睡眠に悩んでいる方の中には、長い時間ベッドで横になっているにもかかわらず、十分な休息が取れないと感じている方も多いのではないでしょうか。
そのような方に効果的とされるアプローチの一つが「睡眠制限療法」です。睡眠効率療法と呼ぶこともあります。
この記事では、睡眠制限療法の基本的な概念と、それをどのように実践すれば良いかをわかりやすく解説します。
睡眠制限療法とは?
睡眠制限療法(Sleep Restriction Therapy)は、主に不眠症の治療や改善に用いられる認知行動療法(CBT-I)の一部です。この療法は、睡眠効率を高めることを目的としています。
睡眠効率とは、以下の計算式で求められる指標です:
睡眠効率 = (実際に眠っていた時間 ÷ ベッドにいた総時間)× 100%
理想的な睡眠効率は 85%以上 とされていますが、不眠症の方はこれが70%以下になっている場合が多いです。
睡眠効率とは?理想的な睡眠効率を高める方法と計算方法
なぜ睡眠効率が重要なのか?
睡眠効率が低い状態では、以下のような悪循環が生じることがあります:
- 「眠れない」という焦りが増加
ベッドで過ごす時間が長いほど、眠れないことへの不安が強まります。 - ベッドと「眠れない」の関連付け
脳が「ベッド=眠れない場所」と認識してしまい、入眠しにくくなる可能性があります。 - 睡眠の質の低下
睡眠の浅い時間が増え、結果として疲労が残りやすくなります。
睡眠制限療法の具体的なステップ
①睡眠効率を計算する
睡眠効率=睡眠時間÷ ベッド時間。
WEBで自動計算するページはこちら。
②睡眠効率が80%未満であれば、ベッドにいる時間を減らす
実際の睡眠時間とベッド時間が同じになるように、ベッドに入る時刻を遅らす。
③睡眠効率が85%以上になったら、睡眠時間を15~30分延長する
1週間の睡眠効率が85%以上であれば、就寝時間を15~30分早めて、睡眠時間を増やす。
④自分が望む睡眠時間になるまで、①~③を繰り返します
ある程度、睡眠が整ってきたら、睡眠効率を85~90%ぐらいにおさめていく。
注意点
一時的に睡眠時間が減るため、双極性障害やパニック障害など、症状が悪化しやすい病気の場合は専門家に相談。ストレスが強い場合は、リラックス方法を取り入れる。
以下は実際の睡眠時間別の「ベッドにいる間の覚醒時間」

注意点とメリット
注意点
- 初期段階では睡眠時間が短く感じられるため、日中に眠気を感じる可能性があります。そのため、重要な仕事や予定が少ない期間に始めることをお勧めします。
- 睡眠記録は正確に記録することが鍵です。無意識に「過大評価」や「過小評価」をしてしまうことがあるため、可能であれば睡眠トラッカーの併用も良いでしょう。
メリット
- 睡眠効率が改善されることで、短時間でも深く質の良い睡眠を得られるようになります。
- 不安の軽減:眠れないことへの焦りが減少し、リラックスして眠れるようになります。
- 習慣の見直し:睡眠に関連する日中の行動も見直すきっかけになります。
まとめ
睡眠制限療法は、単なる睡眠時間の確保だけでなく、「いかに効率的に眠るか」に焦点を当てたアプローチです。特に不眠症に悩んでいる方には、日常の習慣を少しずつ改善するための有効な方法といえるでしょう。
まずは、自分の睡眠パターンを記録し、ステップごとに試してみてください。焦らず、少しずつ進めることが成功への鍵です。