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恐怖を伝えるだけで人は動く?158比較のメタ分析で分かった「対策の有効性」の重要さ

「このままでは危険です」と強く注意されても、何をすればよいのか分からず、そのままになったことはありませんか?

健康診断の案内、防災の呼びかけ、インターネットのセキュリティに関する警告。私たちは毎日のように、危険を伝えるメッセージに触れています。危険の大きさがよく分かる説明と、具体的な対策まで示してくれる説明では、行動したくなる気持ちは同じなのでしょうか。

2022年1月17日、米国の研究者Elisabeth BigsbyとDolores Albarracínは、学術誌『Journal of Communication』で恐怖訴求(fear appeals)と効力感情報についてのメタ分析を発表しました。研究は同年4月発行の第72巻第2号、241〜263ページに掲載されています。

この論文は、84文献に含まれる158の独立した比較、合計19,736人の実験データをまとめたものです。危険を強く知らせるメッセージの効果が、「その対策は役立つ」と伝える情報や「自分にもできる」と伝える情報によって変わるのかを調べています。

結論を先に紹介すると、対策そのものが有効であると明確に伝えた恐怖訴求では、行動意図や行動への影響が大きい傾向がありました。一方、自分に実行できると伝える情報の独立した上乗せ効果は、今回の分析では明確に確認されていません。

何を比べた研究で、どこまで分かったのでしょうか。元論文の方法と数字を見ながら、日常の情報発信にどう活かせるかを整理していきましょう。

恐怖訴求とは?危険を知らせて行動を促す伝え方

恐怖訴求(fear appeal)とは、望ましくない結果や危険を示し、それを避けるための行動を促そうとするメッセージです。「フィアアピール」と呼ばれることもあります。

例えば、喫煙による健康上のリスクを伝えて禁煙を勧めたり、不十分なセキュリティ対策による被害を説明してパスワードの管理を促したりする場面が考えられます。

ここには、少なくとも二つの情報が登場します。

  • 危険の情報: どのような問題が起こり得るのか、なぜ対策が必要なのか。
  • 対策の情報: その危険を避けるには何を行い、どんな理由で役立つのか。

「危険です」という情報だけを強く伝えても、受け取った人が対策を思いつかなかったり、対策が有効だと信じられなかったりすることがあります。

今回の研究が深掘りしたのは、後者の対策に関する情報の中身です。

「反応効力感」と「自己効力感」は何が違う?

どちらも「できそうだ」という感覚に関係しますが、見ている対象が違います。

概念 注目すること 例
反応効力感(response efficacy) 推奨されている対策そのものが、危険を減らすのに役立つと思えるか 「この対策を行うと、特定のリスクを減らせる」
自己効力感(self-efficacy) 自分自身がその対策を実行できると思えるか 「手順が分かれば、自分にも実行できそうだ」

例えば、災害対策として家具を固定する場面を考えてみてください。

「家具の固定は転倒による被害を減らすための対策になる」という説明は、対策の有効性について述べています。一方、「固定器具を用意して取り付ける手順は、こうなっています」という説明は、実行する人の能力や実行可能性を支える情報です。

この二つは組み合わせられますが、理論的にも実際のメッセージづくりでも、区別する意味があります。

この研究での「情報」は、本人の気持ちそのものではない

論文が主に分類したのは、受け手の心の中にある効力感ではなく、メッセージに効力感についての情報が含まれているかどうかです。

例えば、実際には自信がある人でも、読んだメッセージに自己効力感を強める説明が載っていない場合があります。反対に「あなたにもできる」と書かれていても、全員の自信が高まったとは限りません。

研究で扱う「情報の提示」と「受け手が感じた効力感」は、分けて理解する必要があります。

なぜ効力感が重要だと考えられてきたのか?

