骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)は、骨盤の底にハンモックのように広がる筋肉群です。
膀胱、直腸、生殖器などの骨盤内臓器を支え、排尿・排便のコントロール、腹圧調整、体幹安定などに関わります。
「締める筋肉」というイメージが強いですが、実際には収縮するだけでなく、必要に応じて緩むことも重要です。
この記事では、骨盤底筋群の場所、役割、呼吸との関係、弱くなった場合や緊張しすぎた場合に起こりやすいこと、鍛え方、セルフケアまで詳しく解説します。
骨盤底筋群とは?
骨盤底筋群は、骨盤の底を構成する複数の筋肉の総称です。
代表的には、
- 肛門挙筋群
- 尾骨筋
- 会陰部の筋群
などが含まれます。
肛門挙筋群には、恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋などがあります。
骨盤底筋群はどこにある?
骨盤底筋群は、
- 恥骨
- 尾骨
- 左右の坐骨
の間に広がっています。
骨盤の下側を覆い、内臓を下から支える位置にあります。
体表から直接見える筋肉ではありません。
骨盤底筋群の主な役割
1. 骨盤内臓器を支える
膀胱、直腸などを下から支持します。
2. 排尿・排便をコントロールする
尿道や肛門周囲の筋肉と協調し、尿や便を保持したり排出したりする働きに関係します。
3. 腹圧を調整する
4. 体幹を安定させる
腹圧の一部として体幹安定に関係します。
5. 性機能に関与する
骨盤底筋群は性機能にも関係します。
骨盤底筋群と横隔膜の関係
呼吸では横隔膜と骨盤底筋群が協調します。
一般に、
- 息を吸うと横隔膜が下がる
- 骨盤底筋群もわずかに下方へ動く
- 息を吐くと横隔膜が上がる
- 骨盤底筋群も戻る
という連動が起こります。
このため、骨盤底筋トレーニングでも呼吸を止めないことが重要です。
骨盤底筋群が弱くなると起こりやすいこと
骨盤底筋群の機能低下は、次のような症状に関係することがあります。
- 咳やくしゃみで尿が漏れる
- 急な尿意を我慢しにくい
- 骨盤内臓器の下垂感
- 体幹の安定感が低い
ただし、これらの症状にはさまざまな原因があります。
「骨盤底筋が弱い」と自己判断するだけでは不十分です。
骨盤底筋群が緊張しすぎる場合
骨盤底筋は弱いだけでなく、過剰に緊張している場合もあります。
緊張が強いと、
- 骨盤周囲の痛み
- 排尿しにくい
- 排便しにくい
- 性交時の痛み
- 常に力が入っている感じ
などがみられることがあります。
そのため、「とにかく締めればよい」という考え方は適切ではありません。
骨盤底筋群の鍛え方
基本的な収縮練習
排尿を途中で止めるような筋肉をイメージして、骨盤底を軽く持ち上げるように収縮させます。
ただし、実際の排尿中に何度も止めるトレーニングを行うことは勧められません。
呼吸と組み合わせる
- 楽な姿勢になる
- 息を吸って骨盤底を緩める
- 息を吐きながら軽く骨盤底を引き上げる
- 力を抜いて元に戻す
強く締め続ける必要はありません。
仰向けで練習する
仰向けで膝を曲げると、余計な力を抜きやすくなります。
骨盤底筋群を鍛えるときの注意点
お尻や内ももに力を入れすぎない
骨盤底筋を意識しようとして、臀筋や内転筋だけを強く締めないようにします。
息を止めない
呼吸を止めると腹圧が過剰に高まりやすくなります。
力を抜く練習も行う
収縮したあとにしっかり緩めることも重要です。
痛みがある場合は自己流で強化しない
骨盤痛、排尿・排便障害などがある場合は、締めるトレーニングが適さないことがあります。
骨盤底筋群と妊娠・出産
妊娠や出産では骨盤底筋群に大きな負担がかかります。
産後の尿漏れなどに骨盤底筋トレーニングが使われることがありますが、状態には個人差があります。
痛みや臓器脱感がある場合は、産婦人科や骨盤底リハビリテーションに詳しい専門家へ相談することが重要です。
骨盤底筋群と男性
骨盤底筋群は女性だけの筋肉ではありません。
男性でも、
- 排尿機能
- 排便機能
- 性機能
- 骨盤内臓器の支持
などに関係します。
前立腺手術後などに骨盤底筋トレーニングが用いられる場合があります。
骨盤底筋群のセルフケア
1. 呼吸を整える
常に骨盤底を締めるのではなく、吸気で緩み、呼気で軽く戻る感覚を意識します。
2. 長時間同じ姿勢を避ける
座りっぱなしでは骨盤周囲が緊張しやすくなります。
3. 便秘対策を行う
強くいきむ習慣は骨盤底へ負担をかけます。
医療機関へ相談した方がよい症状
- 尿漏れが続く
- 排尿しにくい
- 排便しにくい
- 骨盤周囲の痛み
- 膣や肛門周囲の下垂感
- 血尿・血便
- 急な排尿障害
こうした場合は筋トレだけで対処しないことが重要です。
骨盤底筋群について覚えておきたいポイント
- 骨盤底筋群は骨盤の底にある筋肉群
- 内臓を支える
- 排尿・排便のコントロールに関係する
- 横隔膜や腹筋群と協調する
- 弱さだけでなく過緊張も問題になる
- 締めるだけでなく緩めることも重要
- 男女ともに存在する
- 痛みや排尿障害は自己流トレーニングだけで対応しない
まとめ
骨盤底筋群は、骨盤内臓器を支え、排尿・排便、腹圧調整、体幹安定などに関係する重要な筋肉群です。
トレーニングでは、強く締め続けるのではなく、呼吸に合わせて軽く収縮し、しっかり緩めることが重要です。
尿漏れ、骨盤痛、排尿・排便障害などが続く場合は、単純な筋力不足と決めつけず、医療機関や骨盤底リハビリテーションに詳しい専門家へ相談することが大切です。

