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ラベンダーは本当に効く?脳と神経に与える科学的効果を徹底解説|2013年調査

ラベンダーといえば、心地よい香りとリラックス効果が思い浮かびますが、実はその効能は香り以上の可能性を秘めています。古くから民間療法や伝統医学の中で、鎮静、不安の緩和、痛みの軽減、さらにはけいれんの抑制など、神経・精神に対する作用が語られてきました。

今回ご紹介するのは、2013年に発表されたPeir Hossein Koulivandらによる総説論文「Lavender and the Nervous System」です。この論文では、ラベンダー精油およびその主成分(リナロール、酢酸リナリルなど)が、神経系にどのような影響を与えるのかについて、動物実験および人間の臨床試験のデータを基に詳細に検討されています。

この記事では、この総説論文の内容をもとに、「ラベンダーが本当に神経系に効くのか?」という疑問に対して、科学的な視点からわかりやすく解説します。

参考:イラン神経科学センター「ラベンダーと神経系」の調査
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】

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結論

ラベンダー精油(およびその主要成分リナロール/酢酸リナリル)は、抗不安作用、鎮静作用、鎮痛作用、けいれん抑制作用、神経保護作用などを示す可能性が示唆されており、人に対する予備的な臨床試験もあるものの、まだ証拠の質には限界があります。
今後、より大規模で方法論的に厳密な研究が必要です。

内容の信頼性:10点満点で点数化

6.5/10点

評点の理由

  • 長所:動物実験やヒト試験を幅広くレビューしており、多くの知見を集めている。
  • 短所:多くの研究はサンプル数が小さい、対照群が不十分、投与方法が一定でない、プラセボ対照の欠如などの方法論上の問題があると著者自身が指摘している。
  • 総説なので最新研究(2013年以降)の動向は含まれない。また、「効果あり」の傾向をまとめる一方で、各研究のバラツキを調整できていない面もある。

何の研究か?

この論文は、ラベンダー精油およびその主成分が、神経系(中枢神経・末梢神経・神経伝達系)に及ぼす作用を、動物実験およびヒト研究の文献を横断的にまとめた「総説(レビュー)」です。
特に、ラベンダーが不安、うつ、睡眠、けいれん、痛み、認知機能、神経保護など多岐の神経/精神的領域にどのように関与しうるかを整理しています。

研究した理由は?

  • 伝統医学・民間療法の文献では、ラベンダーがリラクゼーション、不安軽減、抗けいれん、鎮痛などに古くから利用されてきた。
  • しかし、伝統的な利用は「経験則」に基づくものであり、近代的な科学的根拠が十分に整理されていなかったため、動物実験・ヒト試験を含む知見をまとめ、「神経系に対する効果」を現代的視点で整理する必要があった。
  • 精油が神経伝達系、受容体、酸化ストレス、神経細胞保護など複数のメカニズムを通じて作用しうる可能性があるため、それらを俯瞰的に検討する意義があると考えられた。

結果はどうだったか?

以下に主要な知見を、分かりやすく整理します。

動物実験での知見

ラベンダーまたはその成分は、多くの動物モデルで以下のような効果を示しました(ただし、実験条件・濃度・投与法によって差異あり):