恐怖訴求の研究には、危険を感じた後の反応を説明する理論があります。代表的なのが、防護動機理論(Protection Motivation Theory:PMT)と、拡張並行過程モデル(Extended Parallel Process Model:EPPM)です。

これらの理論では、人が脅威を認識したとき、その深刻さだけでなく、どうすれば対処できるかという見通しが行動への反応を左右すると考えます。

強い危険を感じても「何をしても無駄だ」と思ってしまえば、対策に向かうよりも、情報から目をそらしたり、自分には関係ないと考えたりする可能性があります。

これまでの理論では、反応効力感と自己効力感の両方を重視してきました。しかし、実際の実験をまとめたとき、二つの情報がそれぞれどれほど役立つのかは十分に切り分けられていませんでした。今回の論文は、その点を検証しています。

どんな研究を集めたのか?84文献・158比較・19,736人

研究者たちは、過去の恐怖訴求メタ分析で収集された研究を出発点に、Communication Source、PsycINFO、MEDLINEなどのデータベースを調べました。検索対象は2019年9月までに利用できた文献です。

候補となった821文献から、次の条件に合う研究を選びました。

  1. 恐怖を喚起するメッセージを提示する実験である。
  2. メッセージなし、恐怖を訴えないメッセージ、または恐怖が弱いメッセージとの比較がある。
  3. 行動意図または実際の行動が測定されている。
  4. 反応効力感・自己効力感に関する情報の有無や方向を判別できる。
  5. 効果量を計算するための統計情報がある。

その結果、84文献、158の独立比較、参加者19,736人が主分析に入りました。

項目 研究の内容
検索期限 2019年9月まで
候補文献 821件
採用文献 84件
独立した比較 158件
参加者合計 19,736人
主な研究分野 健康に関するメッセージが約80%
測定結果 行動意図、実際の行動、または両方

多くの研究は健康に関するもので、喫煙、感染症、がん、歯の衛生、飲酒などが含まれます。環境や安全、その他のテーマもありましたが、その数は健康分野ほど多くありません。

「158研究」ではなく「158の比較」

同じ文献の中に、複数の独立したグループ比較が入っている場合があります。そのため論文の k=158 は、厳密には158の独立比較を意味します。参加者数 N=19,736 は、それらに含まれる人の合計です。

また、研究によって測定した結果も異なります。「今後実行したい」という意図を測る研究もあれば、実際に行動したかを見る研究もありました。両方を測った19比較では、それぞれの効果量を平均して一つの値にまとめています。

結果1:恐怖訴求には全体として小さめの正の効果があった

恐怖を訴えるメッセージを、恐怖の弱いメッセージやメッセージなしの条件と比較すると、全体としてコーエンの d=0.31 という結果でした。

d は、比較した二つのグループにどれほど違いがあるかを、標準化して表した効果量です。値が正なら、今回の場合は、恐怖訴求を受けたグループのほうが、推奨された行動に沿う結果を示したことを意味します。

研究間のばらつきを表す指標は I²=22.94% でした。分析では、実験間にある程度の違いがあることも確認されています。

ここでの d=0.31は、行動した人の割合が31%増えた、という数字ではありません。また、行動意図と行動を一つの結果として統合しているため、すべての場面で実際の行動が同じ程度増えたという意味でもありません。

結果2:「その対策は有効」と伝える情報が、説得効果の強さと関係した

今回の中心的な結果が、肯定的な反応効力感情報についての分析です。

研究では、効果を示す説明が含まれた恐怖訴求と、反応効力感について何も説明していない恐怖訴求を比べました。主分析の調整済み平均効果量は次のとおりです。

メッセージに含まれる情報 独立比較数 調整済み平均効果量 d
対策の有効性を肯定的に伝える 81 0.35
反応効力感の情報がない 60 0.18

この比較を含むメタ回帰では、肯定的な反応効力感情報の係数が b=0.49、95%信頼区間[0.27, 0.71] となり、統計的に明確な正の関連が見られました。

二つの d は、メッセージ内容や研究テーマを調整した平均値です。一方の b は、他の変数を含めて推定したメタ回帰係数なので、単純に 0.35−0.18=0.17 と同じ数字になるわけではありません。

