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【オルソムニア】睡眠計測をする人の14%は不眠症状につながる?―現代ならではの正解の睡眠がもたらす病―

最近、睡眠の質に注目が集まり、睡眠トラッカーやスマートウォッチなどで自分の睡眠を「見える化」する人が増えています。

毎日の睡眠を数値で知ることは、自分の生活習慣を見直す良いきっかけにもなります。
しかし、こうした便利なテクノロジーに頼りすぎるあまり、かえって眠れなくなってしまう人も増えているのをご存じでしょうか?

「もっと良い睡眠を取らなければ」というプレッシャーが、逆に心を緊張させ、眠りを妨げてしまう――。

この記事では、そんな新しい睡眠障害「オルソムニア」と、その原因や対策について詳しくご紹介します。


メンタルコーチしもん
・コーチ/講師/作家
・29年間の不眠症を克服
・5年間の双極性障害を克服
・38歳から運動を開始|マラソン完走&800m優勝
・41歳でレッグプレス137kg達成(体重50kg)
・相談実績1,000件超 ・書籍4冊出版(読者2,000人超)
「自分を再設計し、人生を立て直した体験と知識」を伝えています。
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オルソムニアとは?

「オルソムニア(Orthosomnia)」は「睡眠計測を意識して、正しい睡眠を求めすぎるあまり、逆に眠れなくなる状態」のことです。
この言葉は、ギリシャ語の「ortho(正しい)」とラテン語の「somnia(睡眠)」を組み合わせた造語です。アメリカの睡眠研究者たちが2017年に初めて報告した新しい概念です。

最近では、スマートウォッチや睡眠トラッカーといったデバイスで睡眠を計測する人が増えています。これらの便利なツールは、自分の睡眠の質を「見える化」する役割を果たしていますが、そのデータに過剰に執着することで「もっと深い睡眠を取らなければ」「もっと理想的な睡眠時間を確保しなければ」とプレッシャーを感じる人も増えています。
結果として、入眠困難や夜中に目が覚める中途覚醒が増え、実際の睡眠の質が低下してしまうという、逆説的な現象が起こるのです。

2024年の523名を対象にした横断調査では、睡眠トラッカーを使用している人の中で3~14%がオルソムニア症状がありました。また、オルソムニアの人は不眠症状がより重度でした。

オルソムニアの5つの症状

オルソムニアの症状は、以下のような特徴を持っています。

1. 睡眠トラッカーのデータに過敏に反応し、不安を感じる

スマートウォッチやアプリが示す「睡眠スコア」や「深い睡眠時間」に異常なまでに執着し、少しでも理想値から外れると強い不安を覚えます。デバイスが「良く眠れていない」と表示すると、実際にその夜の睡眠が悪かったと感じてします。

2. 睡眠時間や深い睡眠の時間に執着する

「最低でも7時間寝ないといけない」「深い睡眠が2時間以上ないとダメ」といった固執があり、データがその基準に達しないと落ち込みます。この執着が強くなると、日中の活動にも支障をきたすことがあります。

3. 「もっと良い睡眠をとらなければ」というプレッシャーでかえって眠れない

デバイスの数値改善を目的に、入眠前の儀式や習慣が増え、それがかえってストレスとなります。
「完璧な睡眠」を目指すあまり、ベッドに入った瞬間から緊張感が高まり、入眠困難や中途覚醒が発生します。

4. 実際には眠れているのに「眠れていない」と思い込む

朝起きた時に身体は元気でも、デバイスの「睡眠スコア」が低いと、「やはり眠れていない」と自己暗示にかかってしまいます。実際の体感よりも、デバイスの評価を優先するため、睡眠感覚がゆがんでしまいます。

5. 睡眠に対する強迫観念が強くなる

「もっと良い睡眠をとらなければ」と強く思いすぎることで、リラックスできない状態が続きます。データを意識するあまり、自然な睡眠が難しくなり、ストレスが増大します。


オルソムニアの3つの原因

1. テクノロジーの普及

近年、スマートウォッチや睡眠トラッカー、睡眠管理アプリなどが普及し、手軽に「睡眠データ」を可視化できるようになりました。
これにより、自分の睡眠パターンを客観的に知ることが可能になった一方で、過剰なデータ依存が問題となっています。

