セルフコンパッション日記の書き方:「今の現実をどのように生きるか?」

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29歳から35歳まで双極性障害を抱えていて、強いうつ症状に特に苦しんでいました。
何年も病院に通っても、回復の目処が立っておらず、どうしたらいいか分かりませんでした。

気分がひどく落ち込んで、たまに気分が良くなれば、また落ち込む。
この繰り返しにとても嫌気がさしていました。
この抜け出せないうつ症状に嫌になり、たまに体調が良い日でも、一日中ベッドにいる生活をしていた時期が長くありました。

  • 散歩をした方がいい。
  • きちんと食事をとった方がいい。
  • 太陽の光を浴びた方がいい。
  • 病院のデイケアに行って、人とコミュニケーションを取った方がいい。

そんなことは頭ではわかっていました。
でも、どうせまたうつ症状になるだろうと思うと、やる気が起きなかったんです。
うつ症状を良くするための行動に価値を感じなくなっていたからです。

でも行動ができない自分に対して苛立ちがありました。
自己否定と自己暴力を繰り返す日々が続いていきました。

双極性障害の悪いところは、たまにとても元気な時期があることです。
この時期に、先が見えない苦しみに嫌な気持ちを持っていると、すべてを終わらせたい気持ちを持ったまま、行動に移しやすくなります。

35歳の時に、僕は命を捨てる行動をとりました。
躁状態だったので、すごく落ち込んでいる中での行動ではありませんでした。
むしろ、この行動が正解だと思い込み、それなりに清々しい気持ちがあったんです。
自分はこれから「なんて良いことをするんだろう」とさえ思っていたような記憶があります。

どんな方法かというのは割愛しますが、実際に行うと、とても苦しく、頭が破裂しそうに痛かったです。結局、強い恐怖に負けて失敗に終わりました。
実際のところ、命を捨てる覚悟がなく、中途半端な行動だったからだと思います。

ただ、命を捨てる行動を失敗したことで、「自分には生きる選択肢しかないんだな」と気づきました。
なので、消去法で「生きていくこと」を選びました。

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野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上のうつ病を克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
メンタルと睡眠のYouTube登録1万人
著書
眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」

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「自分を大切にする」という、ありきたりなこと

「今の現実をどのように生きるか?」と考えたところで、途方にくれました。
まず何から始めていいかがわからないんです。
この頃は病院の先生を信じることができず、むしろ恐怖を感じていました。
だから、自分で何とかしなくちゃという思いが強かったんです。
でも、どうすれば良いかが分かりませんでした。

本やYouTubeやメンタル系のブログを読んだり見たりしていました。
ただこの時はすごく体力が衰えていて、本やブログを読むというのも、YouTubeを見るのもしんどかったです。
目や頭が疲れるからというのもあったんですが、そもそも座るのがしんどいんです。
ベッドに横になってスマホを持つのもしんどい。途中から腕や背中が痛くなってしまうからです。
だから1日少ない時間で情報を集めていました。

少し前の僕であればすぐ諦めていたんですが、命を捨てるという選択肢がなくなったので、簡単にあきらめることはありませんでした。
どうせ現実を生きていくのであれば、少しでも楽になりたい思いがあったからです。
そんな思いの中、もっと自分の人生を託せるような本を読もうと思いました。

情報をいろいろと集めていき、僕がたどり着いたのは心理学でした。
当時は病院の先生が嫌いだったので、なんとなく日本人の知識を避けました。
きっと病院の先生のようなことを言っていると偏見を持っていたからです。
結果として、海外の心理学者に目を向けました。
とは言っても英語は読めないので、日本人の方が本で紹介していたものです。

その時に見つけたのが「セルフコンパッション」でした。
「自分を大切にする」というありきたりなことを書いた本です。
でもそれまでは、自分を大切にするというのは、道徳観や倫理観などのようなものと思っていたんです。
心理学の考えとして、存在していたことに驚きました。
しかも海外の著名な心理学者が書いていると聞くと、当時の僕はそれだけで正解だと思ってしまって、セルフコンパッションをやってみようと思ったんです。

実は他にもセルフコンパッションに興味を持った理由があります。
当時の僕はベッドで横になることが多かったので、音楽を聴くことが多かったんです。
しかも、頭がろくに働かない状態だったので、同じ歌手の同じ歌ばかり聴いていました。

その中で僕がとても好きだったのがBUMP OF CHICKEN。
特に「ダイヤモンド」が好きでした。ダイヤモンドは簡単にまとめると「見捨てた自分を本当の意味で大切にしてあげる」という歌です。
このダイヤモンドの歌詞とセルフコンパッションはとても似ていました。
だから、セルフコンパッションは自分が求めていたものだと思ったんです。


セルフコンパッションとは?

