あがり症を克服する「投影の心理」を使った3つの方法をお伝えします。
僕は20代の頃から初対面の人と話すと、どもってしまったり、足が震えたり、頭が真っ白になるぐらいにあがり症でした。 20代前半の頃は 仕事場で片言の敬語を喋っていた記憶があります。
その後、コールセンターで電話対応の仕事をして、緊張癖は仕事の上ではある程度は改善しました。
でも、メンタルを壊してしまってから、コンビニや病院の会計で怖くて小銭を落とすぐらいに手が震える。 人目が怖くてバスや電車に乗れない。 初めて会う人と話すと頭が真っ白になることが多かったです。
今では、身体的な危険性を感じない限りは、どんな人とでも物怖じなく話せるようになっています。
他にもコーチングやカウンセリング、セミナーや YouTubeLIVEで話すこともできます。
まずは「あがり症になる3つの原因」をお伝えします。
そのあとで、僕が実際に行った投影の心理を使った克服法を3つお伝えします。
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野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・YouTube「メンタルコーチしもん」登録数1.3万
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
あがり症になる3つの原因
自己評価が低い
あがり症の方は自己評価が低いことがあります。
そのため、
・他人の目を気にしすぎてしまう。
・うまく答えることができないのではないかと心配になる。
・自分をうまくコントロールできる自信がない。
これらが「あがりやすさの原因」となります。
失敗を恐れる
「失敗してはいけない」 というプレッシャーが、緊張感を高めます。
緊張で交感神経が優位になると。
・心拍数があがる。
・体が硬直する。
・体が震える。
・体が熱くなる。
・汗をかく。
などの体の反応が起きます。
この交感神経による体の反応を抑えようとして抑まらず、さらに緊張していきます。
完璧主義やマイナス思考を持つと、さらに失敗への恐怖が高まっていきます。
緊張が高まりやすい性質
体質や過去の記憶から緊張しやすい性質を持っており、 過敏に交感神経が反応します。
交感神経が高まることで、あがりやすくなります。
以上の3つの原因は、「 初対面の人に会う」や「人前で話す」などのあがりやすい場面において、 交感神経が高ぶりやすくなっているのが原因とまとめることができます。
交感神経は「闘争と逃走の神経」とも呼ばれます。
交感神経が高ぶるのは、あがりやすい場面を「危険な場面」と感じているためです。
つまり、あがり症克服には、あがる場面を「安全な場面」に捉え直していくことが大切になってきます。
あがり症を「投影の心理」を操って克服する3つの方法
投影の心理とは、 自分の思考や感情をもとに、他人の思考や感情を考えてしまう心理です。
他人が考えていることは、基本的には分かりません。
なので、分からない不安を減らすために、自分の思考や感情をもとに相手も同じように考えていると無意識に考えてしまいます。
つまり、あなた自身が自分を否定的に見ている・失敗は恥であり、悪いことと考えている場合は、 まわりも同じ目で自分を見ていると感じやすくなります。
さらに自己評価が低いと、失敗は怖くて防げないと思い込みやすくなるので、強い危険を感じて交感神経がさらに高まってしまうことになります。
あがり症を克服するには「人とのコミュニケーションの中で、自己評価を高めて、 失敗は怖くないと感じること」が大切です。
投影の心理による解決法①「店員さんに『ありがとう』と伝える」
手軽にできる方法としては、 お店の人に「ありがとう」と伝えることです。
コンビニでお金を支払うとき、 飲食店でお水や料理を持ってきてくれるとき、 他にも「ありがとう」と言えるタイミングで「ありがとう」と伝えましょう。
なぜお店の人に「ありがとう」と伝えることが大切なのかと言うと。
「自分が人に感謝することによって、人は誰かを感謝するもの」と無意識に思えるようになってくるからです。 投影の心理ですね。
そして、感謝する人は、思いやりがある人にイメージがつながってきます。
そうイメージできると、自分の存在や失敗をおおらかに見てくれると感じれるようになります。
また、感謝をすることで完璧主義やマイナス思考が改善していきます。
感謝は他人へ意識を向ける行為なので、自然と視野が広がるからです。
視野が広がることで否定的な思考から抜け出すことができます。
自然と自己否定感がなくなり、自己評価も高まっていきます
さらに感謝にはリラックスする効果があります。
カリフォルニア大学の2016年の調査にもありますが、感謝することで副交感神経が優位になりリラッ
クスしやすくなるからです。
以上のように感謝の習慣をつけるだけで、あがり症の人にとって良い効果がたくさん生まれてきます。
お店の人に「ありがとう」と伝えることは、 日常生活で5秒以内でできる簡単なものです。
あがり症克服に手始めに行うには、最適な方法です。
投影の心理による解決法②「自分を容認する」
容認とは「それで良いと認めること」です。
自己受容の「自分を許す」「自分を受け入れる」などの言葉は、実際には「容認が最も近い表現」です。
許すだと、ネガティブなものを消すイメージがあります。
受け入れるだと、ポジティブに考えるイメージがあります。
でも自己受容は、ネガティブやポジティブにとらわれずに「それで良いんだよ」と容認する意味合いです。
「自分の存在・性格・考え方・感情」を容認することができると、あがり症克服にグっと近づきます。
