僕が1日ベッドで22時間以上過ごしていた理由の1つは、現実逃避でした。
「うつを治したい。うつを治さなければ。うつが治れば楽になるはず!」
双極性障害やうつ症状を治したい想いは強かったと思います。
でも、想いの強さだけ不安とストレスが高まって、病気のことを考えるのが苦痛でした。
結果、現実から逃げることが多かったです。
外に出るのが嫌だ。
カーテンを開けるのが嫌だ。
カーテンを閉め切って、ベッドの中にいると、守られている感覚がありました。
でも、実際には苦痛でしかなく、現実逃避のために睡眠薬を多めに飲んで、寝逃げしようとしたことが多かったです。
それで寝逃げができればいいんですが、意識はぼーっと残ったまま、薬でより体がだるく重くなっていくことのほうがほとんどでした。
この状態は苦痛でもあったんですが、恐怖のほうが強かった記憶があります。
でもその後、セルフコンパッションを通して、「うつを治す。ではなく、今よりも良くなればOK」と考えることで、心も体も少しずつ回復していきました。
実は「うつを治して楽になる」という考え方が僕を苦しめていたんです。
そこには、不安とストレスが高まる間違った目標の3つの考え方が入っていたからです。
偶然ですが、「今よりも良くなればOK」という考えは、この3つを自然と解決していたんです。
では、不安とストレスが高まる間違った目標の考え方とは何なのか?
※「うつ病を治す」は「うつ病の症状がなくなる:寛解」と考えてくださいね。
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野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・YouTube登録1.2万人以上
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
目標の3つの間違った考え方で不安とストレスが高まる
目標を立てる意識がなかったとしても、「うつを治す」という考え方は目標です。
目標を立てると聞くと、少し特別感がありますが、実際には目標は身近な考え方です。
例えば、「コンビニに買い物に行こう」と思えば、「コンビニに買い物に行く」が目標になっています。
このように目標は身近なので、間違った目標の考え方をすると、日常生活の中で不安やストレスが高まりやすくなります。
「目標を立てることは大切!」という言う人はそれなりに多いとは思います。
でもこれは、ある意味正しいですが、ある意味では間違いです。
きちんとした目標の立て方を知らないと、目標は強いマイナスになることがあります。
これが「目標のダークサイド」と呼ばれる部分です。
不安やストレスを高めてしまう間違った目標は次の3つです。
①回避目標
②結果目標
③望まない目標
それぞれの目標の意味と、メンタルを高める目標に変える方法をお伝えします。
回避目標ではなく、獲得目標にする(アプローチ目標)
回避目標とは、 何かを避けるための目標です。
例えば、
「うつ病の苦しさをなくしたい」
「人に嫌われないようにしたい」
「人に迷惑かけないようにしたい」
など、マイナスを避けようとする目標設定です。
回避目標にしてしまうと、不安やストレスが高まることがわかっています。
回避目標は、「今自分はとても苦しい状態」であり「逃げなきゃいけない」と認識してしまうからです。
「今の自分はマイナス」という考えが「自己否定」にもつながってきます。
僕が「うつを治したい」と思っていたのは、 「うつの苦しみをなくしたい」という意味合いだったんですよね。 なので、 これは回避目標になります。
これが「今よりもより良くなっていきたい」と考えることで、「 自分が動ける時間を5分でも増やす、 楽しい時間を5分でも増やす」という獲得目標に変わっていました
つまり、「うつを治したい」と思うのが不安やストレスを高めるのではなく、その言葉の捉え方が回避目標なのか、獲得目標なのかが大切です。
「苦しみから逃げるために、うつ病を治したい」であれば、回避ですよね。
「うつ病を治して、旅行にいきたい」であれば、獲得です。
マイナスを0にしようとするか、0をプラスにしようとするか。
どちらの意識が強いかがポイントです。
メンタルが弱っている場合は、 回避目標を立てやすいと言われています。
