
  • 気道の拡張 → 呼吸をしやすくし、酸素供給を増加
  • 肝臓からのグルコース放出 → エネルギーを即座に供給
  • 消化機能の抑制 → 血液を重要な臓器に集中させる

交感神経とは?体を活性化させるメカニズムと整え方を徹底解説!

2. 覚醒と集中力の向上

脳内では、ノルアドレナリンは覚醒レベルを調整し、注意力を向上させる働きを持ちます。

  • 眠っているときは分泌が最小限になり、覚醒すると増加
  • 青斑核(せいはんかく)という脳の部位から分泌され、警戒心を高める
  • 記憶力や判断力を向上させる

3. 気分や感情の調節

ノルアドレナリンは、感情のコントロールにも関与し、適切なレベルが保たれるとやる気や幸福感を感じやすくなります。
しかし、不足すると無気力や抑うつ症状が現れ、過剰になると不安やパニックを引き起こすことがあります。


ノルアドレナリンの不足・過剰による影響

不足した場合

  • うつ病や無気力
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連
  • 記憶力や集中力の低下

ノルアドレナリンが不足すると、意欲が湧かず、集中力が低下するため、抗うつ薬の一部(SNRIや三環系抗うつ薬)は、ノルアドレナリンの分泌を促進することで効果を発揮します。

過剰になった場合

  • 過度のストレスや不安
  • パニック障害や不眠
  • 高血圧や動悸

ノルアドレナリンの過剰分泌は、不安症状やパニック発作の原因となり、ストレスの多い環境では過剰分泌が続きやすいため、心身の健康に悪影響を及ぼすことがあります。


ノルアドレナリンをコントロールする方法

1. 規則正しい生活習慣

  • 十分な睡眠(7〜8時間)を確保する
  • バランスの良い食事をとる(特にタンパク質やビタミンB群を意識)
  • 日光を浴びる(朝の光はノルアドレナリンの分泌を調整)

2. 適度な運動

  • 有酸素運動(ジョギングやウォーキング)はノルアドレナリンの分泌を促進
  • 運動後のリラックス効果も期待できる

3. ポジティブな刺激を受ける

  • 新しいことに挑戦する(学習、旅行など)
  • 楽しい活動や趣味を持つ

4. カフェインやチロシンを摂取

  • カフェイン(コーヒーや緑茶)はノルアドレナリンの分泌を活性化
  • チロシン(大豆製品、チーズ、卵など)はノルアドレナリンの前駆物質

ノルアドレナリンに関連する疾患と治療

1. うつ病

ノルアドレナリンの不足が関係しており、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)や三環系抗うつ薬が処方されることが多いです。

2. ADHD(注意欠陥・多動性障害)

ノルアドレナリンの働きが弱いため、アトモキセチン(ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)や、グアンファシン(α2受容体作動薬)などの治療薬が使用されます。

3. パニック障害・不安障害

ノルアドレナリンの過剰分泌が影響しているため、ベータ遮断薬抗不安薬が処方されることがあります。

4. 高血圧・心疾患

ノルアドレナリンの影響で血圧が上昇するため、ベータ遮断薬が治療に用いられます。

アドレナリンとノルアドレナリンの違い

項目アドレナリン(エピネフリン)ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)
別名エピネフリン(Epinephrine)ノルエピネフリン(Norepinephrine)
主な役割緊急時の全身の興奮状態を作るストレス時の警戒・集中力向上
作用する部位心臓、肺、血管、筋肉など全身血管、脳、交感神経系
分泌される場所副腎髄質(主にホルモンとして作用)副腎髄質・交感神経系・青斑核(神経伝達物質として作用)
主な受容体α1, α2, β1, β2, β3(幅広い影響)α1, α2, β1, β3(主に血管や脳に影響)
血圧への影響血圧上昇+心拍数増加血圧上昇(主に血管収縮による)
心拍数への影響大幅に増加(心臓を強く動かす)軽度の増加(主に血管収縮)
ストレス反応「戦うか逃げるか(Fight or Flight)」を強化警戒心・集中力を高める
エネルギー供給糖分(グルコース)を素早く放出し、エネルギーを供給エネルギー供給を維持し、持続的な警戒モードを作る
気分や精神への影響興奮や高揚感を引き起こす集中力向上、不足すると抑うつや無気力に
医学的用途アナフィラキシーショック、心停止時の治療低血圧治療、抗うつ薬、ADHD治療

まとめ

  • アドレナリンは主に「緊急時の身体の活性化」に働くホルモンで、心拍数を増やし、エネルギー供給を促進する。
  • ノルアドレナリンは「警戒・集中・血圧調整」に関与する神経伝達物質で、ストレスや覚醒をコントロールする。

両者は似た作用を持つものの、アドレナリンは「身体の即時対応」、ノルアドレナリンは「持続的なストレス適応」に重要な役割を果たします。
アドレナリンとは? その役割と影響を徹底解説


まとめ

ノルアドレナリンは、ストレス、覚醒、集中力に深く関わる神経伝達物質であり、バランスが崩れると精神的・身体的な健康に影響を及ぼします。

✔ ノルアドレナリンのポイント

✅ ストレスに対する「闘争・逃走反応」を引き起こす
✅ 覚醒や集中力を向上させる
✅ 不足すると無気力やうつ症状に、過剰だと不安やパニックを引き起こす
✅ 生活習慣や適度な運動でバランスを保てる

ノルアドレナリンを適切にコントロールし、心身の健康を維持しましょう!

タイトルとURLをコピーしました