解釈の中心は、危険を強調するだけでなく、提示した対策が役立つと伝えているかどうかが、説得効果を左右する重要な要素だったということです。

結果3:「自分にもできる」という情報の追加効果は明確ではなかった

次に、肯定的な自己効力感情報です。

例えば「手順は簡単です」「自分にも実行できます」と伝えたり、実行のための技能や手順を紹介したりする情報が含まれます。

主分析の調整済み平均効果量は、次のようになりました。

自己効力感についての情報 独立比較数 調整済み平均効果量 d
肯定的な情報がある 44 0.29
情報がない 104 0.31

肯定的な自己効力感情報のメタ回帰係数は b=0.11、95%信頼区間[−0.29, 0.50] でした。信頼区間がゼロをまたいでおり、今回の分析では明確な上乗せ効果を確認できませんでした。

ただし、「自信や実行手順は役に立たない」と証明されたわけではありません。この研究では、自己効力感の情報だけを独立して操作した実験がほとんどなく、二種類の効力感情報の影響を完全には切り分けられなかったためです。

結果4:反応効力感と自己効力感を両方入れても、さらに大きな効果とは限らなかった

従来の理論では、対策の有効性と自分の実行能力の両方を伝えることが有効だと考えられていました。

今回の主分析では、二つの肯定的な情報を組み合わせることによる追加の相互作用は、b=0.21、95%信頼区間[−0.02, 0.42] で、統計的に明確とはいえませんでした。

さらに研究者たちは、メッセージ中の効力感情報を実際に操作して比較した実験だけを選び、追加分析を行っています。

この追加分析には、15文献に含まれる19比較・2,166人が含まれました。

恐怖訴求で変えた情報 独立比較数 参加者 効力感情報を増やした効果量 d
反応効力感の情報 6 340人 0.73
反応効力感+自己効力感の情報 13 1,826人 0.81

どちらも、効力感情報の少ない恐怖訴求と比較して正の効果を示しました。しかし、0.73と0.81の差は統計的に明確ではなく、群間差の検定は p=0.82 でした。

主分析とこの追加分析では、比べている対象が違います。主分析の d=0.31は「恐怖訴求と弱い恐怖訴求・非恐怖訴求などの比較」です。一方、追加分析の d=0.73や0.81は「恐怖訴求の中で、効力感情報を増減させた比較」です。数字の大小だけで二つを比べることはできません。

結果5:「その対策は効かない」という否定的な情報はどうだった?

研究者たちは、効力感について次の三つの情報状態を分けていました。

  1. 肯定的: 対策は有効だ、自分にも実行できるという方向の説明。
  2. 情報なし: 有効性や実行能力について説明していない状態。
  3. 否定的: 対策は効きにくい、実行は難しいという方向の説明。

否定的な反応効力感情報が含まれる比較は17件、否定的な自己効力感情報が含まれる比較は10件でした。これらのメタ回帰係数は統計的に明確なものではありませんでした。

著者たちは、否定的な情報を使う実験の数が少ないことにも触れています。そのため、否定的な説明を入れた場合にどうなるかについて、今回のデータから強い結論を出すのは難しい状況です。

結果6:出版バイアスの検討では、結果を大きく変える補正は見られなかった

メタ分析では、効果がはっきり出た研究ほど発表されやすい可能性も考える必要があります。著者たちは、ファンネルプロット、非対称性の検定、重みづけ関数モデルなどで出版・選択の偏りを検討しました。

ファンネルプロットの非対称性を調べる検定では、明確な証拠は見られませんでした。一方、重みづけ関数モデルの一部の設定では、偏りがある可能性を示す結果もありました。

ただし、同モデルで検討した全体効果量は、未補正の d=0.25に対して補正後 d=0.24〜0.25で、大きく変化しませんでした。

ここでいう d=0.25は出版バイアスを検討した別のモデルの推定値です。主分析の d=0.31と計算の枠組みが異なるため、同じモデルの補正前後として並べる数字ではありません。

この研究のメリット:危険を知らせる文章の「何が重要か」を分けて考えられる

このメタ分析の意義は、単に恐怖訴求が効果的かどうかを調べただけではないことです。

一つ目のメリットは、効力感情報を二種類に分けたこと。「対策は効く」と「自分にもできる」は似ていても、異なる情報です。どちらを伝えるかを区別することで、メッセージづくりの検討点が明確になります。

