うつ病の悪化を防ぐ4つの方法。「うつ病がよくなってきたのに、また悪くなってしまった」

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「うつ病がよくなってきたのに、また悪くなってしまった。振り出しだ…」
と、うつ病のときに思うことがありました。
「何をやっても無駄なんだ」と嫌になり、続けていた散歩や心理療法をやめたりして、ずるずるとうつ病が悪化することが多かったです。

僕がうつ病を改善できた理由の1つは、うつ病をずるずると悪化させることがなくなったことです。
うつ病の悪化を防ぐことができれば、順調に回復しやすくなるので、うつ病の回復も早くなります。

うつ病の悪化には「仕方のないもの」「防げるもの」があります。
そして、コントロールができない「仕方のないもの」に引きずられず、コントロールができる「防げるもの」を防いでいくことが大事です。
このとき、「コントロールできる・できない」を考える上で役立つのが、「仏教の矢の理論」です。

本記事のYouTube版「うつ病の悪化を防ぐ4つの方法」のコメントより
この動画に出会えたこと本当に感謝しています。
もう2度と鬱治らないと思ってましたが違ったんだと再認識出来ました。
もう何というか、、心より感謝をお伝えします

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野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
YouTube登録1.2万人以上
著書
眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」

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うつ病悪化を防ぐ「仏教の矢の理論」

仏教の矢の理論は、人の苦しみを2つの矢に例えています。
「第一の矢」は避けられない苦しみ。
「第二の矢」はその苦しみに対する反応で生じる苦しみです。

例えば、冒頭の「少しずつうつ病がよくなってきたのに、また悪くなってしまった」第一の矢です。
すでに起きてしまったことは、防ぐことのできない仕方のないものです。
次の第二の矢「うつ病をずるずると悪化させる原因」になっています。

  • 「振り出しだ」と考えて嫌な気持ちになる。
  • 「何をやっても無駄だ」と考えて嫌な気持ちになる。
  • 続けていた散歩や心理療法をやめる。

今回はうつ病悪化を防ぐ4つの解決策をお伝えします

①うつ病の状態は長期で考える

僕のうつ病改善がうまくいかなかった理由の1つは、1~2日のうつ病悪化に反応していたことです。

今日は「なんだか頭がしびれるように重い」「泥の中にいるように体が重い」に反応して、「寝てすごそう」「外に出るのをやめよう」と考えることが多かったんです。
このときは「休む」とは「動かないこと」という間違った思考を持っていたので、少しでも不調になると、寝て過ごそうとする癖がありました。
体を動かさない時間が増えれば、血行が悪くなり、栄養が頭や体にいきわたらなくなり、回復がうまくいきません。

しかも、1~2日のうつ病悪化であれば、本当は何が原因かが分かりません。
たまたま体調のリズムが崩れているだけなのか?
なにか原因があるのか?
コントロールできるものなのか?
というのが、わからないんです。

分からないにも関わらず、生活リズムを崩してしまうと、次は生活リズムが崩れることでの不調がでてくるので、うつ病がずるずると悪化するきっかけになります。

うつ病の回復期の場合であれば、1~2日は好調でも不調でも、あまり気にせずに、そのときの生活リズムを守ることが大事です。
回復につながっている生活リズムになっているのであれば、1~2日は不調でも、少しずつまた回復してくるからです。
体調は1日よりも1週間、1週間よりも1か月、1か月よりも3か月という風に長期で考えることが大事です。
長期で見て「体調がよくならない」「体調が悪化する」場合は、見直しが大切です。

②自分の体調を自分だけで判断しない

うつ病の症状が気になっている間は、自分だけで自分の体調を判断しないのがおすすめです。
実際よりも体調が悪いと考えてしまうからです。
これは気になっているものに無意識に注意が向くカラーバス効果によるものです。
うつ病の症状が気になっている場合は、心身の不調を感じやすくなり、うつ病が悪化していると錯覚におちいりやすくなります。
しかも、無意識なので自分のうつ病の症状が本当に悪化しているの?錯覚しているのか?の判断ができません。

自分の体調を判断するには、家族や恋人などの身近な人や、病院の先生に自分の体調について聞いてみることです。
最近あったことを伝えたうえで、次の質問をするのがおすすめです。

「1か月前と比べて、私の体調はどうなっているように見えますか?」

このとき、自分が思っていないことを相手が言うかもしれません。
でも、いったんは相手が言ったことを信じてください。

この「自分が思っている体調」と「相手が自分に対して思っている体調」のズレを繰り返し確認していくことで、体調管理が驚くほど上手になっていきます。
もしも、ズレが大きい場合は、体調の良い悪いのどちらかに、あなたの注意が向きすぎているかもしれません。
ただ聞いている相手が1人だけの場合は、相手がズレている場合があります。

自分の体調を聞くおすすめの人
・病院の先生などの専門的な人
・昔からあなたの体調の変化に気づく人
・たまに会う信頼できる人

身近だからこそ気づく人もいれば、たまにしか会わないからこそ気づく人もいます。
どちらの言葉も聞いていた方が、「自分が思っている体調」と「相手が自分に対して思っている体調」のズレを修正しやすくなります。