効果主な観察例・モデル備考
抗不安作用高架式プラス迷路試験、強制水泳試験、Geller葛藤試験、Vogel葛藤試験などで不安行動が抑制された例あり ラベンダー精油だけでなく、リナロール単独でも同様の傾向が見られた研究あり
鎮静作用 / 運動活動抑制マウスを暗所においてラベンダー香気曝露 → 運動低下(抑制傾向) 香り曝露時間が長いほどリナロールの血漿濃度が上昇し、それに比例して運動活動抑制が見られたという報告もある
鎮痛作用カプサイシン誘発性痛覚反応がラベンダーあるいはリナロール投与で軽減 また、経口または吸入によって熱刺激・化学刺激に対する痛覚反応が減弱した例も報告されている
抗けいれん作用ペンチレンテトラゾール誘発性けいれん、電気ショック誘発性けいれんの抑制効果の報告あり リナロール成分もけいれん抑制に寄与する可能性が示されており、その機構として NMDA受容体GABA_A 受容体 との相互作用が提案されている
神経保護作用 / 脳虚血モデルラベンダーオイル投与により、脳梗塞モデルマウスでの梗塞サイズ縮小、神経学的スコア改善などが報告されている また、培養神経細胞(ラット小脳顆粒細胞、SH‑SY5Y細胞など)において、グルタミン酸誘発性神経毒性軽減効果が認められた報告もある

これらの動物実験データから、ラベンダーには神経活動抑制・抗過興奮作用・保護的作用をもつ可能性が支持されます。


ヒト研究での知見

動物実験よりも証拠は限定的ですが、以下のような報告があります:

  1. 不安/うつ/気分改善
     - 混合性不安障害を含む不安症患者 221 人を対象に、1日80 mg のラベンダー精油製剤(Silexan)を投与した臨床試験では、プラセボより優れていたという報告あり
     - 全般性不安障害患者を対象に、ロラゼパム(0.5 mg/日)と比較した研究では、ラベンダーが同等の効果を示したという結果もあるという報告あり
     - 入院患者や透析患者、産後女性、手術前不安など多様な被験者で、ラベンダー香りまたはマッサージ併用により不安軽減・気分改善が報告されている
  2. 脳画像 / 機能的活性
     - 健常な成人女性 10 名にラベンダー香りを与え、PET による脳代謝評価を行ったところ、眼窩前頭皮質、後帯状回、小脳などで代謝変動が観察されたという報告あり
     - fMRI や単一光子放出型脳血流測定(SPECT)、嗅覚刺激法を用いた研究でも、嗅覚皮質、海馬、視床、前頭前野、島皮質などで活性化変化が観察されている報告がある
  3. 脳波(EEG)変化
     - 健康成人 40 名に 10% 希釈ラベンダーを 3 分間吸入させた実験で、α波(8‑13 Hz)が増加し、不安軽減・気分改善が報告されたという報告あり
     - また、20 名の被験者でシータ波(4‑8 Hz)およびアルファ波の増加が、全脳領域で有意に観察されたという報告もある
     - 認知症患者に対してラベンダー香りを投与した研究では、興奮行動の軽減が中程度の効果を示したという報告もある
  4. 睡眠改善
     - 健康な学生、心血管疾患患者、不眠を有する中年女性を対象とした試験で、ラベンダー香り投与がピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)などで改善を示したという報告あり
     - 不安障害患者 221 人にラベンダー精油(80 mg/日)を投与した研究では、睡眠の質・持続時間にも有益影響があったという報告あり
     - ただし、すべての研究で有意差が出たわけではなく、被験者層・基礎不眠の重症度・併用薬の有無などが結果に影響を与えうる点が指摘されている
  5. 痛み緩和・補助的効果
     - 集中治療室患者 100 人にラベンダーを用いたフットマッサージを行ったところ、血圧、心拍数、呼吸数、痛みスコアなどに改善が見られたという報告あり
     - 帝王切開後痛みに対するラベンダー香りやマッサージ使用例、月経痛、会陰切開後痛みに対する試験などでも痛み軽減効果が報告されている例がある
     - ただし、すべての痛み領域で有効と結論づけられるだけの強い証拠とは言えないという慎重意見もある
  6. 認知機能
     - 健常者 144 名を対象にした認知テスト(Cognitive Drug Research バッテリー)では、ラベンダー香り投与により、ワーキングメモリ性能が有意に低下し、記憶・注意の反応時間が遅くなったという報告がある
     - 一方で気分改善や被験者の主観的満足度向上という報告もあり、「気分を高めつつ認知性能に影響を与える可能性」が示唆されている
     - また、認知症患者を対象とした補助的アロマセラピー研究において、個人の方向性(日常的判断など)改善を報告する研究もある