なので、 回避目標ではなく、獲得目標に考え方を変えていくだけで、 気持ちが楽になって、前に進みやすくなります。
結果目標ではなく、行動目標にする
目標を考える時は、結果ではなく行動で考えることが大切です。
例えば、「うつ病を治す」というのは結果目標ですよね。
これが、うつ病を治すために「朝散歩を週4回やる」となれば行動目標になります。
行動を考える上では、どんな結果を求める行動なのかを考えることが大切です。
なので実際には「結果目標を行動目標に変える」ではなくて「結果目標だけではなく行動目標も作る」ということです。
僕の場合「うつ病を治す」は目標になっていませんでした。
というのも、当時は「うつ病が治るかどうか分からない状態」だったので、目指す目標が見えていなかったからです。
目標が見えないと、
「今より良くなりたい。 自分が動ける時間を5分でも増やす、 楽しい時間を5分でも増やす」と目標が見えると気持ちが楽になります。
どんな行動をすれば良いかが見えてくるからです。
例えば、朝散歩はうつ病に良いですが、当時の僕は朝散歩でうつ病が治るかどうかを疑っていました。
でも、朝散歩をすれば体力はつくので、「今よりもよくなりたい」という目標は前に進みます
他にも「毎日の食器洗い」「好きな音楽を聴く」「漫画を少し読む」「おいしいと感じるものを食べる」なども、動ける時間や楽しい時間を増やすにつながります。
「うつ病を治す」と考えていたときは、「こんなことしても意味がない。無価値だ」と思っていたものに意味や価値を感じやすくなりました。
そうなると、同じうつ病という状況でも不安やストレスは減り、喜びが少し増えていきます。
他人に望まれる目標ではなく、自分が望む目標にする
僕の場合は自分と向き合うまで、「うつ病を治す」が「自分が望む目標」と勘違いしていました。
そもそも僕はうつ病になる前から人生が苦しかったタイプです。
本当は「うつ病を治すこと」に魅力を感じていなかったんです。
体力もなく、メンタルも弱く、スキルもなく、一般常識もあまり知らない。
職歴も空白期間が5年以上空いている。
そんな状態では、「うつ病が治ったとしても、息苦しくて再発する」と思っていました。
僕にとって「うつ病を治す」は見せかけの目標だったんです。
家族や病院の先生やスタッフに、「うつ病を治すことを望まれている」から、「うつ病を治すことが自分の望み」と思い込んでいたんです。
あまり考えずに生きてきたので、ふわふわしていました。
でも、「今より良くなりたい。 自分が動ける時間を5分でも増やす、 楽しい時間を5分でも増やす」は僕が望むものでした。
言ってみれば今でもこの目標を持ち続けています。
ちなみに僕の人生のコンセプトは「一瞬も一生も充実」です。
「現在を大切にするだけではなく、現在も未来も楽しい時間が増える人生にしていく」が目標ですね。
間違った目標の3つの考え方のまとめ
・回避目標ではなく、獲得目標にする
・結果目標だけではなく、行動目標も立てる
・他人に望まれる目標ではなく、自分が望む目標にする
この3つのポイントを押さえておくと、どんな目標設定法を使ったとしても、より良い目標設定になっていきます。
もともと目標を達成するのが得意な人は、この3つを自然と押さえていることが多いですね。
ここからは、目標設定の仕方についてお伝えします。
おすすめは「SUCCESS-W」という2つの目標設定法を組み合わせたものです。
「モチベーションが長続きする効果」と「目標を達成する可能性」が高くなります。
また、メンタルが弱っている方や目標設定にあまり慣れていない方向けの、目標設定もお伝えします。
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6.SUCCESS-Wは「望む目標の達成率をあげる方法」
7.SUCCESS
①主観的であること
②緊急性があること
③専念すること
④具体的であること
⑤評価すること
⑥共有すること
⑦サポートを作ること
8.W
①願望すること
②結果をイメージすること
③障害を考えること
④障害対策の計画をすること
9.SUCCESS-Wで、あなたの望みを叶える
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