瞑想の実践と瞑想に基づく療法における有害事象:系統的レビュー
瞑想はストレス軽減や心の健康に役立つとされ、多くの人が取り入れています。
しかし、瞑想によって心や体に悪影響が出るケースもあることが分かってきました。本記事では、瞑想による有害事象(MAE)を調査した国際的な研究レビューをもとに、そのリスクと背景を分かりやすく解説します。
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結論
瞑想は有益な面が多くありますが、8.3%の割合で不安、うつ、認知異常などの有害事象が報告されています。精神疾患の既往がない人にも発生しうることから、安全性への配慮と適切な情報提供が求められます。
内容の信頼性:9/10点
本研究は、45年分の国際的な研究(6,742件から選別)を対象とした系統的レビューであり、信頼性が非常に高いです。ただし、有害事象の報告が不十分な研究も含まれており、今後の検証が必要です。
何の研究か?
瞑想の実践や瞑想に基づく治療法に関連する「有害事象(MAE)」の発生率やその内容を、科学的に網羅的に調査した世界初のシステマティックレビューです。
研究した理由は?
瞑想が心身に良い効果をもたらすという報告が多くある一方で、「瞑想によって体調や精神状態が悪化した」とする報告も徐々に出てきたため、その全体像を明らかにする必要がありました。
結果はどうだったか?
有害事象の発生率
- 全体の有害事象発生率は8.3%(95%信頼区間 5%~12%)で、心理療法全般と同程度の水準です。
- ただし、研究の種類によって大きく異なりました:
- 実験研究(主に対照群ありの研究):3.7%
- 観察研究(自己報告やアンケートなど):33.2%
これは、より自由な状況下で瞑想を行った場合に、有害事象の報告が増えることを示しています。
主な有害事象の内容
83件の研究中、55件(65%)で何らかの有害事象(MAE)が報告されており、主に以下のような症状が見られました:
- 不安(33%)
瞑想中にかえって不安感が増す例が多数あり、心拍数の上昇やパニックに近い状態を訴えるケースも含まれます。 - うつ(27%)
気分の落ち込みや、抑うつ状態への悪化が報告されています。一部では自殺念慮につながったケースもあります。 - 認知異常(25%)
時間感覚や記憶、注意力に異常を感じたという報告で、「混乱」や「知覚過敏」、「偽りの記憶」などが含まれます。
稀だが深刻な有害事象
少数ですが、以下のような重大な精神的・神経的な症状が記録されています:
- 自殺念慮・自殺未遂(6件、11%)
- 幻聴・幻視:宗教体験との区別が難しいが、現実検討力を失うレベルの体験もあり
- 解離状態や離人感:「自分の体ではない感じ」「現実感の喪失」など
精神疾患の既往がない人への影響
- 有害事象を経験した人のうち、**過去に精神疾患の診断がなかった人が過半数(約55%)**を占めており、「健常者でもリスクがある」ことが示されました。
- 特に、長時間の瞑想リトリートに参加した人(約42%)に有害事象が集中している傾向が見られました。これは、沈黙を守る環境で内面に深く入り込みすぎたことが影響している可能性があります。
このように、瞑想にはポジティブな効果だけでなく、精神的・身体的なリスクも存在します。今後は、誰にどのような影響が起きやすいのかを明らかにする研究が求められます。
瞑想を安全に取り入れたい方には、ガイド付きの実践や医療・心理専門家との相談がおすすめです。