  1. データ信仰
    デバイスが記録する「睡眠スコア」や「深い睡眠の割合」などを信頼しすぎ、実際の体感よりも数値を優先してしまいます。たとえば、朝起きた時に元気でも、デバイスが「睡眠の質が低い」と表示すると、「やっぱり眠れていない」と不安を感じます。
  2. 不安の連鎖
    「昨日は深い睡眠が少なかった」「入眠まで30分かかった」といったデータが気になり、次の日以降も「また眠れなかったらどうしよう」と不安を抱えるようになります。この不安が原因で交感神経が活発になり、リラックスできず、さらに睡眠が浅くなるという悪循環が生まれます。

テクノロジーが「睡眠管理」をサポートする反面、「完璧さ」を求めすぎることで睡眠の質を逆に低下させるリスクがあるのです。データを「参考」として捉え、実際の体感を重視する意識が重要です。

2. 完璧主義的傾向

オルソムニアは、特に完璧主義者に多く見られます。現代社会では、健康管理に対しても「完璧であるべき」というプレッシャーがかかりがちです。

  1. 自己批判の強化
    「7時間睡眠が理想」といった情報を鵜呑みにし、6時間半しか眠れないと「自分はダメだ」と感じてしまいます。睡眠トラッカーが「不十分」と表示すると、その日のコンディションが悪いと無意識に思い込みます。
  2. 理想の睡眠像への執着
    「深い睡眠が2時間以上必要」「入眠まで10分以内」などの基準を勝手に設定し、これを達成できないと自責感が生まれます。睡眠という自然現象を「コントロールすべきもの」と捉えることで、かえってストレスが増大します。

睡眠に対する「理想」を高く設定しすぎず、実際の体調や気分にフォーカスすることが大切です。日々の変動を「正常な範囲」と捉え、柔軟に受け入れる意識を持ちましょう。


3. 情報過多の現代社会

現代は情報があふれており、SNSや健康記事、YouTubeなどで「理想の睡眠法」が次々と紹介されています。しかし、これがかえって混乱を招く要因になっています。
SNSで「快眠ルーティン」を紹介している投稿を見て、できていない自分に劣等感を抱くことも。

  1. 相反する情報が多い
    「7時間睡眠がベスト」と言われる一方で、「8時間以上は健康に良い」といった異なる情報が存在します。「夜11時までに寝るのが理想」と言われながら、他方で「自分のペースが大事」と主張されるケースもあります。これらの相反する情報をすべて取り入れようとし、睡眠が「義務」になってしまうのです。
  2. 無意識にプレッシャーを感じる
    「短眠法で成功した著名人」の記事を見て、自分もそうでなければならないと感じるケースもあります。

オルソムニアと一般的な不眠症の違い

項目オルソムニア一般的な不眠症
原因睡眠トラッカーやデータへの過度な関心ストレス、生活習慣、疾患など
自覚「眠れていない」と強く思い込む実際に眠れないことが多い
行動睡眠時間を延ばそうと無理をする、日中も睡眠のことを考える対処法として薬などに頼る場合が多い
治療法心理的アプローチが中心投薬+行動療法が主流

オルソムニアの4つの改善方法

1. 睡眠トラッカーとの距離をとる

オルソムニアの根本原因である「睡眠データへの依存」を減らすためには、トラッカーを適切に使う意識が必要です。

  1. 使用を一時的に中止する
    まずは、数日間だけでもトラッカーを外して、自然な睡眠を意識する期間を作りましょう。特に「毎日使わないと不安」という状態になっている場合、段階的に減らすのも効果的です。
  2. データを見ない工夫をする
    睡眠データを表示するアプリの通知をオフにし、朝起きてすぐに確認しないようにします。データを見てしまうことで「眠れていない」という思い込みが強くなるため、確認頻度を減らすことが大切です。
  3. 目的を再確認する:睡眠トラッカーがNGなのではなく、目的を再確認します。「自分の睡眠傾向を知るためのツール」であり、「睡眠を完璧にするための道具」ではないと認識しましょう。
    自分の体調や感覚とデータが一致しないときは、感覚を優先する意識を持つことがポイントです。
    ※ただし、睡眠錯誤問題があるため、睡眠トラッカーは重要です。

睡眠に対する過剰なプレッシャーが減り、自然な入眠が期待できます。データに一喜一憂しなくなることで、日中の気分も安定しやすくなります。


2. 認知行動療法(CBT-I)