セルフコンパッションとは、自分を思いやる心理学です。
慈悲の心理学とも呼ばれます。
アメリカの心理学者クリスティン・ネフが広めたもので、3つの考えで成り立ちます。

マインドフルネス:自分の感情や思考に気づき、あるがままを受け入れる。
共通の人間性の認識:自分は独りではないという感覚が身につき、孤独感が減る。
自分への優しさ:他人に優しくするように、自分にも優しくする。

セルフコンパッションの効果には、不安が軽くなる、感情が安定する、ストレスが減るというものがあります。
僕が求めていた効果であり、とても興味を惹かれました。

特に興味を引かれたのが、無理にポジティブになる必要がないということです。
この頃は無理にポジティブにならなくちゃいけないと思い込んでいました。
同時に「無理にポジティブになることは自己否定なのでは?」とも感じており、とてもネガティブ印象も持っていました。
※実際に「有害なポジティブさ」という間違ったポジティブ思考がある。

僕から見ると楽しく生きている人は「無理にポジティブになろう」としているのではなく、単にポジティブでいるだけに見えていたからです。
ポジティブというのは意識的にするものではなく、もっと無意識に近いものなんじゃないかと疑問に持っていたんです。
でも、当時読んでいた自己啓発本の影響で、僕は「ポジティブなことを言う。ネガティブなことを言わない」みたいな考えが正解で、自分が間違っているとも思っていたんです。

無理にポジティブになる必要がなく、あるがままの自分を大切にできるというセルフコンパッションの考えは、自分が求めているものに近いと感じました。

セルフコンパッション日記をしようと思った理由

当時の僕は驚くほど体力がありませんでした。
セルフコンパッションの内容をすべて行うなんてできません。
そもそも、買ったセルフコンパッションの本を最後まで読むだけでも、1週間、2週間はかかってしまいます。
正直、最後まで読める自信はなく、読めたとしても行動に移すのが2週間後というのは、当時の僕にはかなり避けたいことでした。

お医者さんを信じられなくなったように、セルフコンパッションもまた本当に僕に合うかどうかが分からなかったからです。
だから早く、セルフコンパッションを試したかったんです。

その中で興味を持ったのが「セルフコンパッション日記」でした。
「日記を書くことはメンタルに良い」という話を聞いたことがあったのも理由の1つです。
でも正直、効果にそれほど期待はしていませんでした。
何かのきっかけになればいいぐらいの軽い気持ちでした。

セルフコンパッション日記の5つの手順

セルフコンパッション日記はやり方を一言でまとめると「自分を思いやる日記を書くこと」です。
僕はセルフコンパッション日記を次のような手順で行っていました。

1.リラックスできる時間帯に書く。
2.嫌なことや自分を責めた出来事を書く。
3.その時の考えや感じたことを書く。
4.自分を「大切な人」に置き換えて共感する。
5.自分に対して、優しい気持ちで返事を書く。
※大切な人と言っていますが、自分が優しい気持ちを持てる人であれば誰でもOKです。

セルフコンパッション日記を書くときは、セルフコンパッションの3つの要素を意識することが大切です。

マインドフルネス:自分の思考や感情に気づく。
共通の人間性の認識:自分ではなく人としての悩みとして共感する。
自分への優しさ:自分に対して、優しい気持ちを持ってコミュニケーションをする。

セルフコンパッション日記には、認知療法の「ダブルスタンダード法」と同じ仕組みがあるため、認知の歪みを改善する効果もあります。

セルフコンパッション日記を始めて1~2週間で変化が生まれた

僕は知ったその日の夜からセルフコンパッション日記を始めました。
「本当にこんなことで効果があるのかな?」と疑う気持ちはありました。
しかも、最初はどのように書けばいいかもいまいち分かりませんでした。
「優しい言葉って何だろう?」と思って、「とりあえず大丈夫だよ」みたいな言葉しか書けませんでした。