ただ、最初からいろんな人の言葉を聞くと混乱してしまう場合があります。
はじめは病院の先生など専門的な人の言葉だけを参考にするから始めるのでOKです
慣れてきたら、自分の体調を確認する人の人数を少しずつ増やし、ズレを改善してきます。
僕の場合は、「1日の心拍数」「疲れた後の心拍数の戻り方」などのチェックも入れています。

「自分の体調は自分が一番わかっている」というセリフがありますが、大切なのは「自分の体調を分かろうとすること」です。
自分の体調と向き合っていく上で、自分の体調が本当に分かるようになってきます。

③うつ病克服に役立つ「イフゼンプランニング」

うつ病が悪化する原因に第一の矢と第二の矢である「仏教の矢の理論」をお伝えしました。
でも、意識しただけでは「第二の矢は避けられなるのは難しい」です。
例えば、嫌なことがあり、自己否定をする場合、「嫌なこと=第一の矢」で「自己否定=第二の矢」です。
このときに、「嫌なことは嫌な思いをするのは仕方ない」として、「自己否定はやめよう」。「そのほうがうつ病悪化を防げる!」と、頭ではわかっていても、そううまくいかないものです。

「嫌なことがある。だから、自己否定する」という流れは、自動思考になっているからです。
自動思考はわかりやすくいうと、思考の癖です。
思考の癖はやめようと思って、ピタッとやめられるものでもありません。

では、どうすればいいのか?

自動思考を改善するのに使いやすいのが「イフゼンプランニング」です。
イフゼンプランニングとは、「もし、〇〇ならば、△△をする」という条件付け行動の計画です。
オーストラリアにある大学の2019年の研究で、イフゼンプランニングは望ましくない感情や思考をコントロールできる方法であることが分かっています。しかも、イフゼンプランニングを作っておくだけで、自動的に望んだ行動がしやすくなります1
つまり、ネガティブな自動思考の対策には使える方法です。

今回のイフゼンプランニングの手順

  1. ネガティブな自動思考に気づく
  2. ネガティブな自動思考のあとにするポジティブな行動を計画する

例えば、朝散歩ができずに、自己否定して、自分を苦しめてしまう場合は。
「朝散歩ができなかったと考えたら、心が癒される動画を見る」
「朝散歩ができなかったと考えたら、セルフコンパッション日記を書く」
「朝散歩ができなかったと考えたら、『明日できればOK』と口に出す」
という風に、自分を苦しめないように、そのあとの行動を計画しておきましょう。
>セルフコンパッション日記の書き方:継続する3つのコツ

イフゼンプランニングを行うだけで、うつ病が大きく悪化するのを防ぐことができます。
イフゼンプランニングを作るときに「ネガティブな自動思考に気づく」と「ポジティブな行動を計画する」が、うまく思い浮かないときは、人に相談しながら行いましょう。
人に相談することで思考整理ができて、ネガティブな自動思考に気づき、ポジティブな行動を計画しやすくなります。

④うつ病の自動思考を治す方法

イフゼンプランニングは手軽で使いやすいですが、ネガティブな自動思考をしっかり改善するには「イフゼンプランニングと認知行動療法」と組み合わせるのがおすすめです。

自動思考の一般的な認知行動療法は次の3ステップです。

  1. 自動思考に気づく
    日記をつけるなどして、まず自分の思考に気づく
  2. 自動思考を評価する
    その自動思考が事実にあう思考なのか、ネガティブなものかを評価する
  3. 自動思考を置き換える
    ネガティブな自動思考を、ポジティブな思考に置き換える練習をする

一番、苦労するのが「自動思考を置き換える」というところです。
イフゼンプランニングを取り入れると「自動思考を置き換える」が成功しやすくなります。

自動思考を改善する「認知行動療法×イフゼンプランニング」は次の3ステップです。

  1. 自動思考に気づく
  2. 自動思考を評価する
  3. 自動思考のイフゼンプランニングを作る

イフゼンプランニングを取り入れることで、効果を高めることができます。

「今回のまとめ」と「うつ病回復時の意外な落とし穴」

今回のまとめ

  • うつ病を改善していく上では、悪化を防ぐことが大事。
  • うつ病の悪化の中でコントロールできるものを防いでいく。
  • コントロールできるものかどうかを判断するには「長期」で考える
  • うつ病が悪化しているかどうか判断するには「人の目」を入れる。
  • うつ病が悪化する自動思考は「イフゼンプランニングと認知行動療法」で改善する。

うつ病の悪化を防ぐことで、うつ病が改善しやすくなります。
僕のカウンセリングを受けている方も「長期で考える」「他人に体調を評価してもらう」「自動思考の対策を打つ」を行うことで、うつ病が順調に回復していく人が多いです。
ただ、驚くかもしれませんが、ほとんどの方が「順調に回復していくこと」に不安に感じます。

なぜなら、好調になっていく心と体の変化に感覚がついていけないからです。
特に長く苦しんでいた人ほど、とまどうことが多いです。
順調に回復することに不安を覚えるときも、生活リズムを崩さずに「長期で考える」「他人に体調を評価してもらう」「自動思考の対策を打つ」を行うのが大切です。
同じような経験をした相談者さまは、だいたい2週間~2か月ぐらいで、心と体の好調に感覚がついていっています。

  1. Greenaway, K. H., & Cruwys, T. (2020). The ties that bind: Communal coping in response to a collective trauma. European Review of Social Psychology, 31(1), 223-252. https://doi.org/10.1080/10463283.2020.1808936 ↩︎
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