不眠症に対する効果的な治療法として注目されているのが、認知行動療法の一種であるCBT-I(Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)です。

  1. 認知の歪みを修正する
    「眠れないと翌日がダメになる」「深い睡眠がないと健康に悪い」といった偏った思考を正します。「少し寝不足でも仕事はできる」「睡眠の質は日によって違って当たり前」と認識を変えることで、不安を軽減します。
  2. 行動療法の実践
    • 睡眠制限療法
      過剰に寝床にいる時間を減らすことで、睡眠効率を上げます。
    • 刺激制御療法
      寝室を「睡眠専用の場所」として使い、布団の中でスマホを見たりしないようにします。
  3. 睡眠日誌をつける
    トラッカーではなく、自分の体感を重視した「睡眠日誌」を使って、「眠れた」「リラックスできた」と感じた点を記録しましょう。数字ではなく、「気持ちが良かったかどうか」に注目することが大切です。

心理的負担が減り、眠れないことへの恐怖が薄れます。睡眠に対する考え方が柔軟になり、リラックスしやすくなります。


3. 「完璧な睡眠」という考えを手放す

睡眠に「完璧さ」を求めると、逆にストレスが増え、入眠困難を引き起こします。

  1. 「睡眠にはバラツキがある」ことを受け入れる
    人間の睡眠は日によって変動するものです。「今日は眠れなかったけど、明日は大丈夫」とポジティブに捉えましょう。
  2. 柔軟な思考を持つ
    「7時間寝ないとダメ」といった固定観念を捨て、自分にとって心地よい睡眠時間を探ります。「睡眠の質が悪かった」と感じた日は、日中に短い休憩を取るなど、無理のない対応を心がけましょう。

睡眠そのものに対するストレスが減り、自然な眠気が訪れやすくなります。自分を責めずにリラックスした気持ちで就寝できるようになります。


4. リラックスできる習慣を取り入れる

オルソムニアはストレスが原因であるため、入眠前のリラックス習慣が非常に有効です。

  1. 入浴
    就寝1〜2時間前に38〜40℃のぬるま湯に浸かると、副交感神経が活性化し、眠気を誘発します。
  2. 読書
    スマホではなく紙の本を読むことで、デジタルデバイスの刺激を避けつつ、リラックスできます。
  3. アロマテラピー
    ラベンダーやカモミールの香りには、リラックス効果があり、入眠をサポートします。
  4. ストレッチやヨガ
    軽いストレッチで身体をほぐし、副交感神経を活発にします。深呼吸を伴うヨガポーズは、心身をリセットするのに効果的です。

入眠前に心と体を整えることで、自然な眠気が生まれやすくなります。睡眠に対するプレッシャーを和らげ、リラックスした状態で眠れるようになります。

不眠症リスクが14%高まる習慣をやめる5つの方法|オルソムニア

最後に

最後にお伝えしたいのは、睡眠は「完璧さ」を求めるものではなく、「心と体を休める時間」であるということです。
最近では、睡眠トラッカーやスマートウォッチといった便利なデバイスで、自分の睡眠の状態を数値で知ることができます。これはとても役立つツールですが、数値にとらわれすぎると、本来の「自然な眠り」の感覚を失ってしまうこともあります。
たとえば、睡眠データを見て「スコアが悪いから眠れていない」と思い込んでしまったり、「もっと良い睡眠をとらなければ」と焦るあまり、かえって眠れなくなることもあるのです。

でも、私たちの体は意外とたくましく、少しくらい睡眠の質が悪い日があっても、次の日に自然にリズムを取り戻す力を持っています。ですから、「今日はあまり眠れなかった」と感じる日も、あまり深刻にとらえず、「明日はきっと大丈夫」と心に余裕を持つことが大切です。

自分の睡眠データや数値だけに頼るのではなく、「今朝の目覚めはどうだったかな?」「昨日よりリラックスできたかな?」といった感覚を大切にしてみてください。
睡眠の質は一日の気分や活動によっても変わります。完璧を目指すのではなく、ゆるやかに、自分の体と心の声に耳を傾けること。これこそが、質の良い睡眠のための大切なステップです。

便利なテクノロジーを上手に活用しつつも、睡眠を「数値で評価するもの」ではなく、「心地よく感じる時間」として向き合ってみましょう。そんな気持ちが、心も体もリラックスさせ、自然な眠りを呼び込むはずです。

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