二つ目は、肯定的・否定的・情報なしを区別したこと。 説明がないことと、対策を否定することを同じ条件にまとめずに分析しています。

三つ目は、実験による追加分析を設けたこと。 主分析だけでなく、効力感情報を操作した研究に絞って、より直接的な比較を試みています。

どの点も、危険を知らせる文章や広告、啓発資料を見直すときの手掛かりになります。

恐怖訴求のデメリットと、伝えるときに難しい点

恐怖訴求には、注意を引きやすい一方で、慎重に扱いたい側面があります。

恐怖が強すぎると、受け手に負担をかける可能性がある

危険の情報が受け手の心配を必要以上に強めれば、内容を避けたり、読むのをやめたりすることも考えられます。メッセージの強さと、受け手に必要な情報の量を混同しないことが大切です。

対策の効果を過大に表現しやすい

「これさえすれば絶対安全」と書けば、対策が有効だと伝わりやすく見えるかもしれません。しかし、その主張に根拠がなければ、受け手の判断を誤らせてしまいます。

今回の研究で重要だったのは、対策の有効性を知らせる情報であって、根拠のない断言ではありません。

実行しにくい人の事情が見落とされる

時間、費用、身体的な条件、地域の事情などにより、同じ対策を簡単に実行できない人もいます。「誰でもすぐできる」と一律に伝えるより、必要な支援や代替手段も考えたほうが実用的な場合があります。

行動を促すメッセージを作る7つの方法

ここからは、論文が示した知見をもとに考えられる実務上の応用例です。以下の7つの方法を一つずつ比較した実験結果ではありません。

1. まず、避けたい危険を具体的にする

「気をつけましょう」だけでは、何に対処する必要があるのか曖昧です。何が起こる可能性があり、誰に関係するのかを、確認できる情報で示します。

2. 危険を伝えたら、必ず推奨する行動を示す

警告の直後に、「だから、次に何をすればよいか」が分かる流れを作ります。読む人が自分で解決策を探し直す必要を減らすための工夫です。

3. なぜその対策が役立つのかを説明する

今回の研究から最も直接的に導けるポイントです。「行ってください」と呼びかけるだけでなく、その行動が危険の低減につながる根拠や仕組みを示します。

4. 根拠は、受け手が確認できる形で示す

統計、ガイドライン、専門機関の説明など、テーマに合った情報源を使います。証拠が限定的な場合には、その範囲も正確に伝えます。

5. 行動の手順や必要な準備を整理する

「自分にもできる」という情報の上乗せ効果は今回明確ではありませんでしたが、実際に行動へ移るためには、手順や準備が必要な場面があります。これは今回の統計的結論とは別の、実務上の配慮です。

6. 受け手に選べる具体的な行動を用意する

同じ対策でも、生活や環境によって実行しやすさは異なります。必要なら優先順位や別の方法を示し、現実に選べる案にします。

7. 「読まれたか」だけでなく「どう行動したか」を確認する

メッセージへの好感度、行動したい気持ち、実際に行動したことは異なる指標です。広報や啓発活動では、何を成果として測りたいのかを先に決めておくと、改善しやすくなります。

伝え方の具体例:防災のお知らせを見直した自治会

以下は研究内容を理解するための架空のストーリーです。元論文に掲載された参加者の体験談ではありません。

ある地域の自治会では、地震への備えを呼びかけるお知らせを毎年配っていました。

最初のお知らせの見出しは「大地震に備えないと危険です」。紙面には被害の大きさが詳しく載っていました。担当者は、読んだ人に危機感を持ってもらえれば、家庭で対策してくれると考えていました。

ところが、住民からは「危ないのは分かるけれど、何から始めればよいか分からない」という声が寄せられます。

そこで担当者は、次のお知らせを見直しました。

まず、家庭内で注意したい危険を説明します。次に、家具の固定や避難経路の確認など、推奨する対策を示しました。そして、それぞれが何を防ぐための備えなのかを、信頼できる公的な情報に基づいて書き加えました。