投影の心理によって、まわりの人も「これぐらいは気にしない(容認する)」と無意識に考えられるようになるからです。
同じように自分も他人を容認することで、他人から容認されていると感じる力も高まってきます。
容認されていると感じると、そこは危険な場所ではなく、安全な場所なので交感神経も大人しくなります。
容認力を高める方法でおすすめは、セルフコンパッションとACTです。
セルフコンパッションは、思いやりを持つ意識が高いため、容認よりはポジティブ寄りになります。ただ自己否定感が強い場合などは、いったんポジティブ寄りのセルフコンパッションを試すのがおすすめです。
ACTはポジティブもネガティブもなく容認する力を高めるものとなります。
自己受容で最もゴールに近いのはACTです。ただ、セルコンパッションは自己受容のための強いきっかけを与えてくれます。
「自分はそれで良いんだよ」と容認力を高めたい場合は、セルコンパッションとACTの記事をご覧ください。
容認力を高めることであがり症も克服されていきます。
実際には、あがり症すらも容認することで、あがり症が薄れていきます。
セルフコンパッション日記の書き方:「今の現実をどのように生きるか?」
ACTディフュージョン2つのテクニック:「感情の支配から自由になる」
投影の心理による解決法③「笑いたいと思ったら笑う」
「笑いたいと思ったら 笑う。」
「笑顔が出そうだなと思ったら自然に笑顔になる。」
という習慣をつけていくと、 あがり症が克服しやすくなります。
自然な感情をそのまま表に出すのに慣れることが大切だからです。
交感神経が活性化するのは「危険な場所」と認識するのが原因です。
感謝や容認で「安全な場所」にしていく場合、「素直に感情表現をしてもいいこと」も大切です。
感情を作らなきゃいけない場所は、あなたにとってそれほど安全な場所ではないからです。
自然な感情を表に出してもいいと自分自身が思えると、投影の心理で「自然な感情を表に出すことはいいことと相手も思っている」と思えるようになります。
「よく見られるように自分を作らなくちゃいけない」と考えることが減り、あがり症がやわらいでいきます。ポジティブに自分を作ると、有害なポジティブさが生まれる。
まずは、自然に笑うから始めるのがおすすめです。
作り笑顔ではなく、自然な笑顔ですね。
作り笑顔をするということは、 自分は笑顔を作らなくちゃいけない場所にいると考えてしまうので、 交感神経が反応したくてうずうずしちゃいます。
あがり症の方は、 おそらく「 作り笑顔をする」「 下手に笑っちゃいけないと考える」「 歯を見せちゃいけない」とか考えてしまうことはありませんか? 僕はありました。
素直な感情表現ができることで、 ここは安全な場所なんだと思えるようになり、 あがり症が少しずつ克服されていきます。
人前で自然に笑うことが苦手な場合は、少しずつでOKです。
①一人で動画や漫画を見ているときに、自然と笑いがこみあげてきたら笑う。
②家族などの信頼できる人の前では、自然に笑う。
③容認してくれそうなグループの中では、自然に笑う。
みたいに、自然に笑える範囲を少しずつ広げていきましょう。
ネガティブな感情も自然に出せることが大切
実際には怒りや悲しみなどのネガティブな感情も自然に出せることが大切です。
でも、対人関係でネガティブな感情を自然と出すのはハードルが高いですよね。
間違うとトラブルを起こすきっかけともなるからです。
まずは「身近な人に素直な感情を出していく」から始めていくのがおすすめです。
または、感情を素直に出しながら適切なコミュニケーションをする「アサーション(アサーティブ・コミュニケーション)」を取り入れていく、ですね。
まずはポジティブな感情を自然と出すことから始めるのが手軽です。
すべての感情を素直に出さなきゃと、いきなり完璧を目指さなくても大丈夫です。
今よりも少し素直で自然な感情を出すところから始めていきましょう。
そして、少しずつ自然に出せる感情を増やしていくことが大切です。
ちなみに、人は自然な笑顔と作り笑顔というのは無意識に見分ける力があるので、自然に笑えるようになるだけでも人間関係は豊かになっていきます。
まずは自然に笑える環境を作っていく・探していくことが大切です。
逆に、自然に笑うことを容認しない人間関係は「離れるか、浅くしていくか」が個人的にはおすすめです。
あがり症で困ることがなくなった
今回お伝えした「投影の心理を操ること」で、僕はあがり症で困ることがなくなりました。
ただ、あがらなくなった・緊張しなくなったという訳ではありません。
あがっても、緊張しても、それは「人としては自然な感情」なので、あまり気にしなくなりました。
多少はあがって緊張しても、「コミュニケーションに問題がない」のも理由の1つです。
むしろ、コミュニケーションする場によっては、「良い緊張感」が大切なこともあります。
交感神経が高ぶりやすい人は落ち着かせることは大事です。
でも、交感神経が優位になることは悪いことではありません。
交感神経と副交感神経が、状況に対応してきちんと自分をサポートしてくれることが大切です。
これが自律神経が整っている状態です。
ここからはnoteで「緊張を克服する3つの方法」をお伝えします。
①HSPなど敏感さを持っている人におすすめのACT的呼吸テクニック。
②僕が20代の頃、電話応対で全国優勝したときに身に付けた:緊張でコントロールを失いそうなときに、コントロールを取り戻す方法。
③緊張を味方につける「感情を中心に考えて捉えなおす方法」
最後に、僕がセミナーなどで話せるようになったまでの「段階的なエクスポージャーの具体例」をお伝えします。