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ヒプナゴジアは珍しくない?80.2%が経験したとする2023年研究

眠りに入る直前など、目が覚めている状態から眠りへ移る途中で、映像が見えたり、音が聞こえたり、体が落ちるように感じたりすることがあります。
こうした「ヒプナゴジア(hypnagogic state)」について、4,456人の若年成人を対象に質問紙調査を行ったところ、80.2%(3,574人)が経験したことがあると回答しました。
研究では、経験の有無だけでなく、どの感覚で起こりやすいか、男女で違いがあるか、感情的な性質や鮮明さがどう異なるかも調べています。

参考:入眠時幻覚は非常に一般的である:自己申告による有病率、様式、および性差【2023年】

結論

この研究では、ヒプナゴジアは調査参加者の80.2%から報告され、珍しい体験ではないことが示されました。

経験の種類では運動感覚が90.3%と最も多く、
次いで視覚70.9%
聴覚43.1%
触覚38.3%
嗅覚・味覚24.6%でした。

また、ヒプナゴジアを報告した割合は、女性81.5%、男性78.0%で、女性のほうが高い結果でした。論文では、この男女差は統計的に有意とされています。

一方、この研究は本人の記憶にもとづく自己申告調査です。
著者らも、記憶のずれや回答上の偏りが生じる可能性、子どもや高齢者を対象にしていないことなどを限界として挙げています。

内容の信頼性:7 / 10

評価:7点

この点数は、論文に記載された研究方法と限界だけを材料にした評価です。

4,456人という大きなサンプルを用い、3回に分けてデータを収集していること、ヒプナゴジアの頻度・感覚の種類・感情的な性質・鮮明さなどを複数の項目で調べていることは、この研究の強みです。ベルン大学の倫理委員会の承認を受け、回答は匿名で収集されています。

ただし、研究は自己申告式の質問紙調査であり、著者らは、体験から回答までの時間による記憶の低下、回答のためらい、体験を正確に思い出せない可能性を挙げています。また、子どもと高齢者は対象外で、外部基準による検証も行われていません。目を開けた状態と閉じた状態の体験を区別しておらず、入眠時と覚醒時の体験も別々には評価していません。

そのため、「この調査の参加者の多くがヒプナゴジアを自己申告した」という結果は大規模なデータで支えられている一方、客観的な睡眠測定によって体験そのものを確認した研究ではないという点を考慮する必要があります。

何の研究か?

眠りに入る前後に生じるヒプナゴジアについて、どのくらいの人が経験しているのかを大規模な質問紙調査で調べた研究です。

研究対象は合計4,456人で、データは3回に分けて集められました。

  • 第1回:ベルン大学の心理学専攻学生 687人、18〜39歳
  • 第2回:一般集団 2,420人、18〜30歳
  • 第3回:1,349人、18〜40歳

質問では、ヒプナゴジアを「一度もない」「まれにある」「定期的にある」といった形で尋ねました。
さらに、体験が視覚、聴覚、触覚、運動感覚、嗅覚・味覚のどの感覚に現れるかを調べています。

加えて、体験の感情的な性質、わずらわしさ、鮮明さを7段階で評価しました。
夢、睡眠麻痺、想像、超感覚的知覚についても同様の項目を測定し、ヒプナゴジアとの違いを比較しています。

研究した理由は?

著者らによると、ヒプナゴジアは長く研究されてきたものの、過去の研究ではどのくらいの人が経験するのかという推定値に大きなばらつきがありました。

その理由として、研究ごとにヒプナゴジアの定義や質問方法が異なり、特定の体験だけを尋ねる研究もあれば、より広い体験を尋ねる研究もあったことが挙げられています。また、感情的に強い内容を含む質問が使われた研究もありました。

そこで本研究では、ヒプナゴジアをより広く、感情的に中立な形で尋ね、経験率、感覚の種類、体験の特徴、男女差を大規模サンプルで調べることを目的としました。

結果はどうだったか?

調査項目結果
ヒプナゴジアを経験したことがある80.2%(3,574 / 4,456人)
定期的に経験する25.5%
まれに経験する54.7%
経験しない19.8%
女性の経験率81.5%
男性の経験率78.0%
運動感覚での体験90.3%
視覚での体験70.9%
聴覚での体験43.1%
触覚での体験38.3%
嗅覚・味覚での体験24.6%
入眠時に経験85.5%
睡眠から覚める時に経験47.3%
それ以外の時間帯に経験34.1%

※感覚別および発生時点の割合は、ヒプナゴジアを経験したと回答した人を対象にした値です。

まず、4,456人のうち3,574人、80.2%がヒプナゴジアを経験したことがあると回答しました。
頻度別では、25.5%が「定期的に」、54.7%が「まれに」経験すると答えています。

男女別では、女性の81.5%、男性の78.0%が経験を報告しました。
この差について、論文では χ²(1, N = 4,454) = 8.31、p = .004、d = 0.09 と報告されています。

感覚の種類では、運動感覚90.3%が最も高く、次いで視覚70.9%、聴覚43.1%、触覚38.3%、嗅覚・味覚24.6%でした。ここでいう運動感覚には、体が落ちるような感覚、体から離れるような感覚、体のぴくつきなどが含まれています。

体験するタイミングでは、ヒプナゴジア経験者3,574人のうち、85.5%が入眠時、47.3%が睡眠から覚める時、34.1%がそれ以外の時間帯にも経験すると回答しました。複数のタイミングを回答できるため、割合の合計は100%を超えます。

また、ヒプナゴジアを「まれに」経験する人と「定期的に」経験する人を比べると、定期的に経験する人のほうが、体験をより肯定的かつ鮮明に評価していました。
感情的な性質の平均値は、まれに経験する人が−0.16、定期的に経験する人が0.05で、鮮明さはそれぞれ3.00と3.49でした。わずらわしさについては、それぞれ1.56と1.60で、有意な差は報告されていません。

夢との比較では、夢を報告した人は98.7%で、ヒプナゴジアの80.2%より多い結果でした。
一方で、論文では、ヒプナゴジアと夢は感覚の現れ方の構成が異なるものの、感情的な性質、わずらわしさ、鮮明さでは似ていたとまとめています。

参考元

Ghibellini, R., & Meier, B. (2023). “Hypnagogic states are quite common: Self-reported prevalence, modalities, and gender differences.” Consciousness and Cognition, 115, 103582.

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