作用機序(提案されているメカニズム)

このレビューおよび関連文献では、ラベンダーがどのように神経系に働くか、いくつかの仮説が提示されています:

  1. NMDA 受容体調節
     - 一部の研究では、ラベンダー精油およびその成分がグルタミン酸作動性の NMDA 受容体に結合し、拮抗的作用を示す可能性があると提案されている
     - これにより過興奮抑制や神経保護、抗けいれん効果が発揮されうると考えられている
  2. セロトニントランスポーター(SERT)阻害
     - 精油あるいはリナロールが、セロトニントランスポーターへの結合能を示す可能性があり、抗うつ様作用や気分安定作用に関与しうるとする報告もある
  3. GABA_A 受容体調節
     - 一部報告では、GABA_A-ベンゾジアゼピン受容体への直接結合作用は検出されなかったという結果もあり、GABA 系を介した作用は限定的または間接的である可能性が示唆されている
  4. 抗酸化作用 / 抗炎症作用
     - 精油またはその成分には、酸化ストレスを軽減する作用が報告されており、神経細胞保護を介する可能性が指摘されている
     - さらに、ラベンダーがリポ多糖誘発性炎症反応を抑制するという実験もあり、神経細胞保護・炎症制御の面で貢献する可能性も示されている
  5. 自律神経系への影響
     - ラベンダーは交感神経活動を抑制し、副交感神経(胃神経など)を刺激するなど、自律神経バランスに作用しうる可能性が提案されている
     - また、香りがヒスタミン作動性反応を介して自律神経を調節し、エネルギー消費や体重・食欲に影響を与える可能性を持つという仮説も挙げられている
  6. 遺伝子発現制御
     - 精油が、c‑fos(神経活動マーカー遺伝子)の発現を視床下部の特定核で減少させたという報告もあり、神経興奮抑制を通じた制御機構の存在を示唆している

安全性・副作用について

  • 短期使用においては比較的安全性が示唆される報告が多い一方で、局所塗布後の皮膚刺激、アレルギー、まれに女性化乳房の発生(特に乳幼児で、ラベンダーとティーツリーオイルを含む製品使用例)などが報告されている
  • 経口投与試験では、胃腸症状(吐き気、消化不良など)が報告されており、プラセボ群よりわずかに有害事象が多かったとの記載もある
  • 妊娠中・授乳中の使用は慎重にすべきという注意がなされている
  • 長期使用・大規模試験における安全性データは不足しており、過信は禁物であるという慎重姿勢が著者からも示されている

総括(補足コメント)

この総説は、ラベンダーと神経系の関係に関して、動物実験とヒト研究の現時点で得られている知見を俯瞰的に整理したものとして非常に有益です。ただし、結論としては「可能性あり」レベルにとどまっており、確定的な治療法として臨床推奨するには至っていません。

例えば、臨床試験では被験者数が少ない、対象が限定的、不安・うつ以外の神経疾患(例えばてんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病など)への応用例は極めて限られている、対照設計・プラセボ制御が不十分な研究が多い、という限界があります。また、各研究で使用されているラベンダー精油の成分プロファイル(リナロール比率など)が明示されていないことも多く、再現性・比較性を下げています。

そのため、将来的には以下のような研究が望まれます:

  • 標準化されたラベンダー精油を用いた、十分なサンプル数をもつ二重盲検プラセボ対照試験
  • 長期使用時の安全性追跡データ
  • 神経疾患(てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、神経変性疾患など)への応用試験
  • 作用機序を裏付ける分子・細胞レベルでの研究(受容体結合、シグナル伝達、神経可塑性、炎症制御など)
  • 吸入・局所塗布・経口投与など各投与法の相対比較と最適化

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