セレンは、体に必要な必須微量ミネラルです。
主な働きは以下です。
多く含む食品は、魚介類、肉、卵、穀類などです。
日本で普通の食生活をしている人では、セレン不足はかなり起こりにくいです。セレンは魚介類、肉、卵、穀類など幅広い食品に含まれるためです。
セレンは「たくさん摂ればよい」栄養素ではなく、必要量はごく少量です。長期間の過剰摂取では、脱毛や爪の異常などが起こることがあります。
セレンのメリットとは?
セレンの働きは、体内でセレノプロテイン」というタンパク質の構成成分になることによって発揮されます。代表的な働きを分けると、次のようになります。
①抗酸化作用
体内では、呼吸やエネルギー産生の過程で活性酸素が生じます。増えすぎると、細胞膜・タンパク質・DNAなどを傷つける原因になります。
セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)などの抗酸化酵素の構成成分です。
これらの酵素が過酸化物を処理し、細胞への酸化ダメージを抑えるのを助けます。つまりセレン自体が直接「活性酸素を吸収する」というより、体が持っている抗酸化システムを正常に働かせる材料という位置づけです。
②甲状腺機能を支える
甲状腺は、代謝や体温、エネルギー消費などを調節する甲状腺ホルモンを作っています。
セレンを含む酵素の一つにヨードチロニン脱ヨウ素酵素があります。これは、甲状腺から分泌されるT4というホルモンを、より活性の高いT3へ変換するなど、甲状腺ホルモンの調節に関与します。さらに、甲状腺はホルモンを作る際に酸化ストレスが発生しやすいため、セレンを含む抗酸化酵素が甲状腺細胞を保護する役割も担っています。
そのためセレンは、甲状腺ホルモンを作るヨウ素と並んで、甲状腺機能に関係の深い微量ミネラルです。
➂ 免疫機能を支える
セレンは、正常な免疫機能にも関係しています。免疫細胞が活動するときにも活性酸素が生じるため、セレノプロテインによる酸化還元の調節が、免疫細胞をダメージから守りながら正常に機能させることに関与しています。
具体的には、自然免疫や獲得免疫を含む免疫反応の調節に関与します。ただ、「セレンを多く摂れば免疫力がどんどん上がる」という意味ではありません。不足しないことが正常な免疫機能の維持に重要と考えるのが適切です。
④生殖機能を支える
セレンは生殖にも必要です。特に男性では、一部のセレノプロテインが精子の形成や構造・運動機能に関与しています。また、セレンは男女を問わず正常な生殖機能に関係する必須栄養素です。
不足すれば正常な生殖機能に影響する可能性がありますが、十分摂れている人が追加で大量に摂れば生殖能力が高まる、というものではありません。
⑤DNAの生成・維持に関わる
NIHもセレンの主要な生理作用としてDNA synthesis(DNA合成)を挙げています。
セレノプロテインが細胞内の酸化還元状態を適切に保つことなどを通じて、細胞が正常に増殖・機能する環境を支えています。
まとめると、
セレン → セレノプロテインの材料になる → 抗酸化・甲状腺ホルモン調節・免疫・生殖・DNA関連の機能を支える
という関係です。
重要なのは、セレンは摂るほど健康効果が増える成分」ではなく、「不足しない量が必要な成**という点です。日本の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも推奨量だけでなく、過剰摂取を避けるための耐容上限量が設定されています。

