PTSD(心的外傷後ストレス障害)の人では、悪夢や睡眠障害が非常に多くみられます。
しかし、悪夢は単なる症状ではなく、PTSDを長引かせる要因になる可能性もあります。
本研究では、悪夢に対する代表的な心理療法であるイメージリハーサル療法(IRT:Imagery Rehearsal Therapy)について、これまでの研究を整理し、その有効性や実際の進め方をレビューしています。
参考:悪夢の書き換え:心的外傷後ストレス障害における睡眠障害の治療にイメージ療法を用いる【2022年】
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】
結論
イメージリハーサル療法(IRT)は、PTSDに伴う悪夢を改善するための現時点で最も有力な心理療法の一つとされています。
複数の研究では、悪夢の頻度や苦痛だけでなく、睡眠の質やPTSD症状全体の改善も報告されています。また、子どもから成人まで幅広い年代で効果が示されており、現在はアメリカ睡眠医学会(AASM)がレベルAで推奨する治療法と紹介されています。一方で、より大規模で質の高い研究は今後も必要とされています。
内容の信頼性:9.5/10点
理由
- システマティックレビューではありませんが、これまでの研究を幅広く整理したナラティブレビューです。
- ランダム化比較試験(RCT)を含む複数の研究を紹介しています。
- アメリカ睡眠医学会(AASM)の推奨内容も踏まえて解説されています。
- 一方で、著者自身も「さらなる質の高い研究が必要」と述べています。
何の研究か?
PTSDに伴う悪夢や睡眠障害について、
- 悪夢がPTSDに与える影響
- イメージリハーサル療法(IRT)の仕組み
- 実際の治療手順
- 成人・子どもを対象にした研究結果
をまとめ、IRTがどれくらい有効なのかを整理したレビュー論文です。
研究した理由は?
PTSDでは悪夢や睡眠障害が非常によくみられますが、これらは単なる症状ではなく、PTSDを長引かせたり悪化させたりする可能性があります。
また、通常のトラウマ治療だけでは悪夢が十分に改善しない場合もあります。そのため、悪夢そのものに対する効果的な治療法としてIRTがどのように役立つのかを整理することが目的でした。
結果はどうだったか?
悪夢はPTSDの重要な症状だった
悪夢や睡眠障害はPTSDで非常によくみられます。
研究では、
- 戦争経験者の97%に睡眠障害、94%に悪夢
- ホロコースト生存者の95%に睡眠障害、83%に悪夢
が報告されています。
悪夢はPTSDの発症や維持にも関係していた
外傷から1か月後に悪夢がある人は、6か月後に33%がPTSDと診断されました。
また、睡眠障害がある人では、72%が6か月後にPTSDと診断されました。
つまり、悪夢や睡眠障害はPTSDの予測因子になる可能性が示されました。
イメージリハーサル療法(IRT)は悪夢の改善に有効だった
IRTでは、
- 悪夢を書き出す
- 内容を自分が望む結末へ書き換える
- 新しい夢を毎日10〜20分イメージ練習する
という流れで治療を行います。
成人でも改善がみられた
戦争経験者を対象とした研究では、
- 15.2%が治療後に悪夢がなくなった
- 30.3%が睡眠時間6時間以上になった
- 90.9%が睡眠全体の改善を報告しました。
別の研究では、
- 1か月後に悪夢が44%減少
- 64%が悪夢だけでなくPTSD症状や不眠の改善も報告しました。
性的被害を受けた人でも効果がみられた
性的被害を受けたPTSD患者では、
IRTを追加したグループは通常の認知行動療法のみのグループより、
- 睡眠の質
- 悪夢の頻度
がより大きく改善しました。PTSD症状そのものは両群とも改善しましたが、睡眠面ではIRTを加えた方が優れていました。
子どもでも効果が期待された
9〜11歳の子どもを対象とした研究では、IRTによって悪夢の頻度が有意に減少し、その効果は9か月後も維持されました。

