「眠らなきゃ」と焦るほど眠れない——そんな慢性不眠症に、薬に頼らず改善を目指す治療法があります。
米国睡眠医学会が推奨するのは、認知と行動の両面からアプローチする「認知行動療法(CBT-I)」。実証された効果とともに、他の治療法との違いや優先順位を整理しました。
正しい知識で、あなたの眠りを取り戻す第一歩にしませんか?
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論
慢性不眠症に対して、最も効果が高い治療法として評価されているのが「認知行動療法(CBT-I:Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)」です。これは、睡眠に関する不適切な考え方や習慣を見直し、より良い睡眠行動へと導く治療法です。具体的には、以下のような要素が組み合わされています:
- 認知再構成:眠れないことへの不安や誤った認識を修正
- 睡眠制限療法:就寝・起床時間を管理し、睡眠の質を改善
- 刺激制御:寝床と睡眠の関連性を強化し、覚醒との結びつきを断つ
- リラクゼーション法:筋弛緩や呼吸法などで入眠を助ける
これらの多角的アプローチによって、薬物に頼らずに、かつ長期的な効果を期待できるのがCBT-Iの最大の利点です。
また、時間やコストが制約になる患者のために、短期的な行動療法(BTI)や、刺激制御・睡眠制限・リラクゼーションなどの単独療法も「条件付き」で推奨されています。これらはCBT-Iの簡略版または要素の一部であり、患者の希望や生活状況に応じて選択肢になりえます。
一方で、従来よく使われてきた「睡眠衛生指導」(例:寝る前のスマホを避ける、カフェイン摂取の制限など)については、単独での使用では十分な効果が認められておらず、臨床的には推奨されていません。ただし、他の治療と組み合わせる形での活用は有効とされています。
注意が必要なのが、「睡眠衛生指導をやらなくていい」という訳ではありません。
睡眠を補強する役割として必要です。ただ、あれもこれも同時にやると睡眠は精神生理性不眠症などの悪化原因もつながりやすいです。そのため、優先順位としてとらえるのが大事。
内容の信頼性:10点中9点
本内容は米国睡眠医学会による厳密なシステマティックレビューとGRADE手法に基づいたガイドラインに準拠しており、エビデンスレベルが高く信頼性は非常に高いと評価できます。
何の研究か?
この研究は、「成人の慢性不眠症」に対する「行動療法および心理療法」の効果を検証し、どの治療法が最も有効かを導き出した臨床実践ガイドラインです。
研究した理由は?
不眠症は多くの人に影響を与える一般的な障害ですが、薬物療法の副作用や限界もあるため、非薬物的なアプローチの有効性と推奨度を明らかにすることが求められていました。
結果はどうだったか?
優先度 | 例 | 理由 |
---|---|---|
◎ 第一選択(強く推奨) | 認知行動療法(CBT-I) | 効果が明確で、持続性・再現性が高い |
○ 条件付きで推奨 | BTI、刺激制御、睡眠制限、リラクゼーション | 一部の患者に効果あり、リソース次第で有用 |
△ 単独では推奨されない | 睡眠衛生、運動介入、マインドフルネス単独など | 効果はあるかもしれないが、エビデンスが不十分・限定的 |
慢性不眠症の原因は、刺激制御療法と睡眠制限療法は睡眠認知だけではなく、睡眠圧を高めてくれます。そのため、眠る力がグッと高まります。
光などの睡眠衛生や運動介入が優先順位が低いのでは、慢性不眠症の原因の解決につながりにくいからだと考えられます。ただ、まったく光を浴びていない、体を動かしていない人と、それなりに行っている人で「改善効果」は変わってくると推測されます。
■ 強く推奨される治療法
認知行動療法(CBT-I)
- 寛解率(症状がなくなる割合):CBT-I群で約39.2%、対照群で17.3%
- 反応率(症状が改善する割合):CBT-I群で59.2%、対照群で26.3%
- 睡眠の質の改善:PSQI(ピッツバーグ睡眠質問票)スコアで平均2.9ポイントの改善
- 入眠までの時間(睡眠潜時):平均約20分短縮
- 入眠後の覚醒時間:平均約18分減少
- 効果の持続性:治療終了後6ヶ月~1年後も効果が持続
これらは49件の臨床試験に基づいた結果であり、CBT-Iが「効果が大きく、かつ長期的に持続する」ことを裏付けています。
CBT-Iを補強する形で、マインドフルネス、ACT、運動などの体質改善、リラグゼーションスキルを高めれば、寛解率はもっとあがるでしょう。CBT-Iを土台にしたうえで、さらに心身の改善にとりくむのがおすすめです。ほかにもアイマスクや耳栓を使うなど、補強しやすいです。
■ 条件付きで推奨される治療法
短期行動療法(BTI)
- 寛解率、反応率ともにCBT-Iよりやや劣るが、短期間(1~4セッション)で効果が見込まれ、忙しい人向け。
- リソースの少ない環境でも実施可能。
刺激制御
- 寛解率で有意な改善(具体的数値は非公表)
- ベッドと睡眠の関連性を再学習させるため、自己実行可能でコストも低い。
睡眠制限療法
- 反応率・寛解率ともに改善(6件のRCTによる)
- 日中の眠気など副作用があるが、効果は高い。
リラクゼーション療法
- 睡眠の質や反応率において有意な改善あり(5件のRCT)
- 漸進的筋弛緩や瞑想などを含む。副作用が少なく安全。
重要なのは、刺激制御療法。「ベッドと睡眠を認知的に結びつける効果」があるので、睡眠改善の土台になるものだからです。睡眠制限療法はより効果が高いですが、ストレスがかかりやすいのが難点です。リラクゼーションは副作用が少なく安全と報告されていますが、「リラックスできないのにリラクゼーションしなければ」を続けてしまうと、リラクゼーション誘発性不安につながりやすいので注意。
■ 推奨されない治療法
睡眠衛生の単独使用
- 改善が見られたのは2件のみのRCTで、効果は限定的。
- 他の効果的治療の実施を妨げる可能性も。
認知療法単独、バイオフィードバック、逆説的意図、マインドフルネスなど
- 該当する研究が3件未満またはエビデンスが不十分
- 治療法としての有効性はまだ確立されていない
あくまで単独では推奨されないですね。逆説的意図睡眠法は、シンプルなテクニックなので併用は簡単なので、行ってみるのはおすすめ。ただ、うまくいかないときは無理しなくてOK