例えば、朝の散歩できなかった場合をセルフコンパッション日記で書いた場合。
最初は「今日は朝散歩ができなかった。でも明日できれば大丈夫」みたいな感じで書いていました。
こんなのでいいのかな?と思いながら、とりあえず続けていきました。
数分で終わるし、他にやることもないので、1か月は続けて見ようと思っていました。

セルフコンパッション日記を続けていくと、少しずつ「優しい言葉」という意味が分かってきました。
書く内容に大きな変化が生まれたんです。

朝の散歩できなかった場合
「今日は朝散歩ができなかった。だけど、朝からだるくて、そもそも外出するというのもろくにしていないのに、いきなり朝散歩はしんどいよね。だけど、朝散歩をして、体や心を回復させたいっていう気持ちはあるよね。でもいきなり朝散歩は難しいかもしれないから、まずはカーテンを開けて朝日を浴びるところから始めればいいんじゃない?少し慣れてきたら5分だけ散歩をしてみるぐらいから始めてみよう。そうしていけば、少しずつ朝散歩ができるようになる。大丈夫」

正直なところ、セルフコンパッション日記をするまで、僕は優しさや思いやりっていうものを分かっていませんでした。
「しんどかったらやめればいいよ」というのが優しさだと思っていたんです。
でも、自分にしろ他人にしろ「やりたい」という気持ちがあるのであれば、その行動をできるように応援やサポートしていく。無理しすぎてないかどうか、気を配ってみる。
そうやって、きちんと見て寄り添ってあげることで、「ようやく思いやりの行動が取れるんだな」と気づきました。

セルフコンパッション日記を続けて1~2週間が経った頃、ある変化に気づきました。
最初はセルフコンパッション日記しかできていない日は「今日は日記しかできていないな」と思って自分を責めていました。
でも、その考え方が減っていたんです。
自分を責める回数が減ったというより、自分を責める時間が減っていきました。

目に見えるところだと、行動の変化でした。
毎朝「とりあえずカーテンを開けよう」と思って、カーテンが開けられるようになりました。
それまでは「カーテンを開けてどうなるんだろう?そんなことでうつ病が治るわけない。どうせまた悪くなる」と考えて、毎朝カーテンを開けるという簡単なことですらできなかったんです。
でも、自分が良いと思うのであれば、やってみようと素直に行動できるようになっていきました。

実を言うと、当時はメンタルが良くなったとは思っていませんでした。
メンタルに思い悩むことが減るので、「そういえば、最近、あまり自分を責めてないし、悩んでないな」と、1か月ぐらい経って、ふと振り返って気づくからです。

カーテンを開けたり、座ってテレビを見たり、台所を掃除したり、食事を少し多めに食べたり、少しずつ望んでいたことができるようになっていきました。
体力があまりないので、できることは少ないんですが、「今は体力がないからそれは仕方ないよね」と思えるようにもなっていました。
自己否定をする時間が減って、自己暴力による痛みも減り、気持ちが軽やかになっていきました。

気づくと、うつ症状に悩まされることが減っていた

セルフコンパッション日記を続けていくうちに、いつの間にか頭の中でセルフコンパッションの考えが身についていることに気づきました。
自分を責めて否定的に考えてしまうときに、「〇〇さんが同じ立場だったら、どのような優しい言葉をかけるかな?」と考える癖がついていたんです。
このセルフコンパッションに自動思考により、自分を否定的に考えることが大きく減りました。

人と話す時のストレスもかなり減りました。
コミュニケーションで失敗することや恥をかくことに対する不安が少なくなったのと、相手の立場を考える癖がついたことで、相手に対するストレスを感じにくくなったからです。
嫌いな人とコミュニケーションをしても、10分、20分距離を置けば、嫌な気持ちを手放しやすくなりました。
感情の切り替えがとても得意になっていたんです。

また、自分を否定することがなくなり、必要以上に失敗を恐れることもなくなりました。
失敗できるところではしっかり失敗をして、失敗にも慣れていこう、そんな考えも出てきました。
今までは何か失敗をしたら「恥をかいてしまう」「自分はダメだ」「いけないことだ」と思っていたのですが、「そんなことないな」と考えられるようになったからです。

