「夜に運動すると眠れなくなる」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、本当に運動する時間や強度によって睡眠は悪くなるのでしょうか?
この研究では、運動する時間(朝・夕方・夜)や運動強度(中強度・高強度)が、体内時計(メラトニン・コルチゾール・深部体温)や睡眠の質にどのような影響を与えるのかを、複数の研究をまとめて検証しています。
参考:運動のタイミングと強度が生理的概日リズムと睡眠の質に及ぼす影響:系統的レビュー【2023年】
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】
結論
短時間の夜の運動や高強度運動は、体内時計には多少影響を与えることがある。
- しかし、多くの研究では睡眠の質が大きく悪化することは確認されなかった。
- 一方で、朝の運動を長期間続けると、起床後のコルチゾールの状態が改善し、睡眠の質も向上する傾向がみられた。
- つまり、「夜に運動すると必ず眠れなくなる」とは言えず、運動の時間・継続期間・内容によって影響は異なることが示されました。
内容の信頼性:8.8 / 10点
評価理由
- 系統的レビュー(システマティックレビュー)であり、複数の研究をまとめて評価している。
- PRISMAガイドラインに沿って実施され、研究の質も評価されている。
- 一方で、対象となった研究は12件・参加者201人とそれほど多くなく、男性が77.1%を占めていたため、今後さらに研究が必要とされています。
何の研究か?
運動の
- 時間帯(朝・昼・夕方・夜)
- 運動強度(中強度・高強度)
によって、
- メラトニン
- コルチゾール
- 深部体温
といった体内時計に関わる指標や、睡眠の質がどのように変化するかを調べた系統的レビューです
研究では、2000年〜2023年に発表された論文を検索し、条件を満たした12件の研究(参加者201人)を分析しました。
研究した理由は?
運動は睡眠を良くすると言われる一方で、
- 朝の運動が良いという研究
- 夜の運動は睡眠に悪いという研究
など、結果が一致していませんでした。
また、運動は体内時計を調整するホルモンや体温にも影響するため、
「運動する時間や強度によって、体内時計や睡眠は実際どう変わるのか?」
を整理することが目的でした。
結果はどうだったか?
① 夜の運動は体内時計に影響することがある
夜に短時間の運動を行うと、
- メラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌リズムが後ろにずれる
- 夜間の深部体温が上昇する
といった変化がみられました。
一般的に、メラトニンは夜になると増え、深部体温は低下することで眠りやすくなります。そのため、夜の運動は体内時計には多少影響を与える可能性があると考えられます。
② ただし、睡眠の質はほとんど悪化しなかった
体内時計に変化がみられた一方で、
などを調べた研究では、睡眠の質が大きく悪化したという結果はほとんどありませんでした。
つまり、「体内時計が少し変化した=眠れなくなる」ではないことが示されています。
③ 高強度運動でも、睡眠への悪影響はほとんどみられなかった
「激しい運動をすると眠れなくなる」とよく言われますが、このレビューでは、
- 高強度運動
- 中強度運動
を比較しても、睡眠の質に大きな違いは認められませんでした。
一部の研究では、高強度の夜間トレーニング後に睡眠効率が低下した例もありましたが、全体として一貫した悪影響は確認されませんでした。
夜20時頃に行った4×4HIIT(むっちゃきつい有酸素運動)では睡眠が悪化した研究もありました。個人の体力レベルにもよりそうですね。生活リズムが崩れなければ、夜の運動をしてもいいかもしれない。
④ 長時間の運動では体温は上がるが、時間とともに元に戻る
長めの運動をすると、深部体温は上昇しました。
しかし、その体温上昇は永続的ではなく、多くの研究では運動終了後30〜120分ほどで元の水準に戻ることが確認されました。
そのため、運動直後は体温が高くても、就寝までに十分な時間があれば睡眠への影響は小さい可能性があります。
運動の強度や、個人の回復力にもよるけど、就寝の2時間以上前には完了したいですね。
元の水準に戻るが最大2時間なので、2時間30分~3時間前ぐらいが良さそう。
⑤ 朝の運動を継続すると睡眠改善につながる可能性がある
一方で、朝に運動を長期間続けた研究では、
- 起床後のコルチゾール濃度が低下
- 睡眠の質が改善
する傾向がみられました。
コルチゾールは体内時計に関わるホルモンの一つで、適切なリズムを保つことが睡眠や覚醒リズムの維持につながると考えられています。
この結果から研究者は、朝の運動を継続することは、体内時計を整え、睡眠改善に役立つ可能性があると考察しています。
朝の運動を長期間続けた研究では、起床後のコルチゾール濃度が低下するとともに、睡眠の質が改善する傾向がみられました。このレビューでは、メラトニンやコルチゾール、深部体温といった体内時計の指標も測定していましたが、体内時計の変化が睡眠改善の原因であることまでは証明されていません。
まとめ
このレビュー全体を通して分かったのは、
- 夜の運動はメラトニンや深部体温など体内時計には影響を与えることがある
- しかし、睡眠の質が大きく悪化するという証拠は少ない
- さらに、朝の運動を継続することは睡眠改善につながる可能性がある
ということでした。
つまり、「夜に運動すると眠れなくなる」と一概には言えず、運動する時間だけでなく、運動時間や継続期間、個人差なども考慮する必要があることが示されました。