この研究では、スヌーズを繰り返すことで、起床直前の睡眠が細切れになり、起床後の睡眠慣性や疲労が長引く可能性が示されました。
特にスヌーズを使った条件では、起床前20分間に覚醒する回数や睡眠段階の切り替わりが増え、起床後の反応時間にも一部で悪化がみられました。研究者らは、スヌーズによる「何度も強制的に起こされること」が、スムーズな覚醒を妨げた可能性を挙げています。
参考:Effects of using a snooze alarm on sleep inertia after morning awakening【2022年】
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】
内容の信頼性:6/10
研究2では、脳波などを記録する睡眠ポリグラフや、音に対する反応時間といった客観的な測定が行われています。また、同じ参加者がスヌーズあり・なしの両条件を経験し、その順番も参加者間で調整されています。
評価を6点とした大きな理由は、実際にスヌーズの影響を比較した研究2が10人と非常に小規模だからです。論文に記載された事後検出力も 1−β=0.47 でした。さらに対象は日本の大学生に限られ、実験室での睡眠だったこと、参加者が「決められた時間には必ず起こしてもらえる」と分かっていたことも限界として論文自体が挙げています。研究者らも、より大きなサンプルや、大学生以外の年代・職業、自宅環境での研究が必要だとしています。
何の研究か?
スマートフォンなどのスヌーズ機能を繰り返し使うことが、朝の「睡眠慣性」にどのような影響を与えるかを調べた研究です。
研究は2つに分かれています。
研究1:アンケート調査
日本の大学生296人が睡眠や目覚ましについて回答し、欠損データを除いた293人を分析しました。
研究2:睡眠実験
普段から週5~7回スヌーズを使っている健康な日本人大学生10人、女性5人・男性5人、21~26歳を対象に、スヌーズありとスヌーズなしの夜を比較しました。実験では、起床前20分間に5分間隔で4回スヌーズを鳴らしています。
研究した理由は?
スヌーズ機能は広く使われていますが、スヌーズを繰り返すことが実際の目覚めや睡眠慣性にどう影響するのかは明確になっていませんでした。
研究1では、293人中251人、85.7%が普段から目覚めるための道具をよく使っていました。また、目覚ましを使う人のうち70.5%がスマートフォンのスヌーズ機能をよく利用していました。
スヌーズを使う主な理由は、
- 1回だけのアラームでは時間どおり起きられない心配がある:50.7%
- 寝る前に「ちゃんと起きられる」という安心感を得たい:35.6%
でした。
スヌーズ利用者では、1回の朝に使う平均回数が6.2回(SE=0.2)、平均間隔は7.0分(SE=0.4)でした。朝起きるまでにスヌーズ機能を何回作動させたか、その平均という意味です。中央値は5回、最頻値は4回でした。
結果はどうだったか?
| 項目 | スヌーズあり | スヌーズなし | 結果 |
|---|---|---|---|
| 一晩の総睡眠時間 | 387.8分 | 396.5分 | スヌーズありで短かった(p=0.021) |
| 起床前20分の睡眠時間 | 15.7分 | 19.7分 | スヌーズありで短かった(p=0.002) |
| 起床前20分の睡眠効率 | 78.7% | 98.5% | スヌーズありで低かった(p=0.002) |
| 起床前20分の覚醒時間 | 3.9分 | 0.2分 | スヌーズありで長かった(p=0.009) |
| 起床前20分のN1睡眠 | 6.1分 | 1.5分 | スヌーズありで長かった(p=0.006) |
| 起床前20分に目覚めた回数 | 4.1回 | 0.3回 | スヌーズありで多かった(p<0.001) |
| 起床前20分に睡眠段階が切り替わった回数 | 12.2回 | 3.5回 | スヌーズありで多かった(p=0.006) |
| 起床後・第3セッションの反応時間 | 238.4ミリ秒 | 221.9ミリ秒 | スヌーズありで反応が遅かった(p=0.024) |
| 起床後の活力(Global Vigor) | 睡眠前から有意な上昇なし | 睡眠前より有意に上昇 | スヌーズなしの方が覚醒後の活力が高まった |
睡眠実験では、スヌーズを使った夜の総睡眠時間は平均387.8分、使わなかった夜は396.5分で、スヌーズ条件のほうが有意に短くなりました(p=0.021)。
特に差が大きかったのが起床直前の20分間です。
スヌーズあり/なしで比較すると、
- 睡眠時間:15.7分 / 19.7分
- 睡眠効率:78.7% / 98.5%
- 途中で覚醒していた時間:3.9分 / 0.2分
- 浅い眠りであるN1睡眠:6.1分 / 1.5分
となりました。睡眠時間と睡眠効率は p=0.002、覚醒時間は p=0.009、N1睡眠は p=0.006 で有意差がありました。
起床前20分間に目を覚ました回数も、スヌーズありでは平均4.1回、なしでは0.3回でした(p<0.001)。睡眠段階が切り替わった回数も、12.2回対3.5回とスヌーズ条件で多くなりました(p=0.006)。
起床後の単純な音への反応時間については、条件全体としての有意な主効果は確認されませんでしたが、第3セッションでは、スヌーズありで平均238.4ミリ秒、なしで221.9ミリ秒となり、スヌーズ条件のほうが有意に遅くなりました(p=0.024)。
また、覚醒度や活力を表す「Global Vigor」は、スヌーズなし条件では睡眠前と比べて起床後に有意に上昇しましたが、スヌーズ条件では同じ変化が確認されませんでした。
研究者らは、こうした結果から、スヌーズによって起床直前の睡眠が何度も中断されることが、睡眠慣性を長引かせる可能性があるとしています。
ケイコ・オガワ
広島大学大学院人間社会科学研究科・インテグレーテッド・アーツ・アンド・ヒューマン・サイエンシズ・プログラム
エミ・カイズマ=ウエヤマ
広島大学・スクール・オブ・インテグレーテッド・アーツ・アンド・サイエンシズ
ミツオ・ハヤシ
広島大学大学院人間社会科学研究科・インテグレーテッド・アーツ・アンド・ヒューマン・サイエンシズ・プログラム
Ogawa et al. (2022). Effects of using a snooze alarm on sleep inertia after morning awakening. J Physiol Anthropol, 41(1), 43.