最後に、準備するものと確認先を一つの表に整理しました。

住民の一人は「何をすべきかが前より分かりやすくなった」と話しました。ただし、その反応だけで、地域全体の備えが改善したかどうかはまだ分かりません。自治会は次に、実際にどの対策が行われたのかを確認することにしました。

この話で注目したいのは、単に危険の説明を強めるのではなく、対策が何に役立つのかを結びつけたことです。

※このストーリーは説明用の創作です。ここで描いた住民の反応や自治会の行動は、元論文の研究結果ではありません。

論文を読むときの5つの注意点

1. 健康関連の実験が約80%を占める

収集されたメッセージの大部分は健康分野です。防災、金融、製品広告など、別の分野で同じ大きさの効果が出るとは限りません。

2. 行動意図と実際の行動を統合している

主分析では、実際に行動したかを測った研究と、行動したい気持ちを測った研究が一緒に扱われています。そのため、結果をすべて実行率の変化と読むことはできません。

3. 自己効力感の情報だけを操作した研究がほとんどない

84文献の中で、自己効力感情報と反応効力感情報を独立に操作し、行動意図または行動を測った研究は1文献のみでした。自己効力感の独立した効果については、今後の検証が必要です。

4. 主分析のメッセージ分類には、研究間の違いも含まれる

主分析では、研究者が各実験のメッセージを分類し、その特徴と効果量との関連を調べています。すべての研究が効力感情報だけを変えて比較したわけではありません。他のメッセージの特徴が関係している可能性も残ります。

5. 恐怖の感じ方や元々の知識には個人差がある

同じ文章でも、本人がもともと危険をどれほど知っているか、どれほど対処できると感じているかで受け止め方は変わり得ます。論文も、こうした個人差やメッセージの強度について追加研究を求めています。

よくある質問

Q. 恐怖を感じさせれば、行動してもらえるのでしょうか?

今回のメタ分析では、恐怖訴求の全体効果は正でした。ただし、平均効果量は d=0.31で、メッセージの中身によって違いも見られました。恐怖の強さだけで成果を判断するのは適切ではありません。

Q. 「対策は役立つ」と「あなたにもできる」のどちらが大切ですか?

今回の主分析で、効果の大きさとの明確な関係が確認されたのは、肯定的な反応効力感情報でした。一方、自己効力感情報については、独立した操作研究が少ないため、不要だと結論することもできません。

Q. 対策の説明は長いほど効果的ですか?

この論文は文章量の長短を直接比較した研究ではありません。重視したのは、対策の有効性や実行可能性について、どの種類の情報が含まれているかです。

Q. 商品の広告にも使えるのでしょうか?

「どの問題を解決する商品で、どう役立つのか」を明確にする発想は応用できます。ただし、対象研究の大半は健康に関する危険を扱っており、商品の売上や購入率への効果を示した論文ではありません。

まとめ:危険を伝えるなら、対策が役立つ理由も一緒に伝える

BigsbyとAlbarracínによる2022年のメタ分析では、84文献・158比較・19,736人の実験データが検討されました。

恐怖を訴えるメッセージには、全体として d=0.31の正の効果がありました。そのうえで、推奨する行動が有効であるという説明を含む場合に、行動意図や行動への影響が大きいという結果が示されました。

一方、自分にもできると伝える情報の追加効果は、今回の分析では明確ではありませんでした。また、二種類の効力感情報を両方盛り込むことによる上乗せも、統計的に確認されませんでした。

仕事でも日常でも、危険を知らせる情報を作るときには、まず次の問いを考えてみるとよいかもしれません。

「相手に危険を分かってもらうだけでなく、その対策がなぜ役立つのかまで伝えられているだろうか?」

恐怖の大きさだけでなく、行動に意味を感じられるかどうか。そこが、この研究から考えられる重要なポイントです。

参考文献・出典

※効果量と統計的な結果は元論文の表2・表3および本文に基づいています。実務上の方法と創作事例は、研究結果そのものではなく、理解と応用を助けるための説明です。