リラックスすると逆に不安が高まる「リラグゼーション誘発性不安(RIA)」という現象があります。
一般化不安障害(GAD)の治療では、リラックス訓練が重要な位置を占めますが、このRIAが治療効果に影響するかはこれまで意見が分かれていました。本研究は、RIAの“ピーク”や変化のタイミングに注目し、GAD治療の成果との関係を詳細に検証しました。
参考:【ペンシルベニア州立大学2018年研究】リラクゼーション誘発性不安:全般性不安障害の治療結果に対する変化のピークと軌跡の影響
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。緑のメモは僕の意見・感想です】
結論
治療中のRIAのピーク値が低い人ほど、治療終了時の症状改善が大きく、その後も長期的に改善が続く傾向がありました。特に治療の後半(最後の3分の1の期間)でRIAが低く抑えられていることが、良好な経過につながりました。一方、平均RIA値は治療効果と関連しませんでした。
体験のピークとエンドが記憶に残りやすいので、リラグゼーション誘発性不安のピークが高いと、治療に対するネガティブなイメージが残り続けるのかもしれないですね。
内容の信頼性(10点満点)
9点
(臨床試験データを用い、統計的に有意な結果を提示しているため。ただしサンプル数が41名と少なく、参加者の多くが白人であった点は限定要因。)
何の研究か?
全般性不安障害(GAD)の治療における「リラックス誘発性不安(RIA)」の影響を、これまでの平均値中心の分析ではなく、
- 最高値(ピークRIA)
- ピークが出るタイミング
- 時間経過による変化パターン(軌跡)
に分けて分析した研究です。
研究した理由は?
全般性不安障害(GAD)は慢性的かつ生活に大きな影響を与える障害で、認知行動療法(CBT)や行動療法(BT)でも改善が難しい場合があります。
治療の一環として行うリラックス訓練は有効とされていますが、リラグゼーション誘発性不安(RIA)が強い人では効果が下がる可能性が指摘されてきました。これまでの研究はRIAを「全体の平均値」で扱っていたため、本当に重要なのは“ピーク”や“変化のタイミング”かもしれない、という仮説を検証するために実施されました。
結果はどうだったか?
- ピークRIAが低いほど:治療終了時の症状改善が大きく、2年後まで改善が続く傾向。
- ピークRIAが高くても:短期的な改善は得られるが、その後の追加改善は少ない。
- 治療前半のRIAピーク:その後の経過にはあまり影響なし。
- 治療後半のRIAピーク:低い方が長期的な改善につながる。
- 平均RIA値:治療効果とは無関係。
- **認知的不安(嫌な思考やイメージ)**はピークRIAと正の相関あり。
- RIAの変化パターンは人によって異なり、上昇後に減少する人もいれば、徐々に上がり続ける人もいたが、そのパターン自体は治療効果に影響しなかった。
この研究は、GAD治療でRIAを軽減し、特に治療後半でのピークを抑えることが長期的な改善に重要であることを示しています。RIAが高い患者には、リラックス訓練の延長や、リラックスに対する否定的な信念への介入が有効かもしれません。
結果を見るに、治療法の精度が高いだけでなく、「治療者が患者に与える安心感」は長期的な治療効果に大きな影響を与えそうですね。