「恥をかく」というのも、自分が感じているだけであって、それが大切なことであれば改善すれば良いし、それほど重要でないことであれば、恥を感じる必要もない。
そうなると、「どうして恥を感じているんだろう?」と少し面白く感じるようになりました。

「自分はダメだ」という考えについても、「人間は完璧ではないので失敗することはある」
大切なのは、「失敗した後に自分がどう行動するか?」。
そう考えることで、失敗そのものを「ダメだ」「いけないこと」とは思わなくなりました。
たまに、恥を感じたり、失敗して嫌な気持ちになったり、「自分はダメだな」と思ったりすることがあっても、「人間だからたまにはそういうこともあるだろう」と考えるようになりました。

こうして「人間だから失敗もある」と考えるようになると、必要以上に失敗を恐れることがなくなってきました。
ここで「必要以上」と言っているのは、今でも必要なだけの恐怖は感じることは大切と考えているからです。
現実的なリスクの分だけは恐怖を感じないと、ギャンブル的になってしまい、大切なものを守ることができません。

自己否定が減ってくると、どんな行動も「できる・できない」ではなく、「少しずつできるようにしていけばいい」と考えられるようになりました。
この考えが手に入り、いろいろなチャレンジをしやすくなりました。

気づくと、うつ症状に悩まされることが減っていました。
朝散歩ができるようになる、読書ができるようになる、文章が書けるようになる、人と話せるようになる、外出できるようになる、とできることが増えていくと、うつ症状自体が少なくなります。
それだけではなく、「うつ症状ももっと減らして健康的にもなれる」と思っていたので、悩むことが減ったんです。

むしろ、うつ症状や躁状態が出た場合にも、「自分と向き合える時間ができた」と思えるようにもなっていました。
変な話ですが、うつ症状自体に少しやりがいを感じ始めていたんです。
「どうやったら、自分の症状をもっと減らして、早く回復させることができるかな?」と、自分をどのように育てたらいいか、という風な考え方が芽生えていたんです。

セルフコンパッション日記を開始して、半年でうつ病克服

セルフコンパッション日記を始めて半年が経った頃、うつ症状や躁状態で悩まされることがなくなり、最初は20錠近くあった薬も、こつこつとやめることができました。
この時、うつ症状や躁状態が全くなくなったわけではなかったんですが、症状が弱くコントロールがしやすくなっていました。
なので、正直うつ病が「治った」という感覚ではなく、「日常生活が問題なく送れるし、毎日が楽しいし、たまに悲しいこともあるけど、それでいいよね」というぐらいの感覚です。
僕が双極性障害・うつ病が完治したと表現せずに、「うつ病克服」や「うつ病改善」という言い方をすることが多いのはそのためです。
※正確には、双極性障害の躁状態とうつ状態を克服です。

セルフコンパッションをもとに、自分が望むことができるようになっていきました。
・月に1~2冊しか読めなかった本が、1年で100冊以上読めるようになった。
・文章を書くことが増えて、ブログを開始し、書籍を出版。
・体力がなく運動は苦手だったけど、運動習慣がついてフルマラソンを完走。ランニング大会で入賞できるようになった。
・話すことが苦手で緊張もしやすかったけど、YouTubeや講師としての活動をできるようになった。
・人とのコミュニケーションは苦手だったけど、カウンセリングやコーチングの仕事をできるようになった。
昔から、三日坊主で体力がなく、ネガティブ思考すぎた僕にとっては、驚きの結果です。
現在は40歳ですが、人生で最も心身ともに健康的と思いますし、まわりからもそう見えると思います。

もちろん、まだできないことや苦手なことはあります。
でも、今もなおセルフコンパッションを大切にして、新しいことや自分が望む行動をしています。
もしご興味があれば、あなたもセルフコンパッション日記を始めてみませんか?

続き
①セルフコンパッションは「自分を大切にする」だけだと勘違い
②セルフコンパッション日記から始めたほうが良い理由
③セルフコンパッション日記がうまくいかないときの3つのポイント
④セルフコンパッション日記の注意点
⑤セルフコンパッション日記の効果をさらに高める書き方
⑥セルフコンパッションのリフレクション

〉完全版にご興味がある方はnoteからご覧ください



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