子どもの成長にとって、十分な睡眠は欠かせません。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、身体的な成長だけでなく、脳の発達や免疫機能の向上にも大きな役割を果たします。特に、成長期の子どもにとって最適な睡眠時間を確保することは、心身の健康、学習能力、情緒安定にも繋がります。
しかし、現代の生活習慣やデジタル機器の普及などによって、子どもの睡眠リズムが乱れやすくなっているのも事実です。本記事では、年齢別に最適な睡眠時間を解説し、子どもがより良い睡眠を取るためのコツや環境作りについても詳しくお伝えします。
野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・YouTube「メンタルコーチしもん」登録数1.3万
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
年齢別の子どもの最適な睡眠時間
1. 乳児(0〜1歳)
- 最適な睡眠時間:1日あたり14〜17時間
- 特徴:生後間もない乳児は、短い周期で眠りと覚醒を繰り返します。新生児は夜と昼の区別がついておらず、夜間の授乳もあるため、親が睡眠不足になりやすい時期です。
乳児期は、脳の発達が特に活発な時期であり、十分な睡眠が脳細胞の成長を促します。生後数ヶ月を過ぎると、夜の睡眠がまとまって取れるようになるため、夜の眠りを重視したスケジュール作りが重要です。
2. 幼児(1〜3歳)
- 最適な睡眠時間:1日あたり12〜14時間
- 特徴:幼児期には、昼間の昼寝も含めて12時間以上の睡眠が推奨されます。夜の睡眠は10〜11時間程度、昼寝は1〜2時間が理想的です。
この時期には、規則正しい睡眠習慣を身につけることが重要です。決まった時間に寝るように習慣づけることで、自然と体内時計が整い、スムーズな入眠が期待できます。
3. 幼児後期(4〜5歳)
- 最適な睡眠時間:1日あたり10〜13時間
- 特徴:幼児後期になると、昼寝をしない子も増えてきます。夜の睡眠時間は10〜11時間が適切とされていますが、昼寝をする場合は30分から1時間程度が目安です。
4歳を過ぎると、睡眠中の成長ホルモン分泌がピークに達するため、この時期の睡眠が骨や筋肉、脳の成長を支えます。遅寝や早起きなどリズムが乱れると、成長ホルモンの分泌にも影響が出るため、安定した生活リズムを作ることが大切です。
4. 小学生(6〜12歳)
- 最適な睡眠時間:1日あたり9〜11時間
- 特徴:学年が上がるにつれて宿題や習い事も増え、睡眠時間が短くなりがちです。しかし、夜の睡眠は9〜12時間を確保することが望ましいとされています。
学習の基礎力が身につく大切な時期でもあり、十分な睡眠を取ることで記憶力や集中力が高まります。夜遅くまでスマホやテレビを見る習慣がつくと、睡眠の質が低下する原因となるため、デジタル機器の使用時間をコントロールすることが重要です。
5. 中学生(13〜15歳)
- 最適な睡眠時間:1日あたり8〜10時間
- 特徴:この年代の子どもは思春期を迎え、体や心に大きな変化が訪れます。日中の集中力や情緒の安定のためにも、8〜10時間の睡眠が推奨されています。
部活動や塾などで帰宅が遅くなりがちなため、睡眠時間が不足しやすい年代です。スマホやタブレットの使用も増えるため、寝る前のデジタルデトックス(スマホやタブレットから離れること)も習慣化すると良いでしょう。
子どもの睡眠不足がもたらす影響
子どもが十分な睡眠を取れないと、様々な心身の不調が現れることがあります。
- 集中力・記憶力の低下:睡眠不足は脳の働きを低下させ、勉強やスポーツの集中力に悪影響を及ぼします。記憶の定着も妨げられるため、学習に支障をきたすこともあります。
- 情緒不安定やイライラ:睡眠不足によってホルモンバランスが崩れ、気分の浮き沈みが激しくなったり、些細なことでイライラしやすくなることがあります。
- 免疫力の低下:睡眠が不足すると体が疲れやすくなり、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなります。成長期の子どもにとって健康面での影響は特に大きく、十分な睡眠が病気予防の一助となります。
子どもの睡眠の質を高めるための方法
1. 規則正しい生活リズムを作る
決まった時間に寝て、決まった時間に起きる生活リズムを作ることは、子どもの睡眠にとって非常に重要です。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る習慣をつけることで、体内時計が整い、自然に眠りやすくなります。
2. 寝る前のルーティンを作る
寝る前にリラックスする習慣をつけることで、入眠がスムーズになります。例えば、本を読んだり、ぬるめのお風呂に入ったりといったリラックスタイムを作ると、子どもの体が自然と「そろそろ寝る時間だ」と認識するようになります。
- お風呂:寝る1時間前に入浴を済ませ、体が温まってから徐々に冷める過程で自然と眠気が訪れます。
- 読書:寝る前に本を読んでリラックスする習慣を持つことで、体が休息モードに入るサポートをします。
3. 部屋の環境を整える
眠りやすい環境を整えることも大切です。部屋の温度は21度前後、湿度は40〜60%程度が理想とされており、過度に暑すぎたり寒すぎたりしないよう注意します。また、真っ暗な状態にすると深い眠りにつきやすいため、できるだけ遮光カーテンを使用して暗くすることが望ましいです。
- 照明:寝る1時間前には、照明を少し暗めにすることで、メラトニンの分泌を促し、自然な眠気を誘発します。
- 音:静かな環境が理想ですが、完全な無音が気になる場合はホワイトノイズやリラックス音楽を小音量で流すのも効果的です。
4. デジタルデトックスを取り入れる
スマホやタブレット、テレビなどのデジタル機器から発せられるブルーライトは、脳を活性化させてしまい、眠りを妨げる原因になります。寝る1〜2時間前にはデジタル機器を使用しないようにする「デジタルデトックス」を習慣化すると、より質の良い睡眠が得られます。
- ナイトモードの利用:ブルーライトを減らすナイトモードを活用するのも効果的です。
- 寝室からデジタル機器を排除:寝室にはスマホやタブレットを持ち込まないようにし、寝るための環境を保つことが大切です。
5. 栄養バランスを整えた食事
良質な睡眠を取るためには、日々の食事も影響を与えます。例えば、カルシウムやマグネシウムはリラックス効果があり、眠りに適した状態を作ります。また、寝る前にお腹が空かないよう、夕食はできるだけ就寝の2〜3時間前までに済ませるようにしましょう。
- カルシウム:乳製品や小魚に多く含まれ、リラックス効果をもたらします。
- マグネシウム:バナナやナッツ類に含まれ、筋肉の緊張をほぐす効果があります。
まとめ:子どもの睡眠時間を確保して心身の健康を守る
子どもの睡眠時間は、年齢に応じて異なるため、それぞれの発達段階に適した睡眠時間を確保することが重要です。現代の生活環境ではデジタル機器や忙しいスケジュールが影響し、子どもの睡眠リズムが乱れがちですが、親ができるだけ規則正しい生活習慣や寝室環境を整えることで、子どもが健やかに眠れるようサポートできます。
成長や学習にとって欠かせない睡眠をしっかり確保し、子どもの健やかな成長と健康を守りましょう。
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