後脛骨筋(こうけいこつきん)は、すねの深い位置から足の内側へつながる筋肉です。
足首を下へ伸ばす「底屈」、足裏を内側へ向ける「内反」に関与し、さらに土踏まずを支える重要な役割を持っています。
歩行、ランニング、片脚立ちなどで足部を安定させるために働き、負担が大きくなると内くるぶし周辺や足の内側に痛みが出ることがあります。
この記事では、後脛骨筋の場所、役割、土踏まずとの関係、鍛え方、負担がかかりやすい原因、セルフケアまで詳しく解説します。
後脛骨筋とは?
後脛骨筋は、脛骨・腓骨・骨間膜の後面付近から始まり、すねの深部を通って内くるぶしの後ろを通過し、舟状骨を中心とした足部へ付着します。
ふくらはぎの深層にあるため、筋腹そのものを表面から触り分けることは難しい筋肉です。
後脛骨筋はどこにある?
後脛骨筋は、
- すね後面の深部
- ふくらはぎ深部
- 内くるぶし後方
- 足の内側
- 土踏まず周辺
へ続いています。
腱は内くるぶしの後方を通るため、この周辺で違和感を感じることがあります。
後脛骨筋の主な役割
1. 足を内反する
後脛骨筋は、足裏を内側へ向ける内反に強く関与します。
2. 足首を底屈する
つま先を下へ向ける足関節底屈を補助します。
3. 土踏まずを支える
後脛骨筋腱は足の内側へ付着し、内側縦アーチの保持に関与します。
4. 歩行時に足部を安定させる
着地から蹴り出しまで、足部が必要以上に崩れないようにコントロールします。
後脛骨筋と土踏まずの関係
後脛骨筋は、足部の内側縦アーチを支える重要な筋肉のひとつです。
ただし、土踏まずは後脛骨筋だけで維持されているわけではありません。
なども関係します。
後脛骨筋に負担がかかりやすい原因
長時間の歩行
歩行のたびに足部を安定させるため働きます。
ランニング
着地と蹴り出しを繰り返すため、後脛骨筋腱への負荷が増えます。
急な運動量増加
走行距離や歩行量を急に増やすと、内くるぶし周辺に負担が集中することがあります。
足部のアーチが大きく崩れる動作
片脚立ちや着地で足部が大きく内側へ崩れる場合、後脛骨筋の負担が増えることがあります。
坂道・長時間の立位
足部を支える時間が長くなり、疲労しやすくなります。
後脛骨筋が張る・痛いと感じるときに起こりやすいこと
- 内くるぶしの後ろが痛い
- 足の内側が張る
- 長く歩くと土踏まずが疲れる
- 片脚立ちで内側が疲れる
- つま先立ちで痛みが出る
- ランニング後に内くるぶし周辺が重い
ただし、この周辺の痛みは後脛骨筋腱だけでなく、長趾屈筋、長母趾屈筋、足関節周囲の靱帯などが関係することがあります。
後脛骨筋腱機能不全とは?
後脛骨筋腱に変性や機能低下が起こると、足部のアーチが保ちにくくなり、成人期扁平足につながることがあります。
症状として、
- 内くるぶし周辺の痛み
- 土踏まずの低下
- 片脚つま先立ちが難しい
- 足部の変形
などがみられることがあります。
こうした変化がある場合は自己流トレーニングだけで対応せず、医療機関で評価を受けることが重要です。
後脛骨筋の鍛え方
チューブ内反
ゴムバンドを足の外側から引き、足裏を内側へ向けます。
ポイントは、
- 膝を動かさない
- 足首から動かす
- ゆっくり戻す
- 軽い負荷から始める
ことです。
カーフレイズ
つま先立ちでは後脛骨筋も足部の安定に関与します。
片脚カーフレイズ
片脚で行うと足部安定の要求が高くなります。
ショートフット
足指を強く曲げずに、土踏まずを軽く引き上げるように足部を短くする運動です。
後脛骨筋だけでなく足部内在筋も働きます。
後脛骨筋を鍛えるときの注意点
足指を強く丸めすぎない
内反運動やショートフットで指を握り込むと、別の筋肉に負荷が偏ります。
内くるぶし周辺の痛みを無視しない
腱の痛みがある場合は負荷を下げます。
片脚つま先立ちが難しい場合は無理に高負荷へ進まない
状態によっては専門的な評価が必要です。
後脛骨筋のストレッチ
後脛骨筋は足関節底屈・内反に関与するため、反対方向である背屈・外反方向へ動かすと伸張されます。
ただし、内くるぶし周辺に痛みがある場合は無理に強く伸ばしません。
後脛骨筋のセルフケア
1. 歩行・ランニング量を調整する
痛みがある場合は距離や坂道を一時的に減らします。
2. 足部を軽く動かす
内反・外反、底屈・背屈を痛みのない範囲で行います。
3. 靴の状態を確認する
極端に摩耗した靴や合わない靴では足部の負担が増えることがあります。
後脛骨筋について覚えておきたいポイント
- すね深部から足内側へつながる
- 足の内反に関与する
- 足関節底屈を補助する
- 土踏まずを支える
- 歩行やランニングで足部を安定させる
- 内くるぶし後方に腱が通る
- 片脚つま先立ちが難しい場合は要注意
- 足の内側痛は後脛骨筋だけで判断しない
まとめ
後脛骨筋は、すねの深部から足の内側へつながり、足の内反、足関節底屈、土踏まずの保持に重要な筋肉です。
歩行やランニングでは足部が必要以上に崩れないように働き、内側縦アーチを支えます。
トレーニングではチューブ内反、カーフレイズ、ショートフットなどが取り入れやすい方法です。
内くるぶし周辺の痛みが続く、土踏まずが急に低下した、片脚つま先立ちが難しいといった場合は、自己判断せず医療機関で確認することが大切です。

