昼下がりに眠くなるのは、昼食の影響や睡眠不足だけが原因ではありません。食事や運動、時計などの影響を取り除いた実験でも午後に眠気が強くなったことから、人間がもつ生物リズムが関係していると考えられています。
この眠気を軽減する方法の一つが昼寝です。ただし、昼寝は長さや睡眠の深さによって、午後の活動を助ける場合と、かえって体調や夜の睡眠に悪影響を与える場合があります。
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】
結論
午後の眠気を減らし、作業能力を保つためには、寝つくまでの時間を含めて15~20分程度の昼寝が適しています。
実際に眠っている時間としては、10~15分程度が目安です。浅い睡眠である睡眠段階N2を少なくとも2~3分含み、深い睡眠であるN3に入る前に起きることが重要です。
長時間の昼寝は、起床直後のだるさである「睡眠慣性」を強め、夜間睡眠を妨げる可能性があります。昼寝は睡眠不足を完全に補うものではなく、午後の活力を高めるための予防的な睡眠として利用することが望ましいとされています。
内容の信頼性:8点/10点
本論文は、新しい実験を一つ報告したものではなく、昼寝に関する過去の研究を整理した総説論文です。論文中では48件の文献が示され、昼寝の長さ、睡眠段階、眠気、作業成績、健康リスクなどが幅広く検討されています。
昼寝の効果について、主観的な眠気だけでなく、脳波、睡眠段階、反応速度、課題成績などを用いた研究が紹介されているため、一定の信頼性があります。
一方、研究によって対象者の年齢や人数が異なります。論文内で紹介された脳波のシミュレーションは、20~28歳の大学生・大学院生9名を対象としていました。また、昼下がりに眠くなる生理的な仕組みや、睡眠中の脳波と昼寝の効果との関係については、十分に解明されていない部分があると論文中で説明されています。
何の研究か?
昼寝が人の眠気、作業能力、健康、夜間睡眠に与える良い影響と悪い影響を整理し、効果的な「パワーナップ」の長さや睡眠の深さ、起床方法を検討した研究です。
主に、次の内容が扱われています。
- 昼下がりに眠くなる理由
- 長時間の昼寝による悪影響
- 効果的な昼寝の長さ
- 昼寝中に必要な睡眠段階
- 起床直後のだるさを減らす方法
- 昼寝をするときの姿勢
研究した理由は?
昼寝には、眠気を減らし、作業能力を改善する効果があります。
その反面、長く眠りすぎると、起きた直後に体がだるくなったり、その日の夜に眠りにくくなったりします。
また、日常的に1時間以上昼寝をする人では、昼寝をしない人と比べて、心血管疾患、高血圧、メタボリック症候群、アルツハイマー病などの罹患リスクが高いことが報告されています。
そのため、昼寝の利点を得ながら悪影響を避けるには、どの程度の長さと深さが適切なのかを明らかにする必要がありました。
結果はどうだったか?
昼下がりの眠気は昼食だけが原因ではない
305キロカロリーの軽い昼食と、922キロカロリーの重い昼食を比較した研究では、重い昼食をとった人のほうが覚醒レベルが低下し、模擬運転中に車線をはみ出す回数が増加しました。
しかし、昼食を通常より2時間早く食べた場合や、昼食を抜いた場合でも、普段と同じように昼下がりの眠気が発生しました。運動や時計、通常の食事の影響を取り除いた条件でも午後に眠気が強くなったため、昼下がりの眠気には生物リズムが関係していると考えられています。
眠気や居眠り事故は、午前4~6時ごろに最も多く、次に14~16時ごろに多くなる傾向が示されています。
長い昼寝には悪影響がある
1時間以上の昼寝では、深い睡眠であるN3が現れやすくなります。N3から起きると、起床直後に眠気やだるさが残り、作業成績が低下する「睡眠慣性」が強くなります。
昼寝中にN3が現れると、その日の夜に現れるN3が減り、夜間睡眠の質が低下する可能性もあります。
論文で紹介された研究では、昼寝時間が10分延びるごとに、死亡リスクが4%増加したという報告も示されています。一方、昼寝が30分以内の場合は、心血管疾患やそれによる死亡、アルツハイマー病の罹患リスクが低下したという報告が紹介されています。
効果を得るにはN2まで眠る必要がある
短い昼寝には、うとうとした状態のN1と、浅い睡眠であるN2が含まれます。
90秒間や5分間のN1だけでは、眠気や作業能力を十分に改善する効果は確認されませんでした。
目を閉じているだけでも眼精疲労の軽減にはつながりますが、パワーナップとしての効果はほとんどないとされています。
一方、N2を2~3分以上含む昼寝では、眠気が減り、作業能力が維持または改善されました。N2を3分含む条件では、昼寝をしない場合やN1だけの場合と比べて、課題の見落とし増加が抑えられました。
若年成人では10~15分の睡眠が適している
若年成人では、昼寝が15分を超えるとN3が現れ始め、20分を超えるとN3が現れる人の割合が40%に達しました。
そのため、実際に眠る時間は、N1が6~8分、N2が2~3分以上となる「10~15分程度」が適切とされています。昼寝では寝つくまでに約5分かかるため、昼寝のために確保する時間は15~20分程度になります。
65歳以上の高齢者はN3が現れにくいため、30分間の昼寝でも眠気や作業成績が改善し、夜間の途中覚醒が減ったという報告があります。中高年の場合も若年成人より長く眠れる可能性がありますが、睡眠慣性を避けるため30分以内が望ましいとされています。
起床直後のだるさを減らす方法がある
短い昼寝でも睡眠慣性が起こる場合があります。論文では、次の方法が有効だとされています。
起床後に洗顔する、明るい光を浴びる、テンポの速い音楽を聴くと、眠気が軽減し、反応速度や課題の正答率が改善しました。
カフェインは摂取後およそ45分以内に99%が胃腸から吸収され、血液中の濃度は摂取後15~120分で最大になります。そのため、カフェイン飲料を飲んでから15~20分眠ると、起きるころに覚醒効果が現れます。この方法は「コーヒーナップ」と呼ばれています。
また、眠る前に起きる時間を強く意識する「自己覚醒」を行うと、起床の数分前から心拍数が上昇し、目覚めやすくなり、睡眠慣性の軽減につながりました。
寝すぎない環境をつくることが重要
ベッドで昼寝をすると、目覚めたときの心地よさや眠気によって起きにくくなり、寝すごす危険があります。
椅子やシートを使う場合は、N2で全身の力が抜けるため、ヘッドレストや壁などを利用して頭を固定する必要があります。車内で昼寝をする場合は、背もたれを深く倒したほうがN2が早く現れ、昼寝の効果が高くなりました。
昼寝では「どう眠るか」だけでなく、アラームや自己覚醒、寝る場所の工夫によって、決めた時間にどう起きるかを考えることが重要です。
