忙しい現代人にとって、心も体もリセットする「質の良い睡眠」は欠かせないもの。
しかし、「なかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」など、睡眠に悩みを抱える人は少なくありません。
そんな悩みをやさしく解消してくれるのが「寝る前の睡眠ルーティン」。
本記事では、科学的根拠にもとづいた効果的なルーティンを7つご紹介し、あなたの快眠をサポートします。
睡眠ルーティンとは?
睡眠ルーティンとは、毎晩寝る前に行う決まった行動や習慣のことです。
これを継続することで、脳と身体に「もうすぐ寝る時間だ」とサインを送り、自然とリラックスした状態に導くことができます。
睡眠を尊重する
睡眠が崩れやすい原因に「睡眠を尊重しない考え方」があります。
具体的に言うと、「起きているのスケジュールを考えて、睡眠のためのスケジュールを軽視する考え方」です。特に休むのが苦手な人は「睡眠・休憩・余白のスケジュールをしないこと」が多いです。睡眠を整えるには「就寝と起床時間を決めて、その前に眠気を誘う睡眠ルーティンを作っておく」という睡眠を尊重したスケジュール管理が大切です。
ルーティンそのものにリラックス効果がある
ハーバードビジネススクール2016年研究によると。
行動前のルーティン(儀式的行動)は不安を軽減し、結果的にパフォーマンスを向上させることが明らかになりました。
特に、行動が「儀式」だと信じることが重要です。
【ポイント】
実際には、ルーティンと儀式的行動は別物です。
Routine(ルーティン)は日課、習慣。儀式はRitual(リチュアル)。
ただ、睡眠準備としての睡眠ルーティンは、「習慣であり、儀式」となります。
睡眠ルーティン7つの秘訣
就寝2時間前からスマホやPCを控える
ブルーライトは脳を刺激し、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を抑えてしまいます。
寝る前は画面から離れ、リラックスできる環境を整えましょう。
空気の入れ替えをする
部屋の「空気の入れ替え」すると、簡単に睡眠の質と集中力が高まります。
部屋の中の二酸化炭素曝露が影響を調査した2023年の2件のメタ分析研究では以下の結果がでています。
屋内二酸化炭素曝露が人間の脳活動に与える影響
屋内二酸化炭素への短期曝露と認知課題パフォーマンス
CO2濃度 | 脳や体にどんな影響がある? |
---|---|
1000 ppm未満 | ほとんど影響なし。頭もスッキリしていて集中しやすい状態が保たれます。 |
1000〜1500 ppm | 少しずつ判断力が落ち、集中しづらくなることがあります。ただ、まだ大きな影響は軽いです。 |
1500〜2500 ppm | 考える力がかなり落ちて、ミスが増えやすくなります。睡眠の質が悪くなる可能性もあります。 |
2500〜4000 ppm | 注意力がさらに低下し、眠りが浅くなり、寝つきに時間がかかることがあります。 |
4000 ppm以上 | 脳の働きが大きく乱れ、感情が不安定になったり、体調が悪くなる可能性があります。 |
【睡眠の質が高まる習慣】1日3回。空気の入れ替えを5分間行う。―二酸化炭素濃度が睡眠と脳疲労を改善―
温かいお風呂に入る
就寝の1~2時間前にお風呂に入り、深部体温を高めることで、眠りやすくなります。
就寝の 1~2時間前 に 10分間。40~42.5°Cのお風呂に入ると、入眠時間が短縮、睡眠の質があがるとテキサス大学が2019年の研究で報告しています。
ストレッチやヨガで体をほぐす
軽いストレッチは筋肉をリラックスさせ、副交感神経を活性化させます。
無理のない範囲で、深い呼吸とともに行いましょう。
重要なのは軽いストレッチであることです。
痛気持ちいいレベルまですると、交感神経が刺激され、覚醒につながることもあるので注意。
軽いストレッチ=リラックスではなく、リラックスにつながる適切なストレッチ=リラックスです。ちなみに、私は痛気持ちいいまでしてしまうタイプなので、ストレッチは就寝の1時間以上前には終わらします。
ストレッチよりも、漸進的な筋弛緩法のほうが、多くの人に良いのでは?と思います。
「感謝日記」や「明日以降のやること日記」を書く
寝る前の10〜15分を読書や感謝日記などに使うことで、ポジティブな気持ちで一日を終えることができます。
感謝日記
マンチェスター大学心理学部は2008年研究で、就寝前に感謝の気持ちを抱くことで、睡眠の質や入眠速度が高まると報告しています。
またカリフォルニア大学精神科も2015年研究で、感謝日記は副交感神経を優位にしリラックス効果があると報告しています。睡眠前にはおすすめの日記ですね。
明日以降のやること日記
ベイラー大学は2019年の研究で、明日以降のやることを5分間書いたグループは、すにで終わったこと(通常の日記)と比べて、寝つきがよくなったと報告しています。
部屋を暗くして、静かで、涼しい環境をつくる
間接照明を使ったり、遮光カーテンを閉めるなど、できるだけ暗く静かな空間を整えることが、睡眠の質を高めます。
また、深部体温を下げることで眠りにつきやすくなるため、寝室は涼しくが基本です。おすすめは20~22度。詳しくは寝室の温度の記事をご覧ください。
パジャマ、アイマスク、耳栓など寝具はいつも通りに使う
パジャマを着て、アイマスク・耳栓をして眠るも、就寝直前の睡眠ルーティンとしておすすめです。
睡眠に効果がある行動と知っておくことは重要なので、ご興味があればアイマスク・耳栓の記事をどうぞ。
継続が鍵!自分に合ったルーティンを見つけよう
すべてを一度に始める必要はありません。まずは一つ、気になったものから取り入れてみてください。そして自分に合ったスタイルを見つけ、毎日少しずつ続けることが大切です。
まとめ
毎晩の少しの工夫が、あなたの眠りを驚くほど変えてくれるかもしれません。
寝る前にスマホを手放したり、深呼吸をしながらストレッチをしたり——それはどれも、「明日を軽やかに始める準備」でもあります。
まずは、気になったルーティンをひとつだけでも試してみてください。無理なく続けることが、心地よい睡眠への第一歩です。
あなたにぴったりの“快眠スタイル”が見つかりますように。